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第10話

「それで?エルカディアのご当主とはお話されたのですか?お父様」


「ああ。したぞ。中々に酷い有様だったがな?」


あら?その程度でしたの?それなら安心しましたわ。

私、お父様がお怒りでこの縁談を白紙に戻すかもと思っておりましたから。概ね順調ですわね。


「アレは本当に一家の当主なのか?私はヨシュアを改めて見直したぞ。よく、あんな環境下で、あれ程まともに育ったものだ」


「それは、ヨシュア様にとって最高の褒め言葉になると思われますわ。是非次お会いした時にでも伝えてあげて下さいませ」


ヨシュア様は全てお母様似なのですわね。

シェスタ様に全く似ておりませんもの。


「もういっそヨシュアを婿養子にでもするか?フィクスの相手は平民の女性なのだろ?フィクスの立場が相手を躊躇させているのだろう」


「それは無理ですわね?ヨシュア様の家がそれを許さないのでは?まぁ、あちらがなんと言おうが、こちらが本気になれば関係ありませんが・・・。どの道これはお父様にとっても国にとっても都合の良い縁談話だと思うのですが?」


「そんな事はいい。私は純粋にお前たち二人のことを心配している。お前ヨシュアと上手くやれているのか?また変な噂が立っているぞ?お前独占欲丸出しでヨシュアに迫ったらしいな?」


あら?そうでしたかしら?

私は他の女性に私には滅多に見せない甘いマスクで話しかけるんじゃ無いとお伝えしただけですわ?・・・・ぷん!


「お前達は・・・本当にソックリな兄妹だな。どうでもいい者の前ではピクリとも表情を崩さずに相手を欺けるのに、好いた相手になった途端それが瓦解する。鍛錬が足りん」


「あら?お父様に似たのですわ・・お父様もお母様にはデレデレでしたものね?」


「そんな昔の事は覚えていないな?」


そうですわね。

今でもデレデレですけれどね。

お母様静養中で実家に帰られておりますものね?

離れ離れでお可哀想ですわ。お母様本人にはそんな態度お見せにならないのに・・・。

お父様ツンデレですものね?



「アイラ。体に変化はないか?アレから・・・」


「・・・・・ええ。大丈夫ですわ」


心配しないで下さいませ。もう、大樹は失くなりましたもの。お母様のようになることも、私がゼクトリアムになることもありませんわ。


「私は、お前が長生きしてくれるのなら、それでいい。今だから、言える事だがな」


言わなくても分かっておりますわ。


血が薄いとはいえ我々もゼクトリアムの遠い子孫ですから。盟約を破り大樹に罰を与えられたその一端を我々も請け負っておりましたものね。


「大樹に奪われたお前の寿命が、どれ程のものなのか・・・それは私には分からない。お前が望むのならセシリア様とお会いになるか?」


お父様。

それはいけませんわ。

あの方も、やっと長い役割から解放され平穏に暮らしておりますのに。それに、この事は誰にも知られたくありませんわ。誰にも・・・。


「余計な事はなさらないで下さいませ。大樹の件は解決致しました。もう、これ以上事を荒立てないで下さいませ」


「・・・・そうか。それなら何も言わないが・・・」


ハイト様も黙ってくれておりますし、もうこのままヨシュア様と余生を思う存分楽しみますわ!その為に、なんとしてもヨシュア様には私の事を好きになってもらいます!!


「くれぐれも・・・暴走してヨシュアを困らせる真似はするな?体裁上お前と結婚するのなら、ある程度の立場がヨシュアに必要だ。だから()()家にわざわざ帰ったのだろう?そのヨシュアの労力を無駄にするな。騎士としての地位もヨシュアは身体の都合上低い。魔術団にでも入ってくれれば話は別だが・・・本人は頑なに騎士に拘っているからな」


「わかっておりますわ。このまま何事もなくお話を進めていけば宜しいのでしょう?ただ少しばかり私に夢中になって頂くだけですので・・・」


「・・・・やはり、私はお前を甘やかし過ぎたかもな。いずれお前にかかる負担を考え、哀れに思い自由にさせたのが、いけなかったか・・・・」


あら?そうですの?

私はてっきりお母様似の私を愛でて楽しんでおられるのかと思っておりましたわよ?お父様?


「それにしても、意外ですわね。お父様はお兄様とベロニカの事反対なさると思っておりましたけれど?」


「フィクスの場合、そこら辺の貴族の令嬢をあてがうよりも、その方が安全だからな。しかし、今の相手では女性側の負担が大きい。こちらの世界に馴染めないだろうしな。もう今すぐ貴族制度を廃止なさって下されば解決する問題ではあるが・・・・」


それはそれで大変だと思いますわよ?

まぁ、領主としての務めは残りますから一般人よりは恵まれた生活はできると思いますが。私達が平民の暮らしに馴染むのは中々困難ですわ。お兄様はすっかりあちらの生活に慣れてしまわれましたが。


流石お兄様。恐るべき適応能力。


「あっちもこっちも大変ですわねぇ」


「お前。他人事のように言うな?お前が一番問題を大きくしそうで私は心配なのだが?」


心外ですわね?

そんな事は致しませんわ。

私、こう見えて結構出来る女ですのよ?


「・・・・・妻よ。早く帰って来ないかな・・」


なんですの?全く信用されていないような?

不服ですわ!

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