表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/56

第40話

「アイラに力が効かなかった?」


「そうなんです。恐らく、本来ならかかるはずの力が」


俺はちゃんと、そのつもりで口に出した。

デェラドリンデが魔女扱いされたのは、この力の所為もあるからな。


伴侶に対する拘束力が強い力だ。多分外からデェラドリンデに入った者が外に漏らしたのだと思う。


「・・・・仮説なのだけどね?それはアイラの一族に関係しているんじゃないかな?」


「・・・・・・あ!」


そうか。そういえばアイツ、ゼクトリアムの血を少し継いでるんだったか?


「あと、彼女は大樹の核を封印する術を会得してますから、もしかしたら君の力も無意識に抑えられているのかも知れないね。その力は魔力とはまた別のものだろうから」


「成る程・・・道理で・・」


よくよく考えたらおかしい事が多かった。


そもそも変幻した俺の体にあんな平気でベタベタ触る時点でおかしかったんだよ。普通あんな長時間あの姿の俺を触ってたら魔力にあてられてバテる筈だもんな。


それどころじゃなくて気がつかなかった・・・・。


「あと、ハイトやアイラの一族の事で気になっている事があるんだよ。一つの国に必ず一人精霊が生まれるとマチ湖の精霊は言っていたそうなんだ」


そうだな。それなのに、別の国の精霊が根付いた事で大混乱だったからな?この国。


「そして、その側に必ずその精霊を見守る一族が存在した。大樹はデズロ様の血族、マチ湖はレインハートの血族。そして、ヨシュア。君はマチ湖の前に存在した精霊が人になった子孫だ。つまり、ヨシュアにも、ヨシュアと繋がりがあった血族がいた事になる」


そりゃそうだな?でも、そんなの何千年も前の話だよな?

もういないんじゃねぇの?


「レインハートの前、この国にいたのはゼクトリアムだ。それをレインハートが統治した。これは、何を意味すると思う?」


おいおいおい?まさか。

そんな都合がいいことあるのか?


「もしかしたらゼクトリアムはそう呼ばれる前、精霊を守っていたのかも知れない。その役目がマチ湖の精霊が生まれた時レインハートに移ったのではないかな?」


なんだそりゃあ!!

二重どころか三重の驚きだ。


つまり、ずっと大昔ゼクトリアムはこの地の精霊と繋がりがあった。そんで、その役目が引き継がれる前に間違いで大樹と接触しちまって、それをこの地に根付かせちまった事で今度は大樹を守らなきゃならなくなったと?


「・・・ヨシュアの血族が絶えそうなのも、もしかしたら、ゼクトリアムが長い間、大樹に囚われていた事が原因かも知れないね。そうやって世界がこの地のバランスを取っているのかも・・・力の偏りが生じないように」


「そんな事言われても。勝手に生み出されて勝手に消されるとか、本当に迷惑だ!」


つっても、実際事を起こすのは俺達人間だけどな?

まぁ仮説だし、考えても仕方ねぇけど。


「しかし、試したという事は・・・アイラと仲直りしたんだね? ヨシュア」


ぐっ!やっぱササラ様突っ込んで来やがった。

このまま誤魔化せるかと思ってたが、駄目だった。


「で?どこまでしたの?我慢、出来なかったんだろ?」


バレてる。完全に、バレてるなこれ・・・。


「大丈夫。ちゃんと黙っててあげるから。あれだけ煽られて、逆によく我慢したと私はヨシュアを褒め称えたい」


「・・・・そりゃ、どうも」


「で?一線超えちゃったのか?」


うーーーん。

百戦錬磨のこの人に誤魔化しは無駄か。


「いえ。そこまでは・・・・ただ」


ニッコリ。


あ、察してくれます?

そう、最後までは行かなかった。ギリギリ我慢した。


だが、それ以外は無理だった!!


「アイラ、泣かなかった?」


「それ以上は聞かないで下さい。アイラに殺されそうなんで」


まぁ、暫くはあんな機会訪れないだろうな。


「恐ろしいほどの自制心だね。私も君を見習わないとね?」


いや、そんな事ないと思う。

ちょっと自分でもビックリした。

アイラなんて驚き過ぎて帰り挙動不審になってたからな。


本当にあの後、アイラ大丈夫だったのか?心配だ。


「とにかく。君の力が無効になるなら良かったじゃないか?それが心配だったんだろう?」


「・・・ええ。アイラに害がないなら、安心ですから」


「・・・・あと、シェスタ殿に会いに行かないのか?」


ああ。忘れてたわ。

居たっけそんな奴。


「あの人今、辺境のナッチス領でしたっけ?領主の補佐として働いてるんですよね?大丈夫なんです?邪魔してるんじゃ?」


「それが意外と役に立ってるみたいだよ?あそこは綿の生産地だろ?彼は若い頃、綿や絹の製法を学んでいたらしいよ?カーシャ殿も手伝っているらしい」


へぇ?そういえばそんな事聞いた事あるような。

でも、親に反対されて諦めたんだよな。貴族の一人息子だからなぁ、あの人。


「まともに働けているなら良かった。カーシャも、少しは安心したでしょうね。これで子供が出来てくれれば完璧なんですけどね?」


「・・・・子供は、君一人で充分なのだそうだよ?」


「・・・・・は?」


なんだそりゃ?なんの話だ。


「君が騎士になると決まった時、カーシャ殿が一人ここへ乗り込んで来たことがあった。その時デズロ様が君と同じ事を言った時、カーシャ殿がそう言っていた。"わざわざ私が産まなくとも素晴らしい息子が私にはいる。その息子を私から奪うな!"だ、そうだよ」


「・・・・・・・・・・あ。そう?」


「一度くらい、呼んであげれば良かったのに。ヨシュア。私は、家族になるのに血の繋がりなど、大して意味を成さないと思っているよ」


・・・・・・・わかってるよ。


わかってる。

本当は、ちゃんとわかってたんだ。


「・・・強くなるには、他にどうしたら良かったんですかね?」


また、拒絶されるのが怖かっただなんて、認めたくなかったんだよ。


かっこ悪いだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ