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第35話

あはははは!

皇族って、本当怖い。


やりたい放題。

「・・・・お久しぶりでございます。リンディ様」


「ええ!会いたかったわアイラ!さぁお座りなさい?」


リンディ様。日に日にお元気になられますわね?

そういえばエルハド様も帝位を退いてから顔色も良くおなりになって、カスバールから帰って来てからは、好き勝手に遊んでらっしゃるようですわ。


あのデズロ様を呆れさせるくらいに。

まぁ、あの方も一緒になって遊んでおりますが。


「それで?ヨシュアとの婚約を破棄したいらしいですわね?」


いきなり本題ですの?珍しいですわね?

いつもなら軽く最近の出来事などを挟んできますのに。


「ええ。しかし、それが受理されないのです」


貴族同士の婚約は両者の承諾を取った後、正式に国に提示されて問題なければ受理される。


私達の結婚は国の管理にも関係している事柄なのですわ。

もし、問題があるようなら、その時点で受理されず婚約する事は叶いません。ただ、じゃあその二人は結婚できないのか?と、言われればそうではありませんわ。


二人が強く望めば結婚は出来ます。

ただ、貴族としてその地位に留まることは許されませんわ。つまり、廃嫡ですわね。


私の場合、問題なく婚約の許可が下り、順調に事が進んでいましたから、逆に婚約を解消出来ません。


ヨシュア様が思った以上にその辺りの地盤をしっかり固めていたらしく、一方的に婚約破棄するには問題があると、判断されたようです。


まさか、こんな障害が発生しようとは思いませんでしたわ・・・ヨシュア様、とても優秀なのですわね。


「それで?私にそれをなんとかして欲しいと?」


「はい。なんとか、婚約を解消出来るよう取り計らって頂けないでしょうか?ヨシュア様以外ならお相手は誰でも構いませんので」


こんな事を口にする日が来るなんて・・・人生とは何が起こるか分かりませんわね。


「ヨシュアはいい子よ?何が気に入らないの?」


「・・・いいとか、悪いとかではないのです。あの方と結婚する理由が私にはありませんわ」


「ヨシュアが自分を愛してくれないから?だから、必要ないと?」


・・・・・・・・違う。いえ、違わないのかしら?


「貴女我儘ねぇ?この国の貴族女性の大半が望んだ相手とは添い遂げられない中、貴女はその相手と一緒になれる。それなのに、相手が自分を見ないからと、それを袖にする。本当に、傲慢な考えだわ」


ええ。そうですわね。分かっていますわ。


「・・・・返す言葉もございませんわ」


それでも、だからこそ、あの方から離れたい。

そうしないと、私はあの人をもっと傷つける気がしますわ。


「貴女、私がここに嫁いできた経緯を知っているわね?元々とても小さかった私の国をサウジスカルの、領土に収める。その為だけに、私はエルハドに嫁いで来たのです」


そうでしたわね。

でも、リンディ様はとても幸せそうですわ。

好きでもない方と無理矢理結婚させられ自国も奪われましたのに。


「私には武の嗜みがありましたが、エルハドはそれを遥かに上回る戦闘能力を持っている。何度も何度も暗殺しようと企んでは失敗し、結婚した後、初夜で泣きわめく私にエルハドはなんて言ったと思う?」


え?なんですか、その、闇にまみれた黒歴史。

貴女エルハド様にそんな事したんですの?

それ、バレたら首が飛ぶレベルでは?


「今は無理でも君には私の子供を最低三人は産んで貰いたい。国を返すことは出来ないし、今はここから出す事は出来ないけれど、それ以外の事なら君の望みをなんでも叶える努力を惜しまない。他に王妃を迎える事は容易いが私は君がいい、と言われましたわ」


それは、流石というか。暗殺を繰り返され初夜に泣き喚かれた相手に、よくそんな事言いましたわね?

エルハド様、鋼のメンタルですわ。


「私ね?それを聞いてつい、なんで子供を三人も?と、聞いたのです。そうしたら"私には兄弟が一人もいなかった。競う相手も守るべき相手も。自分の子供にはそういう相手がいる人生を歩ませたい"頭おかしいでしょ?それで、私には自分を無理に愛さなくてもいいと言うのよ?私、呆れてしまったわ」


「それで、応えたのですね?今ではとても仲がよろしいですもの・・・・」


「ええ。私の側には私の愛する者が常にいる。それを、エルハドは許してくれたのよ?普通、こんな事許されない」


・・・・・・・え?・・・・今、なんと?


「アイラ。貴女はそんな事をしなくても、その相手を手に入れることが出来る。相手が貴女を愛さない?それが、なんだというのです?」


私・・・今、とんでもない事を聞いてしまったのでは?

おかしいですわね?カップを持つ手が勝手に震えてしまいますわ。


「あ、大丈夫よ?息子達もちゃんと知っているし、あの子達はちゃんとエルハドの子供よ?あの子達が産まれた後、エルハドがこちらに呼んでくれたのよ」


ちょっ・・・・え?では、エルハド様は?

あの方はどうするのです?いえ、でもまぁ確かに殆どリンディ様と過ごす時間なんてありませんでしたけれど・・・。


「それに、私はエルハドをちゃんと愛しているわ。家族としてだけれど。私は満足よ?だって、こんな恵まれているのに、これ以上何を望むと言うの?私は結果エルハドに救われた。もし、私の国を奪った相手が仮にカスバールだったなら、私はきっと今生きていなかった。きっと好き勝手に痛めつけられて殺されていたでしょうね」


怖いですわ。

何がって、エルハド様の底の知れなさが・・・。


「わかったかしら?貴女は甘すぎる。婚約破棄は認めません。そんなに嫌ならヨシュアを納得させて二人でいらっしゃい。そうしたら考えてあげましょう」


・・・・・・何も、言い返せませんわ。完全敗北ですわね。サウジスカル帝国恐るべしですわ。

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