第45話
この二人については・・・
書ける日が、いつか、来るといいなって思います。
でも、書けないかもしれないです。
書いてて辛くなりそうで。
何やら宮廷内が騒がしいな?
何か起きたのか?
「あ、エルハドいたいたー!僕ちょっとサンチコアの街行ってくる!」
「何があった?」
「それがさぁ?サンチェストの瀕死だった領主が隙を見て逃げ出したんだよ。それで大騒ぎ。あ、でも見張りに使われたらしい薬は医療院に置いてあったものだったらしいから、あの花を隠し持ってるわけではなさそうだよ」
相変わらずこの国の兵士は騎士団以外ズブズブの穴だらけだな。平和ボケしすぎではないのか?実は寝てただろ?見張り。
「では、私も行く」
「駄目」
ん?なんでだ?いつもはついて来いぐらい言うくせに。
「あのね?いい加減エルハドも落ち着いたら?君もう、宮廷を退いたんでしょ?なら仕事しなくていいし、僕の後をついて回らなくていいよ?」
「なんだ?邪魔はしてないだろう?」
「・・・・そういう事、言ってるんじゃないよ?役目を退いて大分経ったし、そろそろ国の事はセルシスに任せれば?暇ならリンディと出かければいいでしょ?」
なんだ急に。
余計な気遣いだ。
それに、私にだって友人くらい・・・・出来ると思う。
「・・・・私はゆっくり時間を過ごしたことがない。性に合わないんだ」
「でも、ずっとって訳には行かないよ?エルハドいい加減真剣に考えなよ」
「・・・なんなんだ、さっきから」
なんだ。なんでそんな呆れた顔するんだ。
お前、今まで散々私に呆れ顔させてきた癖に。
「それを言うならデズロもだろ?もう、働く必要ないのに今でも動き回ってる」
「だって何故か問題が起こると皆、僕の所に相談に来るんだよ?ほっとく訳にもいかないでしょ?」
・・・・・・・・・確かに!!
おい!今まで全く気にしてなかったが、確かにそうだ!
私はもう帝位を退いたから誰も来ないがデズロの元には毎日誰かしら相談に来てるな!私はそのデズロの後を追いかけてるだけだ。え?どうなってるんだ?
「まぁ、僕は自由人だから、皆来やすいんだと思うよ?でもね?エルハドは立場的にそれじゃマズイでしょ?偶になら誤魔化せるけど、こう頻繁にだとマズイよ」
待て。
もしかして私は説教されているのか?デズロに?
「・・・別に、デズロが嫌なら無理についてなど行かないぞ。お前の望みならな・・・」
「それ、もうやめない?」
それ?それとはなんだ?
「エルハドはもう、僕の言う事を聞く必要なくなったよね?だってこの国に僕はもう必要ないでしょ?」
「ーーーーーーッ!」
待て。何の話だ。
何を言おうとしてる?
「僕もエルハドも、もう何も縛られる物はないよ?だから、エルハドは我慢する必要無いと思う。もう、自分の好きにしたら?僕もそうする」
好きなように?
それで、お前はどうしたいんだ。
お前の望みはなんだ?
お前は・・・。
「・・・・・・ハァ」
いや、なんで私はこんな事で取り乱しているんだろうか?
余りにも抑制された生活環境だった所為で、解放された途端に頭が混乱してしまったのか。
「エルハドってさぁ。本当に狡いよね?」
「・・・・・・・は?」
リーーーーーーーーン
デズロの言いたい事が全く分からない。
私が嫌ならハッキリそういえばいい。
もう、私といるのはウンザリだとハッキリ言われたなら私はそれに従う事が出来る。
・・・・ん?従う事ができる?
なんで、私はそんな事を?
「僕の周りの人間は皆、不器用過ぎて本当僕大変。その中でも、エルハドは一番厄介。お前は昔からそうだった。強制的に僕を従わせる癖に、最後は絶対、僕に選ばせる。それで、しょうがないなぁって渋々承諾したって言うんだ。本当狡いよね」
・・・・・これは、なんだろうな?
私は、一体デズロをどうしたいんだ?
「・・・・デズロ」
「僕はエルハドの、なんなの?」
リーーーーーーーーン
待ってくれ。ちょっと時間が欲しい。
コイツはこの国の為に私が攫って来た最強魔術師だ。
無理矢理連れて来た責任を、この国に縛り付けてしまった責任を私は取らないといけない。
コイツは私の幼馴染で親友で家族みたいでもあって、私の・・・・・・・・・人生そのものだった。
「お前は・・・・・」
「うん?」
私の、分身。
「私の・・・・・全てだ」
・・・・・・・・・・・・・・・は?
リーーーーーーーーン
リーーーーーーーーン
リーーーーーーーーン
「アハ! そうなの? 照れるぅ!」
「んな訳あるかぁあああああああ!!今のナシだ!!やり直させろ!!」
「いやいやいや?撤回は無しだよ?やっと言ったよね?やっと認めたよね〜?これでもう僕が側にいても文句は言えないよね?あはははは!ザマァ!」
貴様ぁあああああああ!!デズロ!!よ、よくもこんな事を・・・わざとだな?わざと言わせたな!!
「要らない心配するからだよ。何?もし僕が本気でここから逃げ出したら、エルハドはそのまま僕を放っておけるの?」
私にこんな事を言わせて・・・絶対許さんぞ貴様!!
後悔させてやる!
「誰が!地の果てまで追いかけて行って連れ戻す!それでも戻らないなら、どこまででもついていく。お前がどんなに嫌がろうが知った事か!!」
なんだ!なんでこんな事を私に言われて笑うんだ貴様!
頭おかしいんじゃ無いのか?私もだがな!!
「エルハド」
「ああ?!今度はなんだ!!」
リーーーーーーーーン
「大丈夫。ちゃんと愛してる」
なんで・・・・・・・お前なんだ。
私を救う唯一が、なんで、お前だけなんだ。




