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第14話

「アイラさん?大丈夫ですか?起きられます?」


気が付いたら私、ティファの部屋のベッドで横になってましたわ。・・・・私途中で気を、失って・・・・ふぇ。


「え!?アイラさん?何故突然泣きだして?どこか辛いです?」


「ち、違っ!は、初めてのキスで気を失うとか・・あ、あり得ませんわ!」


やっとヨシュア様が私にあんな風に触れてくれたのにぃぃ!!こんな醜態を晒してしまうなんて!!あり得ませんわ!!勿体ない!!


「・・・・ま、まぁ。初めてですから、しょうがないのでは?次頑張りましょう!!」


「・・・・そうですわよね?それに、初心者の私には、少しハードでしたわ。次はもう少し手加減して頂きます」


「ん?」


「ん?」


ティファ?どうしました?何故そんな不思議そうな顔を?


「何がハードだったんです?キス、したんですよね?」


「あ、ええ。まぁ・・・そうなんですけれど・・あの」


「?」


どう、説明したら宜しいのかしら?

私も話には聞いた事ありましたが、実際経験した事が無かったですので。


・・・具体的に言った方が宜しいですわよね?


「ティファ。ちょっと耳を貸して下さいませ」


「?はい」


「キスも初級、中級、上級があります。その種類ですが・・」


まぁティファも、これから通る道でしょうから。

知識としてあってもいいですわよね?


「・・・で、・・・・して、そうなります。私がされたのは上級に近い中級のキスですわ」


「な・・・・な、な、な、な、んなぁー!!!」


ん?ティファ?


「破廉恥!破廉恥です!!ビックリしました・・全然無害ではありませんでした!人の仮面を被った獣でした!」


「まぁ・・・間違っては・・いませんわね?ヨシュア様、狼ですし?」


「うきゅーーーー!!私そんな事、ハイトさんにされた事ないです!何故?」


・・・・・え?ソコデスノ?


「ティファ・・・もしかして焦ってますの?」


「焦っているというか・・恋人としてコレで良いのかと。もしかして、ハイトさん私の事、そういう風に見れないのかも知れないです」


それは、ないですわね。

貴女どうしたらそんな思考に?

あんなに愛されてますのに。


「・・・ティファ?私がこんな事、言うのもおかしいですけれど、そういうキスは二人きりの邪魔が入らない空間でしか行われませんわよ?そのチャンスがハイト様とティファには中々訪れないだけなのでは?」


「は!そうですね。それはそうです・・・でも」


「ティファ。貴女達は相思相愛なのですから、そんなに焦らなくても良いのでは?」


ティファ?何故そんな泣きそうな顔を・・・・。


「私・・来年で20歳です。もう立派な成人女性なんですよ?それなのに、これで良いんでしょうか?」


「・・・・・ティファ」


・・・・ごめんなさいティファ。

そうですわよね。すっかりその事を忘れてましたわ!


平民の一般の女性は、大体十代で結婚しますものね。

特別な役職か、宮廷に勤めている方を除いて。


貴女も普通の女性と同じ悩みを抱いても、おかしくありませんわ。


「分からないんです。ハイトさんが私に気を使って触れてこないのか・・・それとも・・・・」


「そうですわねぇ。・・・ティファ。ハイト様は、ちょっと特殊な方だと思いますわ」


「特殊?」


余計な事だと思って黙っていましたが・・・。

変なすれ違いがあるといけませんから。


・・すみません、ハイト様。


「ハイト様には、人として当たり前にある感情が欠如しておりました。恐らく、核と融合した時、人としての部分が少し壊れたのだと思います。それをハイト様のお母様、セシリア様は時間をかけて育みました。そして、ここの騎士団の方々と共過ごしながら日に日にハイト様はそれを取り戻して行ったのだと思いますわ」


そう。私はあの方を影で見守っておりました。

だから、わかりますわ。


「そして、もっともハイト様を変えたのは。貴女ですわ、ティファ」


「・・・・・え?」


ハイト様は恐らく、それまでずっと人として終わる事だけを考えて生きていました。


人らしく生きて人として死ぬ、それだけを。


「貴女に恋をして、貴女と共に生きる事を決意しました。ティファが現れるまでハイト様は誰にも恋した事がないのです」


「ーーーーーッ!」


そう。分かりますわよね?


「ハイト様もティファと同じですわ。ですから、ティファは焦らずハイト様と同じ速度で歩いてあげればいいのでは?」


「・・・・・同じ・・・速度で」


「はい。ハイト様は、きっとティファと一緒に進んで行きたいのですわ。ティファは、それでは嫌ですの?」


「・・・・いえ。・・そんな事・・・ないです」


おかしいですわね?

ティファに伝えているのに・・・私、分かりましたわ。


「私、自分の気持ちだけしか・・考えてませんでした。でも、私。ハイトさんの望みも叶えてあげたいです!」


ずっと、なんでヨシュア様は勝手な事したんだろうって、腹を立てていました。


どうして、私の思う通りにしてくれないんだろうって思っておりましたわ。


でも、違いますわよね。


「ええ、私も。ヨシュア様の望みを叶えて差し上げたいですわ。あの方を・・・幸せにしたいです」


もう、やめます。


変な意地を張って無理矢理ヨシュア様に私を好いてもらおうとするのは・・・。

なぜなら恐らく私は今、とてもヨシュア様に大事にされている。


その事実だけで充分ですわ。


「やはり持つべき者は、女友達ですね!私アイラさんが初めて出来た女友達ですからね!本当にアイラさんは頼りになります!!」


それは私もですわ。ありがとう、ティファ!!

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