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第33話

なんてこった。

まさか、アレがバレるなんてよ・・・・。


しかも、完全に誤解してやがる。

ちょっと、ちょっとまっ・・・・・。


「二度と・・・・・顔も見たくありませんわ。声も聞きたくない。貴方とは、金輪際関わりを持ちません」


笑うか?


アイラの本気の拒絶に、俺多分人生で初めて金縛りを経験したわ。いや、マジで余りのショックに身体が動かなくなった。


それで、俺ってアイラに拒絶されて、こんなになっちまうぐらい、アイラの事好きだったんだって思い知らされた。



ハイト・・・お前、そういう大事な事は、ちゃんと俺に言っといてくれよ・・・・まさか、そんな新事実このタイミングで知らされようとは。だからお前、アイラの事あんな風に気にしてたんだな?確かに違和感はあったんだよ。ハイトからアイラを気にかける話が出て来た時。


いや、完全に悪いのは俺なんだけどさ。


「・・・・・ヨシュア。アイラと話したか?」


「・・・・・・・ああ」


なんだフィクス。

致命傷を負った俺にトドメを刺しに来たのか?

流石フィクス。えげつねぇ。ヴァンディル家恐るべし。


「・・・なんで、こんな事になる前に手を打たなかったんだ?アイラの望んでた物を与えてやれば良かったじゃないか」


「・・・・・・デェラドリンデの愛の言葉には力が宿る」


「それは、まじないみたいなものって事か?それとも誓約みたいな拘束力があるものか?」


「・・・後者に近い。お前の父親はそれを知ってる。この話をする時、こちらの事情はある程度話してある。家族の前でも素っ気なかったら問題だろ?だから、早く結婚したかった」


そんな呆れた顔すんじゃねぇよ。

分かってる。

これは、俺の意地が招いた結果だって事ぐらい。


「アイラにはちゃんとした言葉を贈りたかった。外っつらだけを気にして吐いた言葉じゃなく、ちゃんと俺が、アイツに。それを説明しなかったのは・・・・・」


「いや・・・・いい。もう言うな。そこはやっぱり喜ばせたいよな・・・・しかし、参ったな・・・・」


アイラのあの言葉は・・・・・本気だと思う。

多分、本気で俺に愛想を尽かしたんだと。


俺は、あんなアイラの表情を、出会って一度も見た事がない。あれは、本当に俺を嫌がってた。


「俺が一番愚かだったのは、アイラになんの許可も説明もせずアイツに延命処置を施した事だ。アイラが聞いてこないことを都合よく利用して、その後も誤魔化し続けた。多分アイラが一番許せなかったのは、そこなんだ」


「お前・・・分かってたんなら・・・」


後ろめたかったんだよ!

処置がどうとか、色々言い訳して、アイラにあんな事した事が!!そんな俺をアイラに知られるのが。


「あーーーーーーーーっしかも、この、問題が山積みの()()タイミング・・・これは、もう無理かもしれねぇな・・・・」


「・・・・・じゃあ諦めろ。元々誰とも結婚するつもり、なかったんだろ?」


「ざっけんな!!お前俺がどんな覚悟でお前ん家に婚約申し出たと思ってんだ!決死の覚悟だぞコラ!お前の親父がアイラを溺愛しまくってんの知らねぇのアイラだけだからな!!」


あの笑顔の裏でどんだけ罵詈雑言並べられてると思ってんだ。俺はライフゼロからのスタートだったんだぞ!


「・・・・ふーーーーーん?やっぱりハイトの言ったことは正しかったな。成る程なぁ?」


「今、その名前出すな。殺したくなるからよ」


しかも、なんでハイト?

俺が比べられる奴がなんで、アイツ?


「は?なんでだ?ハイトが、どうかしたのか?」


「・・・・元々アイラ、ハイトと婚約予定だったんだろ?それを、ハイトが断ったんじゃねぇのかよ」


「・・・・・お前、それまさか、アイラから?」


ダーーーーーーー!!!

うぜぇ!ハイトうぜぇ!なんだあのリア充!まさかお前がそんなポジションに収まる日が来るとはな?何?お前ティファが現れなかったら素知らぬ顔でアイラと結婚したのかよ!どんだけ恵まれてんだゴラァ!!


「まぁ、家同士の口約束というか。正式なものではなかったから言わなかったんだ。ゼクトリアムを絶やすわけにはいかなかったからな」


「二重でアイラを傷つけてんだから・・・救いようがねぇわ」


「アイラ、完璧に隠してたな。流石俺の妹」


厄介なスキルを与えてんじゃねぇよ!

こちとらライフマイナス50だ! コンチキショウ。


「・・・・・・フィクス」


「ん?」


「アイツの好きな物ってなんだ?」


「え?今更?」


うるせぇ! ちゃんと俺だって調べてるわ!

とっておきだ、とっておき!!


「アイツの大好きな物なんて、お前が一番分かってるだろうが・・・」


「それが使えないから聞いてんじゃねぇかよ」


「そうか?使えるんじゃないのか?」


・・・・・・・・ん?


「お前もう怖いものなんて、ないんじゃないのか?その妙なプライド、捨てたらどうだ?俺みたいに」


「・・・・え?お前ベロニカにひれ伏したのか?」


え?なんだその顔?何故そんな、ちょっと勝ち誇ったような顔を?お前、そこまでベロニカにさらけ出したのか?


「サンチコアの騎士団の本気をアイラにも見せてやれよ。お前の本気は、そんなもんなのか?」


あー。それ?ペシュメル様それよく言ってたよな。

それでその言葉を出す時にはロクな事考えてなかったわ。


「やべぇな。俺、遂に本気出しちまうのか?俺も自分がどうなるのか予想できねぇわ」


でもよ。

アイラをあんな顔にさせたまま引き下がるわけにはいかねぇな。アイツはやっぱ我儘言ってるぐらいで丁度いいわ。


俺の本気。見せてやるよ。

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