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第28話

「キルトの葬儀は全部落ち着いたら行うってよ。取り敢えず領主が回復するのを待って、事情聴取するらしい。あと、サンチェストの疫病の拡大を止めないと、なんねぇからな」


「・・・・・・ああ」


「今、セラとラットがあの山について調べてる。お前は親父さんの事もあるから、そっちに・・・・」


「アイツはどうだっていいんだよ。それより、あの穢れを止めねぇと・・・」


大丈夫かヨシュア。

こりゃかなり参ってんな。まぁ、無理もねぇが。


「・・・暫くティファとハイトが国外に出る事になった。ハイトの代わりをフィクスが引き継ぐ。お前はフィクスをサポートしろよ。やれるか?」


「誰に言ってんだ?やれるに決まってんだろ」


「・・・・メルローと、マッジンは暫く俺が預かる。あの調子だと使い物にならなそうだからな」


「甘やかすな。俺達は騎士だ。いつ死んだっておかしくねぇんだぞ」


そんな顔で言われてもなぁ?


「お互い、頭を冷やす時間が必要だ。お前、今回の事自分の責任だとか思ってねぇよな?」


「原因は俺の家だろ」


「違うな。アイツらはこの国の重要文化財を不法に持ち出し悪用した犯罪者だ。お前も、キルトもそれに巻き込まれた。勘違いすんな」


こりゃ今は何言っても駄目そうだ・・・しょうがねぇな。


「おい。ヨシュアちょっと耳貸せ」


「?」


まぁどうせお前らにはバレるだろうから、まぁいいか。


ササラには口止めされてたんだけどな。


「・・・・・!え?アイツ阿呆じゃねぇの?」


「そう言うなよ。でも、時間がねぇんだ」


「・・・・・間に合うのか?」


間に合わせんだよ。

なんとしてもな。


「・・・・・・やっぱあの二人必要ねぇわ。邪魔だから、ティファの護衛にでもしとけ」


「え?どんだけティファに護衛つけんだ?アイツあの中で一番強えぞ?」


でも、そうだな。

その方が効率は良さそうだ。




「あ!ギャドさーーん!ベロニカに引き継ぎ終わりましたぁ!ハイトさんもこちらに向かってますよ!」


「そうか。じゃあ今日中に街を出れそうだな」


「はい! あちらは本当に久し振りなので道に迷わないか心配です」


「ティファ、それなんだが・・・護衛にマッジンとメルローも連れて行って貰えないか?」


お、奥で反応したな?

お前ら、そんなんで大丈夫なのか?

昨日寝てねぇだろ?


「・・・・ちょっとギャド。何勝手に決めてるの?嫌だよ、俺達明らかに二人の邪魔になるじゃん? 婚前旅行なんでしょ?」


「そうそう! お断りだね? 面倒だ」


ん?ティファ?ウンウン任せればいいって?

あーーおう。じゃあ任せた。


スタスタスタスタッ。ピタッ。


「メリルを強奪してきます」


「・・・・・・・・・は?」


「今日ここを発って3日後には戻って来る予定ですが、私とハイトさんでも、あのメリルをここに連れて来るのは至難の技です。お父さんは向こうの人間にとても警戒されてるので、私がハイトさんをメリルに紹介するという名目で連れて行きます」


固まってるな。

そうだよな。でも、何となく、気付いたか?

そう。そうなんだ。


「人一人を攫うなら、人手が要ります。サッサと旅支度をして、降りて来て下さい」


ガタガタンッ。


「ハイトが来る前には済ませる。待っててティファ」


「・・・・・・・・・は?え?」


メルロー。ちょっと理解が遅れてるな。

そりゃそうだ。俺もティファに言われなきゃ信じられなかったが・・・・。


「めちゃくちゃハイトさんにもササラさんにも怒られましたけど、他に打つ手が無くて。ダメだって言われてたんですけど・・・・」


ガタンッ


「・・・・え?ティファ・・・・ま、さか」


「少し残ってたんです。・・・・ベロニカに使った秘薬。これ、絶対に他に漏らさないで下さい。あと、本当に時間、ありません」


お前ちょっと目を離した隙にやってくれたな。

まぁ、ちゃんとキルト本人の了承はとったみたいだけどよ。


一か八かだぞ・・・コレ。


「テゼールさん達はもうこちらに向かってるってよ。大激怒だったらしいが・・・・」


「えうーーー!!は、早くここを出ましょう!!」


お前も実はテゼールさんに会いたくないだけだろ?


あの人、唯一ティファをまともに説教出来る人だからな。

よく考えたら凄く貴重な人物だ。ティファすでにソワソワしてるからな。


「え?ティファは女神なの?」


「虫の息の女神です! 今度こそ息の根を止められるかも知れないです!」


セルシス様、頭抱えてんだろうなぁ。


せっかくカスバールと和平が結ばれて彼方とは良い関係結べてたのになぁ?これで全ておじゃんか?

よくもまぁ、許可が下りたもんだ。あ、下りてはねぇな。


俺は何も聞かなかったって言ってたらしいからな?


「で?行かないんですか? メルローさんは?」


「え? 行くに決まってる。それで二人のイチャイチャを妨害する」


「イチャイチャなんてしませんけど?」


ティファ。目、目が怖え。


そしてさり気なくデッキブラシに手を伸ばすのは、やめとけ。本当に、時間ねぇんだろ?


俺もこれで内心結構、焦ってる。


キルトの仮死状態がいつまで保つかわかんねぇからな。


あの秘薬、量が足りなかったみたいなんだよ。

だから、マジで急げ。


「五分で支度すませるね〜・・・・ティファ・・・」


「はい?」


「・・・ううん?すぐに下りて来る」


「はい!」


わかるぞ。

滅茶苦茶なんだコイツ。

手段を選ばないというか・・・・・。

思い切りがいいと言うか・・・・・・。


本当に、ティファには敵わない。





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