表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/56

第42話

「ロザリアの居場所を突き止めた。あの女、あろう事かサンチコアの貴族に嫁いでおったわ」


叔父はサンチェストではとてもいい領主として有名な人だった。


私は、いつもこの方と比べられた。


この人には子供がいない。


この人がいなくなった後、私はこの地を管理しなければならなかった。


でも、私はこの地が大嫌いだ。


この方はこんな善人の顔をして、裏では沢山の人間を殺していた。その手口は巧妙で、決して、誰にも気付かれなかった。


私も、本人に知らされるまで全く知らなかった。


「アレはデェラドリンデの最期の生き残りだ。早く、消してしまわねば・・・私の息子を殺した、あの、一族を」


何故、私は叔父の言葉を信じたりしたのだろう。


何故、あの人に逆らうことが出来なかった?


あの山は昔から立ち入りを禁じられていた山だった。


そして、青い花に触れる事も禁忌だった。


それを犯したのは、この人の子供の方だった。


そして、デェラドリンデは助けなかったのではなく、助けられなかっただけだった。


あれは、ただの逆恨みだ。そして、ただの虐殺だった。


そうして、巻き込まれた人間も同様に消されていった。


謎の流行病の被害者として。


そして、私も加害者になった。


「なんだ?その荷物サンチコアまで運ぶのか?俺、今から向かうから運んでやろうか?」


彼は、私の幼馴染だった。


立場は違ったけれど、幼い頃から私を気遣い

立場など関係なく寄り添い続けてくれた、私の、ただ一人の親友。


「い、いや。大丈夫だ。・・・叔父から頼まれた大事な荷物だから。俺が自分で運ぶ」


「そうか?じゃあ一緒に行こうぜ?そんなに荷物多くないし」


どうして、私はあの時、お前を振り払ってでも一人で行かなかったんだろう。お前は気づいてたんだろう?私が、危険なものをサンチコアに運ばなければならないと・・・。


そして、お前は知ってしまった。

私は・・・・どうしたら良かった?


「・・・・・もう、こんな事は最期にしてくれ。やく、そく・・・してくれ」


そうだな。そのつもりだった。

それなのに、お前の息子は騎士になった。


そして・・・・ヨシュアと出会った。


ヨシュアは俺の叔父の悪事を突き止めた。

そして、叔父は囚われ処罰された。秘密裏に。



次は?



そう、次は私だ。



ヨシュアの母親を殺す手助けをした。


あいつの息子とヨシュアが私達を殺しにくる。


私を罰する為に、私を追い詰める為に。


ヨシュアはいずれヴァンディル家の令嬢と結婚し、今よりも力を手に入れる。


そうなった時、私はともかく私の妻や娘はどうなる?


叔父は容赦なくヨシュアの家族に手をかけた。


きっと、ヨシュアもそうするに違いない。


あの、花さえなければこんな事にはならなかったのに。


あの、呪われた青い花さえ、無ければ。




「・・・・・・・・・・・」


ここはどこだ?


そうだ。


アイツの息子に斬られた。


まだ、私は生きていたのか。


キルトはどうなった?死んだのか?


あの花を直接肌に刺したんだ・・・助かりはしないな。


これで、私は本当の人殺しだ。



「・・・・・デェラドリンデを、殺さなければ」



どうして?



そんな事もう、忘れてしまった。


だが、もう後戻りは出来ない。


私は、叔父と変わらない。


自分の為に、人を殺した。


自分の、大事な親友と、その子供を。


自分を、守る為に。




「陛下!大変です!!」


「えー?今度は何?」


「罪人が医療院から逃げ出しました!サンチェストの領主です!」


「は?見張りは何してたの?」


「何かの毒を使われたようです!一体・・・何処に隠していたのか・・・」


「・・・・・・ヨシュアを呼んで。ササラとデズロ様も後ハイトも呼び出して。もし、途中で罪人を見つけたら・・・・・殺せ」


デェラドリンデを、この世から。一人残らず。

二度とあの花を作り出さぬように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ