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第20話

「お疲れ!今日はどうだった?」


「私の畑は大丈夫そうよ? ネルの方は? 」


「今の所は白い花は見つかんなかったけど、油断は禁物だよなー」


そうなのよねぇ。

原因が明らかにならないと、なんとも言えないわねぇ?

ん?そういえばキルトどこ行ったの?


「キルトは?一緒にいたんじゃないの?」


「え?俺はイノリと一緒だと思ってたんだけど?」


あいつぅ・・・もしかしてサボってる?

いい度胸してんじゃない。アイツはご飯抜き決定ね。


「おーい! 二人共! 」


「あ! キルトどこ行ってたんだよ?飯抜きにされるよ?」


「いや、隣の領土の奴とここの領主が揉めてんだけど?なんか、花を寄越せだなんだって騒いでるぞ?」


「「え!?」」


花って・・まさかあの山の青い花じゃないわよね?


あそこは前の領主様の時からずっと立ち入り禁止だった筈・・・。


「お前らここの領主と話した事あるか?俺が声かけるにしても、知ってる奴がいた方がいいだろ?」


あ、そういえばこいつ、この国の騎士だったわね?

すっかり忘れ去ってたわ!たまには使えるじゃない!


「私が行くわ! ネルは皆にこの事を伝えて。確認だけしてすぐに戻って来るわ」


「分かった! くれぐれも、失礼のないようにね? 二人共」


それは、一体どういう意味かしら?

キルトはともかく私の外面は完璧よ?

長くは持たないけどね!!あはは!


「・・・この前のヨシュアの話だけどさ」


ん?ああ、魔女狩りの事?

そういえばあの時、キルトの奴ずっと黙ってたわね?


「ヨシュアの母親は殺されたのかも」


「・・・・・は?」


何言ってるの?

だってヨシュアさんのお母さんって、サンチコアに住んでいたのよね?


「俺の親父が病気で亡くなったのは知ってるだろ?前の領主に頼まれた荷をサンチコアまで届けてすぐだった」


・・・・・ちょっと・・・待ってよ。

洒落にならないんだけど?まさか・・・。


「ヨシュアの母親も同じくらいに流行病で亡くなってるって・・・でも、その時、流行ってたのは軽い流行り風邪で、それで亡くなった人は殆ど居ないんだ。それを・・・ヨシュアは知ってたんだと思う」


"あーそうか? お前の親父の代ぐらいまでか。悪い、忘れろ。んで、帰ったら一応畑調べとけよ? キルト! お前の村の事なんだからお前も動けよ"


「・・・・・・・あ」


え?じゃあキルトのお父さんも、それに巻き込まれたの?

何よそれ!! 酷い!


「実は俺、ティファがここに来るまで、ヨシュアが変幻出来る聖獣の力を持ってるって知らなかったんだ。知った後もデェラドリンデだとは思ってなくてさ? 正直、この前それを聞いてショックだった」


そうよね・・・。自分の親が持ち込んだものでヨシュアさんのお母さんが亡くなったのかも、しれないんだもんね?


「俺の中の伝説の青い狼が実はヨシュアとか!夢が完全に壊れた!!俺は地味に落ち込んでいる!!」


「そこかーーーい!!」


ゴチーン!!


「イデェーー!! 酷ぇ!真面目にへこんでるんだぞ!」


「あー馬鹿の相手は本当疲れる。心底疲れる」


「容赦ねぇ!そりゃ嫁の貰い手もねぇよ!」


バチーーーン!


「その口を閉じろ!童○野郎!」


「おまっ!!何勝手に決めつけてんだコラ!」


毎回毎回失礼な発言をする、あんた達が悪い!!

少しは懲りなさいよ!


「おやおや?なんだか騒がしいね?どうかしたのかい?」


「あ、領主様。あれ? なんでこんな所に?」


まだ向かっている途中よね?

なんでここにいるのかしら?


「イノリ!!」


「え?きゃあ!!な、何?」


え?背後にも人が?っていうか私なんで拘束されたの?


「動くなよ?イノリさんに怪我させたくないだろう?」


「・・・・・えーと?これは何の騒ぎなんだ?」


「君達には人質になってもらう。叔父上もあんな使い方が出来る事を私に黙っているとは・・・・私の手の者が調べなければ私も危うく騙される所だった」


な、な、何言ってるの?

一体なんの話を・・・・。


「あの青い花。アレを根本から掘り起こし別の土地に植えればあの花が色づく間は実りが絶えることがない。私は、あの花を出来るだけ沢山手に入れたいんだよ」


「・・・・・こんな事して、ただで済むとは思えないぞ?処罰されるだけだ」


そ、そうよ!なのに何なの?なんで、そんな気持ち悪い顔で・・・笑っているのよ!


「あの花の買い手はもう決まっている。私は既に逃走資金を手に入れているんだ。後はあの花をもう一度咲かせ、それを持ってこの国を出るだけだ」


「いや、だからな?なんでそれで俺らを人質に・・・」


「ヨシュア・アルカディア。アイツの父親から彼は狼の姿になれると聞いた。私はそれで、確信した」


な、なんて余計な情報を与えてんのヨシュアさんのお父さん!!馬鹿なの!信じられない!


「あのなぁ。それだけの情報でよくこんな暴挙に出たなぁ?アイツ血の色、緑だぜ?多分こんな事じゃ動かないし、ましてや悪事に手なんか貸さないぞ?」


え?そうなの?凄い言い草ね?


「では、試してみよう。おい!」


え?何?なんなの?アレは・・・。

青い・・・・花?


「えーー?まさかイノリにそれ使うの?大丈夫なのか?」


ちょっ!!アンタ何平然と言ってくれちゃってんの?え?まさか、私、何かされちゃうの!え?嘘!


「そうですね?それもいいですが」


「ーーーーーーーがっ!?」


「ヒッ!!」


花を・・・首に刺した!?

ーーーーキルト!!


「イノリさんだと耐えられず直ぐ死んでしまうから、丈夫そうな君にしよう。残念だったね?」


「・・・・がっ・・・・はっ・・!」


「さぁ?イノリさん。急がないと、この男が死んでしまうぞ?早くヨシュアをここへ連れておいで?」


キ、キルト!!


「・・・・ノリ・・・い、け」


キルト!!


「くれぐれも余計な事はするなよ?もし、他の人間に助けを求めた事が分かれば、この男の首を落とすからね?」


「いそ・・・げ・・」


キルト!!


「・・・ブス」


だぁああああああ!!そのまま死ねぇええええ!!

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