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第6話

「ようこそいらっしゃいました!アイラ様!!」


「御機嫌よう。今日は・・()()()()お招き頂きありがとうございます」


おい、アイラ。

顔、顔が怖えぞ?

いつも付けてる仮面どこ行った?


やっぱ二人きりで出かけるなら、もう少し遠出にすればよかったか・・・サンチェスト領なんて、サンチコアと近すぎるからな・・・。


「まさかアイラ様が婚約者様とこちらに足を運んで下さるとは思ってもいませんでしたわ?アイラ様お誘いしても中々お忙しくて、こちらには来られませんもの」


お前も大変だなぁ。

空気が読めないご令嬢の相手をするのもよ?そんで俺はさっきから、そのご令嬢に完全に無視されてんな?

俺はお前の親の仇か何かなのか?

徹底してて寧ろ清々しいぞコラ。


「そんなに長居をするつもりはありませんわ。近くまで来ましたので、ご挨拶に寄らせていただいただけです。どうぞ、お構いなく」


「それは、婚約者様とこの後・・・ご予定が?」


「ええ。そうですわね?それが、何か?」


「あの、失礼ですが・・・護衛の方は?」


イヤイヤ。俺これでもこの国の騎士なんだけどよ?

俺の腰に下がってる物、見えてねぇの?


「ヨシュア様がいらっしゃいますので、必要ありませんが?」


「え!?では二人きりでなのですか?それはいけませんわ!!」


あ。俺か?俺が危険人物扱いなんだな?なーるほど?

アイラのあの顔。昨日今日の話じゃねぇな?

俺は、そういう認識のされ方なわけだ?

ははは!面白ぇ。


「大丈夫ですよ。私は他の騎士に比べて体は小さいですが、それなりに剣術は嗜んでおります。魔力も強いですから刺客に力が劣る事もないでしょう」


「あ、そうですのね?えっと、ヨシュア様?」


「ええ。ヨシュア・エルカディアと申します。以後、お見知り置きを」


心配しなくてもお前らが心配するような事は起きないから安心しろや。逆に何もなさすぎて、イノリに説教されて言われた通りにしたらアイラから可愛い反応が返って来て屈辱を味わった俺だ!!不服である!


「・・・・あの。よろしかったらヨシュア様も一緒にお茶でもいかがです?騎士の方に私の話など退屈かもしれませんが」


「是非。こちらの領の事を私にも教えて頂けますか?」


「は、はい!ではこちらへ!」


暇なんだな?きっとこのご令嬢は暇で話相手が欲しいんだろうな?俺は良くリディ様に付き合わされるからな。

実は、こういうのは慣れている。


「アイラ。行きましょう」


「・・・・ア、アイラ様・・・?」


・・・・・・・おい。顔!お前顔がすごいぞ?

口元は笑みを浮かべてんのに目の瞳孔が、かんっっぜんに開ききっている。そして・・血管浮き出てるけど?


お前それで正常を装っているつもりなのか?


「・・・・ヨシュア様。浮気ですの?」


「「・・・・・・は?」」


ベキベキベキッ。


「とても素敵な甘い微笑みでもって彼女を見ていましたが?え?私よりその子とお話する方が楽しいと?そういう事ですのね?」


おう?お前、だから・・・。心の仮面どこ行った?

そしてアイラよ?結構握力あるんだな?

持ってた扇がバキバキに折れたが?


俺は話を合わせただけだぞ?


いつどこで浮気などの行為があった?何?俺は女性と話した瞬間、全て浮気とみなされるのか?そりゃすげぇな?

お前自分の事棚に上げて、よくそんな事言ったもんだ!


「アイラ?私はそんなつもりは無かったのですが?」


「そんなつもりがないのに何故あんな顔で微笑まれたのです?この、私を差し置いて・・・」


「ア、アイラ様落ち着いて下さいまし!わ、私の考えが足りませんでしたわ!二人きりの所をお邪魔して申し訳ありませんでした!どうか、お怒りをお沈め下さいませ!」


「あら?別に怒ってはおりませんわ?でも私、自分の物を取られるのが一番嫌いですの。それがなんであっても」


すげぇなお前。


突然のブチギレ発車から華麗にうざい令嬢を撃退したな。

狙ったのか?いや・・・・マジだったのか。




「別にお茶の一杯くらい飲んでやりゃ良かっただろうに」


「・・・・・・・」


「まぁ。歩いてた所を突然連行されたから、腹が立つのはわかるがよ?アレじゃあ、お前が悪く・・・」


なんなんだよ、その目。

なんで涙目で睨むんだよ。

お前ホント訳わからねぇよ。


「どうしてなのです?何故ヨシュア様から私の家に婚約話を?前は、揶揄って教えて頂けませんでしたわよね?」


「は?揶揄ってなんか・・・・」


「ヨシュア様が馬鹿にされるのは耐えられませんわ」


・・・・・・・・・あーーー。そっちかぁ。

ずっと機嫌が悪いと思ってたけど、それに腹立ててんの?


「・・・・・あ。おい、見えてきたぞ」


「・・・・え?アレは?」


「綺麗だろ?あの山だけ全体が青い花に覆われてるんだ。あそこには青い狼が住んでるんだと」


「・・・・青い・・・狼?」


久し振りに見たな。子供の頃、以来か。

暫くここにも来てなかったからな。


「俺の事らしい」


「・・・・・・・は?」


「俺の死んだ母親は、ここの領で生まれ育ったんだ。俺は青い狼なんだとよ」


厳密にはハーフなのか。

俺にもよくわかんねぇけどな。


「え?ヨシュア様はつまり・・・やはりワンちゃんなんですの?」


「・・・もう面倒くせぇから、それでいいや」


一度アイラにもコレを見せたかったんだよなぁ。

俺と一緒になるなら、避けて通れない問題だからな。


「俺は人に蔑まれるのには慣れてっから、今更なんとも思わねぇよ。そんな俺と居るのが辛いって言うなら今すぐ婚約を解消してやるよ」


「!?」


コレは卑怯な手か?

でもなぁ。こんな事でいちいちグチグチされたら、この先もっと辛くなるぞ?なら今のうちに俺なんてやめとけ。


「は?冗談はその顔だけにして頂けますか?誰がこんな事で婚約を解消などと!私そんなにヤワではありませんが?」


だから。お前なんでそう、いつも喧嘩腰なんだ?

俺か?俺のがうつったのか?


そして毎回思うが、お前本当に辛辣だな?

実は俺の事嫌いなんじゃね?お前俺の何が好きなの?

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