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第21話

変な疫病が広がり始めていると聞いて嫌な予感はしていたんだけどよ?俺、もうコイツ処していいかな?


「いや、悪気は無かったんだよ?この前アイラ様とヨシュア君が訪ねて来たと話を掛けて頂いて、話をしている内にヨシュア君の魔力の話になって・・・ヨシュア君の力の事を知っているみたいだったから、つい・・・」


「つい。俺の力の事を話したんだな?」


「・・・・・ごめん、ヨシュア君」


ごめんじゃねぇよ!

お前、事の重大さを分かってねぇな?


「失礼します。シェスタ様、我々と宮廷にお越し下さい。陛下がシェスタ様をお連れしろと」


「え?へ、陛下が?なんで、でしょう?」


あーーーーー。皆、悪ぃ。


こんな事で仕事の手を止めさせちまって・・・。

そんな同情的な顔で俺を見んな。


「今、俺に言った事を陛下に話せばいい。後は陛下が判断を下す」


「判断?なんの判断なの?ヨシュア君?」


あーーー。本当に頭いてぇ。隅で震えてるカーシャの方がよっぽど事態を把握してんな。本当こんな奴の後妻に収まったあの女に深く同情するわ。


「アンタ、俺はこの国の重要保護対象者だって知ってたよな?その俺の能力を関係者以外にアンタは漏らしたんだ。それで、俺の仲間が今まさに死にそうになってんだよ。アンタの責任だ」


「そ、そんな・・・わ、私はそんなつもりは・・・・」


「そうだな・・・アンタはいつだってそうやって言い訳してきたな?あの時だってアンタは悪気なく母様の出自を漏らした。それが、何を意味するかも考えずに」


「・・・・・・・・え?」


母様が決して言うなと言ったから、黙ってやってたけどな?今回ばかりは許さねぇぞ?俺からしたら、ちゃんと分かって悪事を働いているサンチェストの領主の方がまだマシなんだよ。


「俺の母様が死んだのは、アンタの所為だからな。俺はアンタを絶対に許さない」


「・・・・・ヨ・・シュ・・」


バンッ!!


うぐ・・・うがぉああああああ!!クソが!

だから嫌なんだ!あの馬鹿と話すのは!

仲間の前で余計な事言っちまったじゃねぇか!


・・・・気持ちを入れ替えねぇと。

もうじき解放されたイノリが俺を呼びにここに来る。


ゴルド。お前いい仕事だったぜ!

それに、ティファもアイラも直ぐに動いてくれて本当助かったぜ!あと、問題は一つだな。


俺のあの力の発生条件が穢れに触れた時、ちゃんと発動するかどうか・・・。


「ヨシュア!!」


「あ?何だよ?」


「まさか、一人で行くつもりですの?」


何だよカーシャ。そりゃそうだろ?

相手の要求がそれだからな?


「やめなさい!危険です!」


え?馬鹿なのかこの女。

やめなさいじゃねぇよ。

行かなきゃ俺の仲間が殺されんだよ。


今はお前らに構っている暇はねぇ。


「万が一殺されてしまったら、どうするつもりなのです!貴方結婚も控えておりますのに・・・」


あーーー成る程?そういう事?そこに望みをかけてる訳だな?まぁ気持ちは・・・・。


「ヨシュア。もう、この際この家に入れなどとは言いませんから・・・どうか、このまま何もせず、安全な場所で大人しくしていなさい!危険な場所には行かないで!」


「は?何だそれ?俺が居なくなるとそんなに困るのか?」


「困るとか、困らないとか、そんな事を言っているのではありません!!何故分かってくれないのです!!」


五月蝿え。


「何故、もっと自分を大切にしないのです!貴方は自分の事だけを考えればいいのです!それぐらいで、丁度いい・・・・・」


「うるせぇ!!母親ヅラすんな!!そこまでして贅沢な生活がしてぇのか!!」


よせ。

そんな顔で俺を見んじゃねぇよ!


「・・・・ヨシュア。何してる。さっさと行け」


「・・・・ああ。悪りぃ後、頼んだ」


クソッタレが!






「・・・・どうして。どうして出来ないの?お母様・・俺、力が出せない」


「・・・・それは、私達を救う為の力ではない。この世界を慈しむ・・・その為に使われていたものなのよ」


何で?


何でなの?


俺達の力はこの世界を助けることが出来るんだよね?


なら、何で世界は俺達を助けてくれないの?


「ヨシュア。・・・泣かないで。・・・人はいつか死ぬ。それは、決して悲しい事じゃない。・・・・・終わりがあるから私達は、その短い人生を精一杯生きる事ができる」


分からない。


俺には、そんな事。


「貴方も、自分の人生を思いっきり・・・生きなさい。貴方は自由よ。・・・・誰にも縛られない。・・・・そんな、人生を謳歌しなさい。私が死ねば、それが出来るようになる」


「・・・どういう事?」


「貴方は私達一族の最期の、生き残り・・・貴方が死ねば、もう、その力を持った者は・・・生まれて来ない。・・・それを盾にしなさい」


その言葉の意味を俺は暫くしてから理解した。


「思いっきり好き勝手に生きてやりなさい・・・・私が、出来なかった事を・・・ヨシュア・・・」


母様。

わかんねぇよ。


「父様を許してあげてね。あの人は致命的に阿呆なだけなの」


一体あの男のどこが良かったんだよ!!!

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