第23話
あーーーやばいなぁ。
体が全く動かないぞ、これ。
「この男どうしますか?」
「決して見つからない場所に隠せ。私もこの国から出る準備をする。一応あの娘には監視を付けたが、気付かれて追っ手が掛かる可能性があるからな」
「しかし、逃げるだけなら、わざわざもう一度花を咲かせる必要などないのではないのですか?とても、危険です」
「花など咲かせるつもりはない」
あ。そうなの?
もしかしてさっきの演技だった?
そう言った方がヨシュアを誘導しやすいとでも思ったのかな?馬鹿だなコイツ。それならストレートに言っちゃった方がヨシュアは直ぐにでもアンタに従ったと思うよ?
勿論返り討ちにする気満々で、だけどな?
「デェラドリンデの生き残り、アイツを殺して我等の黒歴史を永遠に消し去る」
勝手な奴等だな?
元々お前達が勝手に勘違いして魔女狩りなんて始めたんだろが。ヨシュアの所為にしてんじゃねぇぞ?このハゲ!
「どの道・・・ヨシュアの母親を殺したのが私だと知られれば私の命はないだろう。その前に、全てを終わらせる」
・・・・・・は?
何言っちゃってんのコイツ。ヨシュアの母親が死んだのはあの花を触ったからじゃ・・・。
「知らなかったとはいえ叔父に従うのではなかった。そうすれば、こんな面倒な事に、ならなかったのだ」
あ、もしかして、それ・・・俺に聞かせてんの?
俺の事も知ってんだな?アンタ。
「お前の親父も災難だったな?あの花が入った茶など口にした所為で、無駄死にする羽目になった」
知ってて、俺にその花を刺したんだな?
もしかして、疫病の話を広めたのも・・・アンタなのか?
「もう、口も聞けないか?やはり、そんなに長くは保たなそうだな。知ってるか?この土地は昔、人が住むには難しい土地だったらしい。土は腐り瘴気は濃く植物など全く育たないそんな場所だったのだと」
知ってる。
歴史の勉強で習ったからな。
青い狼が住む事で、この地の穢れが払われたなんて言われたのもその所為だろ?
「はるか昔はこの辺りは辺り一面青かったそうだ。それが少しずつ減り、今ではあの山にのみ見られるようになった。あそこだけ、いつまでたっても消えなかったんだ。それを、叔父は勘違いした。あの災いの花が消えないのはデェラドリンデの所為だと。彼等があの花をあそこで作り続けているのだろうと。何故、そんな風に思ったと思う?」
魔女狩りが始まった発端か?あんま聞きたい話じゃねぇし、俺ちょっと、かなりしんどいんだけどな?マジで今にも死にそうなんだけど?
「自分の子供があの花に触れて死にそうになった時、デェラドリンデが助けなかった、だからだ」
マジで救いようがねぇな。
で?俺達領民まで巻き込んでの魔女狩りか?
迷惑甚だしい。処されて当然だな。善良な面の皮を被って随分と長生きしやがったな。あのジジイ。
振り回されたアンタもお気の毒。
だが、同情はしねぇぞ? アンタも前領主と同類だからな?
「あんな花無い方がいい。そうだろう?だから、あそこから消してやったぞ? あの花は使いようによっては都合のいい遅効性の毒にもなる。皆喜んで買って行ったぞ? これで、ヨシュアが死ねば、この地の呪われた歴史も終わりを告げる」
「・・・わか、んね。・・そこ、までする必要、あんた、に、ある、のか?黙って、にげれ、ば、良かったん、じゃねぇの?」
俺には理解出来ねぇな?
そこまで憎かったのか?
もしかして・・・・この地に復讐したいの?アンタ。
「ヨシュアがいたら、またこの地を穢れから守ってしまうかも知れないからな」
アンタ領主には全く向いてねぇわ。
自分の憤りを、領民やこの土地に向けるってなんなんだ。
それ、ただの逆恨みだから。
「お前の事もずっと気にしていた。ずっとお前達の事を恐れていた。いつ、真実を突き止めて私の所へ来るかと」
オイオイ。
なんなのその剣。
俺、もうすでに死にそうなんだけど、更に追い討ちかけられちゃう?やべ、体が全然動かねーわ。
「お前は頑丈そうだから、もう少し痛めつけてから井戸にでも落としてやる」
えー?俺多分今刺されたら確実に死んじゃうぞ?
未だ可愛い彼女出来ぬまま、俺一生終えちゃう?
あのギャドでさえあんな可愛いボインと結婚できたのに?
俺もせめてボインとまでは言わないから外見の可愛さと中身が伴った女の子と付き合いたかったなぁ。
俺の周りはバイオレンスガールしか存在しない故、恋愛に発展しないんだ。俺は悪くない!
クソォ・・・俺一応騎士なんだけどなぁ。
ガキィィィィン!ミシッ・・。
「え?剣が・・・・砕け?」
ん?なんだ?剣が体に刺さる前に砕け・・・・あ!コレもしかして?ティファの魔法防壁?
そっか!物理的な攻撃なら弾き返すんだっけ?
「クソ!コイツまさか魔法で守られていたのか?コイツを今すぐ井戸に落として来い!」
あ、マジで?
そのまま井戸に落とすこと決定ですか?
ちょっと?ここら辺の井戸、結構深いぞ?
そんなとこ落とされたら痛そうだな。
「あ!領主様見つけた!!大変です!山が!山がおかしいんです!・・・て、え?この方は?・・・・キルト?お前どうし・・」
げぇ!おっちゃん!?なんでこんなとこに?ヤベェ!
「・・・逃げ、ろ!!走れ!」
「え?わぉ!!な、なんだ?領主様?」
「仕方ない、その男も殺せ」
何つー間の悪い!!空気読め空気をぉ!
だぁあああああ!!
キィィィン!!
「全力、で走れ!!そんで、助けを呼ん、で来い!」
「わぁあ!!わ、わ、わ、わかった!」
「待て!!」
ガキィィィィイイ!
「貴様。やはり、まだ動けたのだな」
いや、もう、目が・・・まともに見えねぇぞ。
こりゃティファの魔力のお陰だな。
普通の人間ならもしかしたら即死だったかもしれないぞ?
ごめん、だからさ。
「多分。手加減できねぇわ」
殺しちゃったらごめんな?そこの護衛の人。
出来れば、楽に殺してやるつもり、なかったんだけど。
「あとさ? さっきから黙って聞いてれば、言い訳ばかりしてんじゃねえぞ?クソが」
お前の下らない逆恨みで、ヨシュアや俺の村の人間を巻き込んでんじゃねーぞ!




