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エピソード1 シエルミンテの誤算

どうして?

私は人間になったんだよね?


「お嬢ちゃん?道の真ん中でボーと立ってると危ないよ?気分でも悪いのかい?」


ちゃんと人間にも私の姿が見えてる。


体も、人間の肉体になっている。


それなのに、なんで、精霊の時の記憶が残ったままなの?


私達精霊は、周期的に精霊が入れ替わる。


私はこの国にかなり長い時間存在した。


それは、ここに来たもう一つの精霊の所為でもあった。


サウジスカル帝国の精霊は私だった。


そこに本来カスバールにいなければならない大樹の精霊が運ばれて来てしまった。


この国の人間が大樹をこの大地に根付かせてしまったの。


しかも、大樹の大事な物を奪い隠してしまった。


それにより、この国はその精霊の怒りに触れ混乱に陥れられた。


私はそのお陰で簡単に消えるわけにはいかなくなった。


精霊は、大地に根付くまで時間がかかる。


カスバールの大樹はカスバールの大地に触れる前に人と接触してしまい、カスバールに根付くことが叶わなかった。


大樹がある状態で私が消え、この国に新しい精霊が生まれても、きっとうまく育たない。


せっかくここまで立派にした私の国が、そんな事で壊れてしまうなんて、ありえない。


絶対守る。


そして、あの精霊の雛も助けてあげる。


そうやって、やっと大樹が解放されて、さぁ、やっと私は消える事が出来ると思ったら、今度は私の前の精霊が残していった置き土産が人間の所為で全て奪われてしまったの。なんて愚か。あのままにしておけば、何事も起こらずあの山は浄化されたのに・・・・。


もう、これ以上は、私には無理だわ・・・。

次の精霊には申し訳ないけど、その子に頑張って貰おう。




「じゃあ、俺がつけてもいい?もう会えないかもしれないけど、名前があった方が便利だろ?」


「へぇ?試しに聞いてあげるわ?どんな名前をつけてくれるのかしら?」


キルトにそんな事言ったのは単にどんな名前にするつもりなのか興味があったから。深い意味は全くなかったの。


「・・・そうだなぁ」


もし、私が人間に恋をする可能性があるとしたら、私と繋がっているレインハートの血族以外あり得ない。

彼等との繋がりにはそういう役割も含まれている。


精霊と番い、この世界に魔法を使える者を創り出すそんな役割。


「・・・・・シェルミンテとかどう?昔童話に出てきた妖精の名前なんだけど」


「・・・・シエルミンテ・・・」


何それ。可愛い名前ね?私そんな可愛いキャラではないと思うの。どちらかと言えば妖艶で綺麗っていう設定・・。


「うん!可愛い!次会えたらそう呼ぶな!シエルミンテ!!」


ーーーーーーッか!!可愛い?私が?この、わたしが?

キルト貴方本気なの?


「な、なんてこと・・・・・こんなことって・・・」


嘘、嘘よ!こんな事有り得ない。私の心がレインハート以外で揺らされるなんて!!こんな、こんな!!待って!行っちゃヤダ!このまま離れたら二度と会えなくなっちゃうじゃない!キャーーー!キルトーーー!!


えーい!一か八かよ!キルト!私絶対もう一度、貴方に会いに行くんだからぁ!!





「・・・・・・はぁ」


気づいたら。

強制的に人間になってた。

ただ変化したつもりだったけど、元に戻らなかったから強制的に落とされたんだ。


こんな事、本来なら有り得ないけど。

しかも、最後に変化したこの姿。


シエルミンテって名前に合わせたんだけど、大丈夫なのかな?随分子供っぽいというか・・・なんというか。


サンチコアまで来たのはいいけど、どうしよう。


人間って確か、物を食べないと生きていられないよね?


それで、その為には働く場所とか住む場所も必要よね?


前みたいに空気を吸ってるだけで生きていられる訳じゃないよね?


・・・・・・どうしよ。


「おや?レディ?こんな所で一体どうしたんだい?」


「え?あ!!」


え!?嘘!まさかの知り合い発見!!


「ゴルドーーー!!良かったぁ!」


「おっと!その姿は・・・まさか、落とされたのかい?」


「そうみたい。どうしよぉ〜大ピンチだよぉ」


私死んじゃう?人間になった瞬間餓死しちゃう?ヤダァー!!ヤダヤダヤダ!


「落ち着いて。取り敢えず・・・そうだね。今から私の知り合いに会いに行くのだけれど・・彼に相談してみよう」


ゴルドが頻繁に会いに行くっていうのなら、セラとギャドね?セラ生き物に詳しいから確かに助けてくれそうだわ!


「それにしても、また随分と愛らしい姿になったのだね?前の姿とは、全く変わってしまったね?」


「そうなの、キルトに名前をつけてもらった時、姿も変化したのだけど、可愛くない?」


「可愛いよ。一日中眺めていても飽きないほどの愛らしさだよ?シエルミンテ」


ゴルドとは気が合いそう。

この子、本当竜の鏡だと思う。ナイスミドル。


私が竜だったらこの子と結婚する!!


「君とは何かと縁があるね?私はこの国にお世話になっているから、その象徴たる君には敬意を払おう。きっと人には君の存在の尊さがイマイチ理解出来ないだろうからね?」


?いや、別にそんな事しなくてもいいよ?

なんか偉そうじゃない?私神様じゃないし。


私は誰かに恋をして自分の子供を残せればそれで・・・。


「私は何故だか最近とても楽しいんだよ?なんだろうね?この国は次から次へと色々な出来事が起こって、とても面白いのだよ!ワクワクする!」


あら、この子竜・・成長期なの?

そうね。そろそろ、そんな時期なのかも。


この国、変な人多いから色々心配だな?


ちゃんと、育つといいね?


「疲れているだろう?私は抱っこされてばかりだからね?抱っこしてあげようか?シエルミンテ?」


「してしてー!!ゴルド抱っこー!」


「うむ!新鮮な反応だ!私は感動しているよ!」


さぁ!じゃあ取り敢えず私を保護してくれそうな場所を探そう!そしてキルトは私と恋するのは無理そうだから相手を探さないとね?


「大恋愛して元気な子供産むぞ!オーー!!」


色々誤算はあったけど気にしない!!

人間ライフ満喫してやるぞ!オーーー!!

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