表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/56

第47話

リーーーーーーーーン


リーーーーーーーーン


リーーーーーーーーン


「す。凄い。お、音がどんどん広がっていく」


「なんだこれ・・・なんて、綺麗な音・・・」


どういう事よ?

なんで精霊しか聴けない音色を私達聴いてるの?


「凄い!こんなに沢山広がるなんて!凄いわキルト!」


そして、何この子。

さっきからキルトにベッタリくっついてるけど、あんた誰?アレ?でも待って?話の辻褄が・・・。


「あのーもしかして、君が精霊とか言わないよね?」


そ、そうよね?だって私達バッチリ見えてるし。

触れるし、足だって生えてるし・・・・ひ、人よね?


「そうだよ?少しの間だけ人の姿になれるの。秘密だよ?」


「・・・・・ワーォ・・異種間交流バンザーイ」


いやいや、ザック違うわよ。

この人、異種どころか生物ではないのでは?


精霊よ精霊。

おとぎ話の生き物だから!!


「あら?でも、ちょっと波紋が広がりすぎちゃって大変な事になってるね?皆、愛に飢えていたのかな?」


「え?何か問題でも?」


「私以外にも音色が聞こえているの。相手の気持ちがね?皆思いの外、素直になっちゃってるみたい!愛が溢れでてるぅ」


溢れでてるぅじゃねっつの!!


大丈夫なのそれ!さっきから音が全く鳴り止まないんだけれど?なんだか私も胸がとても熱くなってきたし!


「うおー!!なんか創作意欲湧いてきたぁぁ!!なんだこれぇ!!」


「俺も無性に新しい品種開発したくなってきた!!やる気みなぎってきたぁぁ!」


大丈夫じゃない。絶対大丈夫じゃないわよ。

ちょっと一回止めてもらえる?大暴走が始まりそうだわ。


「あれ?エルハド凄い!こんな音エルハドから届くなんて・・・明日から嵐、続くかもねぇ?」


「怖い事言わないでくれる?嵐なんて起きたら私達大打撃だから!とにかく止めてもらえないかな?」


え?無視?

ちょっと貴女、何空を見上げたままキルトの手を握りしめてるの?二人だけの世界なの?

もしもーし?外野見えてますかー?


「思わぬ手助けになったみたい。キルト、ヨシュアが来るよ?ここの穢れを浄めてくれる」


「え?ヨシュアが?でも、力は使えないって・・・」


何?遥か向こう側から青い光がこちらに向かってやって来てる?え、え?凄く大きな・・・・。


ビュンッ!


「わ!!え?ヨシュア?」


「ヨシュアさん!?アレが?」


「わ!ちょっとイノリ見て!種を植えた畑が!!」


凄い・・・・みるみるうちに種から芽が出て花が咲いた。


ヨシュアさんが通っただけなのに・・・。


「うっ・・わあ!!山、が・・・」


枯れ落ちて色が変わっていた場所が一気に青色に変化してる・・・・・・これ・・・伝説の、青い狼?


「・・・・・・・綺麗・・・まるで、マチ湖の水面みたい・・・鮮やかな、青色だわ」


「本当に綺麗ね。でも、その後はもっと綺麗よ?」


え?どういう事?

山から、青色が・・・散っていくわ・・・。


「ちゃんと浄化されたのね。見て、青が消えた場所が今度は緑色に変化していくわよ?」


「・・嘘みたいだ・・・・こんなもの、直で見られる日が来るなんてよ・・」


リーーーーーーーーン


「シエルミンテ。こんな事して、大丈夫なのか?」


「精霊としては駄目。私ちょっと手を出し過ぎた。ねぇキルト・・・・・」


「何?」


「私が貴方のこと忘れちゃっても、私と一緒に居てくれない?」


リーーーーーーーーン


この子グイグイ来るわね?

でも、精霊が人間のキルトを好きになっても、ねぇ?

人間になれる訳じゃないし、そもそもコレなんの話かしら?


「うーん、困った。シエルミンテ。俺君とはこの前ちょっと話したくらいだし、正直約束は出来ないよ。ずっとは無理かも」


コイツ、素直すぎる!


純粋に断りやがったわ!これ、激怒するんじゃないの?

大丈夫なの?


「そうなの?じゃあずっと、とは言わないよ?私人間になっちゃったら全ての記憶を失っちゃうから、最初だけ一緒に居てくれればいいよ?無理に好きにならなくていい」


え!?この子人間になるの?一体どうやって?

誰かの体を乗っ取るとか?怖っ!!


「・・・・それなら何で人間になるんだ?」


「必要だから。新しい精霊が生まれるの。私は人になって誰かと子供を作って子孫を残すわ。貴方が嫌なら、他の誰かを探しに行く」


リーーーーーーーーン


「え?そうなの?じゃあ俺のお嫁さんになる?」


「いやいや、俺でしょ?君可愛いから大歓迎だよ?」


おい。あんたらここにも年頃の女性がいる事、忘れてないか?コラ?ぶっ飛ばすわよ?


「そうなの?じゃあ私が人間になったら改めてアプローチしてね?記憶は無くしちゃうけど、それでも良ければ」


「えーーーーーーっ・・・何、それ」


馬鹿らし!!もう勝手にやってなさいよ!


全く!こんな事ならキルトの心配なんてするんじゃなかったわ!!本気で心配した私が馬鹿だったわ!!


リーーーーーーーーン


「本当、馬鹿ばっかりなんだから・・・」


でも、素敵ね?


きっとこんな事二度と体験出来ないでしょ?


私達今、この国の歴史の一部になってるんじゃないの?


「ありがとう、シエルミンテ。ヨシュアに力を貸してくれて」


そうね。私もお礼、言っておこうかな?


「ありがとう。私達を見守っててくれて」


「ありがとね?長い間お疲れ様でした!」


「後のことは任せろ!ありがとな?」


リーーーーーーーーン


「こんな始まり方も、悪くないね?一人ぼっちで消えるなんて、つまらないもの」


ゴウッ


「きゃぁ!?」


「うわ!」


「え?水?」


もう、私キャパオーバーかも。

色々なことが起こり過ぎて、もう、何がなんだか・・。


「新しい子を宜しくね?サウジスカルに幸あらんことを」


ただ。

私達は守らなきゃいけないわ。

それだけは、なんとなくわかった。


新たに生まれた私達の・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ