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第16話

「あ!こんにちは、ネルさん!」


「こんにちわ〜今日もティファ元気だねぇ」


「そうですね!私の唯一の取り柄ですから!?」


そんな事ないと思う。皆さんもそう思いますよね?

ティファさん綺麗だし明るいし料理も上手って完璧だと思うよ?最近サンチコアの騎士団の宿舎に食材を運んでるネルだよ!よろしくね!


「あら?ネルさん。お久しぶりですわね?」


「アイラ様も御機嫌よう。今日もティファの所に遊びに来てたんですか?」


「あ、ここの中なら気安い態度で宜しくてよ?前はあんな格好でしたし」


「確かに聞いた時は驚いたけど。アイラ様とても品が良い感じだったからそんなに驚きはしなかったなぁ。あの格好もとても可愛いかったけど!」


本当にこの二人可愛いよねぇ?

ここの宿舎の人達が羨ましいよ。ん?あの人は確か。


「おい。コイツらの上っ面に騙されるなよ?可愛い顔してても中身はエグいからな?お前近場に似たような奴がいんだからわかんだろ?」


「あー?イノリ?え?可愛いの?アイツ」


「可愛いと思うよ?」


「そうだね。見た目なら」


「うんうん。中身を知らなければなぁ」


は、はははははは!みなさーん?うしろーうしろー!


「あん?誰が絶世の美女だってぇ?」


「「「イノリ様です!!」」」


流れるように皆お辞儀したな。 綺麗な四十五度を保ってる! 凄え! いだっ!!


「こんな所で油売ってないで我武者らに働きなさいよ。そして過労死しろ!」


「酷い! そこまで言わなくても!」


そういう所だよ!そういう!! 本当に嫁の貰い手失くなるからな!


「あ、そういえばさ。隣の領で植物の疫病が流行り出したの知ってる?」


「え? 何それ。初めて聞いた・・・」


「何でも感染した植物は色が白く変わっていくらしいのだけれど、一度発見されるとどんどん増え続けて、その土地の土を駄目にしてしまうみたい。植物が全く育たなくなるんですって」


何それ・・・やばいじゃん。

そんなのこっちにまで広がってきたら、俺達暮らしていけなくなっちゃう。


「お前らが暮らしてるサンチェストは土壌が強いからな。でも、何で突然そんな物が流行り出したんだ? 近隣の国でも聞いた事ねぇぞ?」


「・・・それが、どうも噂によると青い花を摘み取ってしまった者がいるみたいなの」


「青い花? なんですそれ?」


あーーうちの領地の山の一角に咲いてるあの花かぁ。

なんでわざわざあそこの花を・・・。


「前ティファに少し話だけど、サンチェスト領には昔から青い狼がいると信じられていて、その狼が咲かす花はこの地の穢れを浄めてくれるって伝えられているんだけど。その花に触れると逆に穢れが広がるらしいの。誰も試したことがないから、実際は分からないけどね? うちの領土にある山の一つに今でも青い花が残る山があって、立ち入り禁止になっていた筈なのだけれど・・・・」


今の領主様はなぁ。

そういうのは気にしなさそうだもんなぁ。


前の領主様は本当に良い方だったのに。

結構な歳だったもんなぁ。しょうがないんだけど。


「・・・・ふーーーーん。取り敢えず、もしその花を見つけたら速攻で燃やせ。根元から土までな。時間稼ぎにはなんだろ、それで」


「ヨシュア様?あの、その花の事・・・」


「まぁな。俺の先祖が生やしたもんだから一応話には聞いてるぞ? こんなに時間が経っても残ってんだから、余程強い穢れか、良くないものだったんだろうな?」


ん? ヨシュア様の先祖? って、え ?


「え?ヨシュア様聖獣の子孫とか?まさかね?」


「悪りぃか。母親の姓がデェラドリンデだ」


えーーーーーーーーーーー!!!デ、デェラドリンデ!!

あ、でも。もうその一族はいないって聞いてるけど?


「俺が最後だ。俺が死ねばその血が絶える。まぁ、それでも良かったんだけどな?」


「・・・・・ヨシュア様?」


「迫害されて来た一族だ。知ってんだろ?お前らの領地で行われていた事だからな?」


「え? そ、そうなの? ごめん俺よく分かってなくて」


アレ? なんか、不味い事聞いちゃったかな?

変な空気になっちゃったぞ?


「あーそうか? お前の親父の代ぐらいまでか。悪い、忘れろ。んで、帰ったら一応畑調べとけよ? キルト! お前の村の事なんだからお前も動けよ。俺はこの事上に報告してくるわ。アイラも行くか?」


「え!? ええ! では、途中までご一緒しますわ。皆様失礼致します」


「はい!お気をつけて!」


「またねぇ〜!」


「ヨシュア〜アイラ嬢変な所に連れ込むなよ・・ぐへ!」


あ。さり気なくティファのパンチがメルローさんの脇腹にヒットしたね。俺見ちゃった。バッチリ見ちゃったよ。


「な、なんか俺、不味い事言っちゃったかな?」


「そうね?知らなかったんだから、しょうがないんじゃない?私もまさか、本当の話だとは思ってなかったけどね」


アレ?イノリはもしかして知ってるのかな?

皆、興味深げにイノリを見てるよ?


「私も祖母から聞いた話だけど、本当に迫害されてたみたい、と、いうか・・・」


なんだろ?イノリが言い澱むなんて珍しいな?

そんな不味い事なの?


「魔女狩りが行われたわしいわよ。しかも密かに。前の領主様が行なっていたらしいわ」


え?それは・・・・大問題なのでは?


「もう、その本人も亡くなってしまっているし、実際に行なった人達も殆どお年寄りか、亡くなってるかしてるから・・・祖母が、子供の頃の話みたいだったし」


「・・・・青い狼は尊いものではなかったと?」


「それが、なんとも複雑というか。狼の姿のままなら問題なかったのだと思うのよ」


「元々が人間だから信用できない、と?」


全然知らなかった。

でも、それだとヨシュア様の仇って俺達って事じゃ?

・・・・・あ、キルト?


「ま、考えても仕方ない事は考えんな! 取り敢えず明日にでも調べに行かないとな! 俺村に帰るのは久しぶりだぁ!」


キルトー?なんかめっちゃ周りの目線痛いよ?気付いて?

・・・お前帰ったらダラダラする気満々だろ?考えが読まれてる!!


「よし! 取り敢えずハイトに報告しよう!」


「鬼畜の檻がここに!!」


やっぱな! やっぱサボる気だったね! ザマァみろ!


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