第27話
シリアスです
「意外と元気に喋ってたな」
「そうだね。心配して損した」
外傷も少なかったし、後はあの花を抜いて解毒するだけみたいだしなぁ?キルトも本当災難だよね?あんな騒動に巻き込まれて危険な花を思い切り刺されるとかさぁ?
キングオブツイてない男!
「あ、ヨシュア!お・・・・」
ん?何だその顔・・・・お前ただでさえ貧弱で真っ白な顔が更に血の気を失くしてるぞ?
ちゃんと血通ってる?
「・・・・・・・心臓が止まった」
「・・・・・・・・・ん?」
ん?何が止まったって?
お前の?確かに今にも止まりそうだな?お前の心臓。
なんか怖いものでも見たか?情けねぇな?
「・・・・・・なんの?ヨシュア・・・」
いや、いやいや、マッジンなんだその聞き方・・・。
・・・・・・・・・・・やめろよ。
「キルトの心臓が止まった。・・・・・キルトが死んだ」
・・・・・・・・・は、ははは?
いや、だって今さっき俺達、話したじゃん?
確かに、意識は朦朧としてたけどさ?
まだ、保ちそうだったじゃん?
「マッジン!!あ・・・メルロー!」
ちょっとやめてよー?そういうのは本当マジで。
俺ドッキリとか嫌いじゃないけど、そういうのはいいわ。
それにタイミング的にも、ここはないわ。
キルト、何穏やかな顔で寝てんの?
「キルト?おい、キルト?」
・・・・・・・・・・・・・これは、ないわ。マジで。
「ちょっと、冗談よして。タチ悪いよ本当。起きろよ」
・・・・・・ちょっとイノリちゃん。
なんで俯いたまま動かないの?
いつもなら怒鳴ったり怒ったりするじゃん?
なんで、震えながら泣いてるの?
「・・・・・・・ごめんなさぃ・・・ごめんなさぃ」
なんで・・・・・・・・・・そこで謝るの?
「・・・おーい・・・キルトぉ?」
「おい!マッジン、メルロー!!」
いやいや、馬鹿は死なないから。
アイツ俺らの中で一番頭悪いから、死なねぇって。
「お前、何遊んでんだよ?あんまふざけてると、俺だってたまには怒るぞ〜?」
「う、ううう・・・ひぐっ・・・メル・・・・・」
「・・・泣くな!! 死んでねぇ!! 勝手に殺すんじゃねぇぞ!?」
「メルロー!! やめろ! 落ち着け!」
なんだこれ。
おかしい。
こんなの。
なんでこんな事に?
しかも、こんな死に方。
コイツは騎士なのに・・・。
「メルロー・・・・マッジン・・・」
ヨシュア・・・・・・・・お前か!?
「メルロー!?」
「ちょっと!メルロー!やめろって!」
「なんで助けなかったんだよ。お前の能力なんだろ?」
お前が、キルトに声をかけなければ・・・。
「・・・・そうだ。俺の一族のものだ」
「じゃあ、なんとか出来ただろ!!見殺しにしたのか!!」
タジス村に帰らなければ。
父親の事が無ければ・・・・・。
「・・・・あの花を使ったのが、人間だったからだと思う。俺の能力は・・・多分そういう事には使えない」
意味わかんねぇ。そういう事ってなんだ!
穢れを浄める事が出来るんじゃねぇのかよ!
「俺の母親の時も使えなかった。意図的に人があの花を使ってしまうと、能力が発動しないんだ」
な・・・んだ、それ。
「メルロー! ヨシュアを離せ!! 誰の所為でもない!ヨシュアはギリギリまで手を尽くした!!」
「ああそうかよ! その結果がこれだ! 勝手にキルトを巻き込んだ挙句、一番関係ねぇキルトが死んだ!! コイツらの・・・・!」
バキィイ!
「・・・・・・・ひっく・・・・でぃぶぁ・・・」
「・・・・・・・さっきから黙って聞いていれば。いい加減、口を閉じて頂けますかね?」
「・・・・・ってぇ・・・・・本気で殴りやがったな」
ティファ。なんつー力だ。
俺、ちょっと顔もげそうになった。
あと、少しだけ我に返った。
「それ以上、キルトさんを侮辱するの、やめてもらえます?私、本気で怒りますよ?」
あっそう。
そう?
そうだね?
そうだった・・・・・。
ドサッ。
「・・・ごめんね?イノリちゃん。怒鳴っちゃって・・」
「ひっく・・・ぜったい・・・ゆる・・ざない・・」
そっか。
それは良かった。
俺も一生許して欲しくないわ。俺の事。
「・・・・これは・・・ないわー・・・・・キルト」
あーーーどうしよう。
嫌な予感が的中しちゃったよ・・・。
こんな事なら余計なこと考えるんじゃなかった。
「・・・ほんとに・・・これは、ない・・・・」
こんな所でお前と意見が一致しても全然嬉しくねぇんだけど・・・・。
俺、これからどうしようかな・・・・。
「俺、どうしよう。これから・・・・」
そこもかよ。本当気持ち悪い。
「あーーーーーーー・・・ない・・・わぁ・・」




