金タライ「やぁ!」
私の名はアリス・ルミエール
平民ながらも数少ない光属性の使い手、ソールツァーリ法国の聖女として名を馳せているわ。
人間至上主義の法国では、人間こそ至高の宝。
その他の種族は下等種族。
故に使役してあげる事が下等種族共を救うことだとされているのよ。
その中でも翼持つ種族は500年程昔に世界を救った勇者一行の聖女の種族として王族、貴族達から人気が高いわ。
次に、人気なのは綺麗な容姿の多いエルフ。
彼等は幼い時から教育してあげると言う事を良く聞く性玩具として人気が高い。
ただ難点としては、幼いエルフが手に入りにくいと言う事だろうかしら。
さて、下等種族の話はここまでとしておいて。
喜ばしいお話をしましょう。
12歳の時になんと500年程前の勇者一行にいた、かの有名な賢者様が作った魔法学園の入学資格である指輪が届いたのです!
この世界で一握りしか入学を許されないあの魔法学園から来たんですわよ!?
私は喜びで踊り出しそうになり、周りの神官達も我が事のように喜んでくれました。
そして1年の準備期間ののち13歳になった私はトランク1つを持って右の人差し指に付けた指輪を前に出す。
キラリと輝いた指輪は私の足元に転移魔方陣を現した。
こうして私は空の上にある魔法学園へと旅立ったのだ。
あぁ!!どんな人間の方達がいるのか楽しみだわ!!
♢
がっかりだわ。
なによここは!!聞いていないわ!!
なんでこんなにも下等種族がいるんですの!!
「私は聖女なのよ!?何故こんなやつらと一緒の所に押し込められないといけないの!?」
「その酷く淀んでくすんだ金色とは言い難い宝石が付いた指輪。あぁ、法国の人間か。この学園はどの種族も平等、階級等があっても平等だ。貴様だけを優遇するいわれはない」
転移した先は門が目の前にある広い場所だったのだが、荷物を持ったヒトが沢山転移してきていて窮屈に感じる。
下等種族共の声が耳に入って煩わしい。
私は荷物を持っているのよ!?
下等種族は何をしているの!!
私の荷物を持つのは当たり前でしょう!?
なのにここに居る下等種族共は揃って無視!!
挙句の果てには、大人のエルフ如きが私に口ごたえしてくる始末!!
どうなっているのこの学校は!
あの賢者様が作った学校だから楽しみにしていたのに、こんなだったなんて
残念だわ。
でも、この1年無駄に過ごした訳ではない。
この学園に入学する人物達を調べていたのだから。
祖国に有益な者達を手に入れるまでは問題を起こすことは得策ではない。
「問題は起すなよ、法国の」
「.......申し訳ございません。今後気をつける事に致しますわ」
「..............そうしろ」
偉そうなエルフは私を一睨みすると去っていきました。
恥ずかしそうな演技をしながらも内心の私は下等種族共の視線に不快な思いをしている。
あぁ、嫌だわ。なによこの不躾な視線。
さすが下等種族ね。
さて、気を取り直して中に入りましょう。
まずは女子寮に行かなきゃよね。
事前に指輪と共に送られてきていた上質な紙に書かれていた地図を見ながら大きな門を潜り道を進む。
途中誰かと肩がぶつかり謝ろうとしたがその茶髪から出ている耳が尖っているのを見て私は顔をしかめる。
魔族じゃないの!!なんて汚らわしい!!
触れてしまった肩に手を当て汚れを落とすかのように払うと不機嫌もあらわに歩を進める。
たどり着いた女子寮にも文句はあったけども、仕方なしに我慢した。
次に講堂に向かう。
その途中、迷ってしまい花が咲き誇る場所に出てしまった。
一陣の風が吹き髪が乱れる。
目を開けるとそこには陽の光を受けてキラキラと輝く金髪に空の青を写し取ったかのような青い目の王子様のような人間が立っていた。
「君は..............迷子になったのかい?おいで。途中まで案内してあげる」
ふわりと笑ったその方は手を差し出してきた。
私はその手を取るとうっとりと横顔を見つめたまま案内されていった。
「ほら、あそこが講堂の入り口だよ」
暫く歩いているとすぐに講堂に着いてしまった
あぁ、残念だわ。と思っていると王子様が私の耳元に顔を寄せてきた。
「私の名はプルデンシオ・ミューア・エクルストン。法国の皇太子だよ。良ければ覚えてくれると嬉しいな、聖女様」
まぁ!我が法国の皇太子様だったなんて!私が聖女だとどうして分かったのかしら!嬉しいわ!
と嬉しく思う反面
え、何これ。くさっ!
セリフくさすぎでしょ。
うわー、何だろうこれ。吐き気もよおすわー。
三次元でコレはないわー吐くわー。
私とは違う心の声が聞こえてきて驚く。
「.......え?」
「ふふ。驚いたかい?それはね、君の綺麗なピンクブロンドの髪に吸い込まれそうな程澄んだ蜂蜜色の瞳」
うっはー!!胸焼けするーー!!
まだなんかクサイセリフやってるけど無理無理無理!!
はい!カットー!!
「いけませんわ殿下!私、このままでは二人とも始業式に遅刻してしまいますわ」
「そうだね、蜂蜜の君。そろそろ行こうか」
ハチミツの君てなんぞ。
目以外その色ないよ?何このクサ男目しか見てないの?
出来れば早く去って頂きたいクサ過ぎる。
え?え?何ですの?この考え
なぜか、どんどん侵食されていってる.......?
困惑したまま講堂の扉をくぐった時、何かが頭に直撃。
カィーン!!という軽い音を講堂に響かせて私の頭に当たった。
意識が遠のく直前誰かの声が聞こえた。
あ。当てる相手間違えたわ
と。
♢
目を開けた時、私の目に入った天井は白かった
他に目を向けてみれば病院でベッドの周りを仕切るカーテンが目に入る。
匂いはなんか、フローラル。
えーと、ここは?
「目が覚めた〜?」
「わっしょい!!?」
「わっしょい?なんのかけ声?」
ビックリし過ぎて変な掛け声出た。
「ご、ごめんなさい.......。驚いてしまいました」
「驚いてそんな声が出るなんて〜。変な子だね〜」
変な子言われた、だと!?
だがしかしグゥの音も出ない。
あ、いけない。私寝たままじゃないか起き上がらないと失礼だ。
「あ、無理して起き上がらなくてもいいよ〜。それとね、君の頭の上に降ってきた金タライ、アーティファクトだったよ!凄いね!」
「は?」
「しかも所有者は君でいいんだって!理事長も太っ腹〜!ボクも欲しかったなぁ〜」
「あ、じゃああげる」
思わず即答してしまった。
と、ここで初めて声の主をはっきり見た。
クルクルと跳ねた猫っ毛のハニーブロンドの髪にレモンイエローの瞳、童顔な白衣を着た男性が金タライをキラキラした目で見ている。
うん、この人こそハチミツの君と呼ばれるに相応しい名じゃねぇか。
「そうもいかないよ〜。アーティファクトは大抵所有者が決まってるらしいから他の人は使えないんだ〜!この金タライ、能力何を持ってんだろ〜。分かんない?」
「分かるはず無いでしょ私が」
何かと思ったら金タライかよ私の頭に落ちてきたの。
はぁー、と溜め息を吐くとズキンと頭頂部が傷んだ。
あー、これはタンコブ出来てそうだ。
しっかし、最後に聞こえてきた声は一体なんなんだろう。
間違えたって誰と間違えたんだよ間違えんじゃねぇよコンチクショー。
「あ、今更だけど〜、自分が誰か分かる〜?たんこぶ以外はなん異常も無いっぽいんだけどもしもがあったら困るからね〜」
「今更過ぎでしょう!?自分が誰かくらい分かるわよ!!私は…アリス・ルミエールよ!.......え?」
あれ?アリ.......ス?アリスって誰?私?私の名前は..............。
嘘でしょ!?思い出せない.......!
でも、ちゃんと現代日本で働いてたOLで、悲しいけど彼氏いない歴と年齢が同じで、今ハマっているものは、とある乙女ゲーム。
あれ?アリス・ルミエールって確か私がやってた乙女ゲーム『ヴァイス・シュヴァルツ』に出てくるヒロインじゃなかったっけ?
え?えっ?どうなってんの?
そうだ!容姿!容姿を見れば何かが分かるかも!
でもここに鏡はない。
あるのは白衣の人が持っているピッカピカに磨きあげられた銀色の金タライ。
「ごめん。その金タライ貸してください」
「うんいいよ〜もともと君のだしね〜」
寝転がったまま受け取った金タライで顔の容姿を確認する。
ピッカピカに磨きあげられているおかげか鏡までとはいかないまでも顔の造作が分かる。
この顔ゲームで見たことある!ヒロインじゃん!!
「金タライを鏡代わりにするヒト初めてみたよ〜」
あはは〜と笑っているハチミツの君と呼ばれるに相応しい白衣の人を見る。
あ。このヒトもゲームで見たことある。保健医の
「.......コーディ・ピンコット」
「ん?ぼくがどうしたの〜?」
思わずと言った感じに名前を読んでしまうと目の前の白衣の人はコテりと首を傾げた。
うん。可愛い。
お姉さま方からの人気があったのがとてもよく分かります。
これは夢なんじゃないかと思って、私は自分の頬を思いっきり抓ってみた。
痛い。ものっそい痛い。
ってことは現実、という事よね……?
もしかして今小説とかで人気の転生ってやつ!?
この私が!?いつ死んだのか全っ然分かんないけど、悪役じゃなくてヒロイン!?
大好きだった『ヴァイス・シュヴァルツ』のゲームに!?
って事は私の推しもここの学園にいるの!?会いたい!!会ってこの思いの丈をぶつけたい!!
とここまで思った事で気づく。
私の推しがそう言えば隠しキャラだということに。
えっ。何これ逆ハーしなきゃダメ?
ゲームでは攻略者の好感度100%の逆ハーエンドで終わらせた次のデータでは私の推しが出てきた
でもここは考える限りでは今の私にとっては現実だ。
人生は1度きり。……ループしていない限りは。
ループとか何の嫌がらせだよって思うから1度きりだと考える事にする。
ってことはだ。この学園で逆ハーエンドした日なんか私はただの痴女じゃねーか。
うん、逆ハーエンドは無しだ。
ここが現実だとすると私の推しは実在する事になる。
初めから。
ここ重要よ。初めから存在しているとしたら学園にいる訳で、探したらきっと見つかるだろう。
私の推しのルートは何度もやったとも!どこに出現するとか暗記してるわ!
ハァ.......。一目でいいから会いたい.......。
「君、金タライなんか見つめて1人百面相してるなんて面白い子だね〜」
そんな、ぽわぽわした言葉に一気に現実に引き戻される。
ここ保健室で、ってなんでこの先生頬杖ついて私の顔見てんの?
「うん!体調は大丈夫みたいだね!これなら授業に出ても大丈夫だよ!でも暫く無理な運動とかは禁止だからね!」
パッと立ち上がった保健室の先生。
「あ、ありがとうございます……?」
私はベッドから起き上がると金タライを抱えて保健室の扉まで歩いていく。
「これから頑張ってね!.......法国の聖女様?」
出ていく直前聞こえた保健室の先生の声が冷たく聞こえて思わず振り返る。
が、そこにいるのはニコニコと笑って手を振っている保健医のみ。
気のせいかな?と思いながら保健室を後にした。
「あ〜ぁ。傷を負ったとしてももう法国の人間には来て欲しくないなぁ〜」
保健医のコーディが呟いた言葉は誰に聞かれることも無く保健室の空気に溶けていった。
♢
入学式から数日、時はお昼ご飯の時間、場所は学園内にある食堂。
私は落ち込んでいた。
保健室から出たあと教室に戻ったのだが、めっちゃ白い目を向けられたのだ。
その時は金タライなんか持って教室に行ったのが原因かと思った。
が、2日目も教室に入ると皆が急に声量を落としてヒソヒソと話しながら私を見ていた。
その視線は良いものじゃなくて、明らかに嫌悪が混じっている。
声を掛けようとすると明らかに嫌なのか皆取り繕った笑みを向けて対応してくる。
この学園は全寮制なのだけど、中学一年の間は4人部屋なんだけど、同室の子達もよそよそしいと言うか関わり合いになりたくない、と言うのがハッキリわかるほど態度に出ている。
.......おかしいな。私ヒロインだよね?なんでこんなにも皆に嫌われているの?
と思ったので、少し調べてみました。
と言うか無理矢理聞き出した。同室の子達に
どうやら、法国の聖女と言う出自がいけないようだ。
出自が原因とか!!私じゃあどうにも出来ないじゃん!!
これじゃあ私の推しに出会っても嫌われるに決まってんじゃない!!
後、法国の事チラリと聞いてみたけど、法国、クソクソのクソだわ。
めっちゃ嫌われてる。
てゆーか、私も嫌いだわクソめ。
それから現在進行形で迷惑なのが、今私の目の前で座ってうっとりと私を見ている法国の皇太子
確かこいつ『ヴァイス・シュバルツ』の攻略キャラの一人だった。
名前は.......えーと。乙ゲーだと何処にでもいるようなキャラだったし私は興味が無かったから覚えてないんだよね。嫌々攻略はしたけど。
ただ、『ヴァイス・シュバルツ』内でも法国の立ち位置はクソだったからこの皇太子もクソって呼んでた気がする。
.......このキャラのファンには申し訳ないんだけどねー。平気で人種差別とかするような輩はクソで十分。
しかもさぁ、毎度毎度ご飯の時間になると私を見つけて正面に座るんだよね。
新しい友達とか作りたいのにこいつのせいで全てが台無し。
出来れば私の推しも探したいのにクソのせいでそれも出来ない。
昼食のローストビーフ丼
味は凄く美味しいのにクソの皇太子がいるせいで何故か味が半減しているように感じる。
あー、嫌いな奴と食う飯ほど不味いものは無いって聞いた事あったけど、こういう事ねー。
知りたくなかったわー。
早く立ち去れクソめ。
こいつの事もうクソで良いよね?
うん。クソでいいわ。
よし、クソでいこう。
.......あれ?おかしいな私。今クソとしか考えてないぞ?
何故だ?.......あ!そっか!目の前のクソのせいだ.......ってまた視界に入れてしまった!!
うわっ!なんかクソの雰囲気が甘くなった!!ウボァ!!
ローストビーフ丼が美味しいから吐きたくないけど吐きたい!!
無よ。無になれ私。頑張れ私、頑張れば無になれるはずだ。無に.......グボェ!!無理!!無理無理無理!!!目の前のクソがウザすぎて無理!!誰か助けて!!このままだとローストビーフ丼が犠牲になっちゃうっ!!!
「.......どうしたんだい蜂蜜の君?顔色が悪くなっているようだけど.......」
あ、やっと気付いてくれた?クソのせいで今凄く吐きそうなんだよね。
このまま立ち去ってくれない?
「もしや.......そんな低俗なモノを食べているせいで気分が悪いんじゃあないのかい?.......やはり、そんな低俗なモノなんて蜂蜜の君の口には合わなかったんだよ。今からでも良いから作り直してもらおう」
オバァ!!.......あっぶね。今口からローストビーフ丼が出るところだった.......!!
なんやねんこのクソボケドアホは!!
お ま え の せ い で !!こちとら吐きそうになってるって言うのに何処をどうしたらローストビーフ丼のせいになるわけ!?
ってか、ローストビーフ丼が低俗な食べ物だと!?
んなわけあるかこのクソ野郎!!
どんだけの手間が掛かっていると思うんだ!!
ビーフって言ってるから多分牛だと思う。
その牛肉をローストして薄くカットしてアツアツのご飯の上に綺麗に山のように盛る!そして山の頂上には黄色い卵の黄身のみをのせてタレを掛ける!食べる!美味しい!!
え?なに?これじゃ分かんない?
ただのOLに凝った料理の作り方なんて期待しちゃダメに決まってんでしょ。
.......はぁ、私ったら何をセルフ突っ込みしているんだろう。疲れた。
それよりも、だ。
一口、木のコップに入っていた水を飲む。
あぁ.......お水美味しい.......。
クソの顔を極力見ないように伏し目がちにクソの服を見る。
「.......殿下、私は大丈夫ですわ。ご飯が余りにも美味しくて少し喉に詰まらせてしまっただけですわ」
「そう?だけど、そんな低俗なモノを蜂蜜の君が食べているのは私は嫌だな」
考え直さないかい.......?と言ってクソはスプーンを持っている方の私の手に触れようとしてきやがった。
「まぁ、殿下ったら.......。触らないで下さいませんこと?」
私はクソに対して冷たく言い放ち、そっとスプーンを持っている方の手を遠ざけつつローストビーフ丼の中身を食べる。
おやまー私ったらついポロリと本音が出てしまいましたわー。
てゆーか、お嬢様言葉疲れるわー。
ほんの少ししか話してないのに何?この疲労感。意味わかんないなんで?
あ、分かった! ク ソ が相手だからだ!!
こいつが目の端に映るだけでも神経すり減る。し、声掛けられた時には眉間に皺が寄り添うになる
ご飯時はクソを真正面に見ながらご飯。
ご飯美味しいのに美味しくないよー。
「ふふ。蜂蜜の君の恥じらう姿もすっごく可愛いね」
クソはうっとりと微笑みながら私を見ている。
何故じゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
どこをどうしたらそうとる訳!?
私恥じらってた!?恥じらうはず無いよね!?冷たく言ってんのにそれを恥じらいだと普通とるか!?
えっ?何こいつ.......頭の中どうなってんの.......?
私はと言うと残り少なくなったローストビーフ丼をかきこみたい衝動に駆られつつもお上品に一口づつスプーンに掬って食べている。
ただし、頭の中は盛大に混乱してクソに対してどん引いているのだが。
「.......ねぇ。蜂蜜の君?それが終わったら」
「ごちそーさまでした!あら!私ったら用事を思い出しましたわー」
何かクソが下らない事を言いそうな予感がしたので、
丼を持って残り2口くらいになった米を口の中にかき込む。
コップの中の水を一気飲みして米を胃の中に流し込み、コップをトレーの上に勢いよく置く。
ニッコリとクソに対して笑った私は空になった器が乗ったトレーを持つと椅子から立ち上がる。
最後の用事の部分が棒読みになった気もするけれどそんな事気にせずに食器返却の場所へと歩いて行った。
「ご馳走様でしたー」
返却口にトレーを置きながら中で食器を洗っている人達に言うも、私を見るとあからさまに嫌な顔をされる。
うん。私はめげないぞー。
肩書きが悪いんだもん。法国なんて言うクソ国のせいで皆からの風あたりは悪いけど、めげてたまるか!!
私の推しに会うまでは、生きる!!
よし!頑張ろー!!と思って食堂から出る間際、とある生徒達の会話が耳に入った。
「.......うわっ。汚物だっ」
「.......こらっ!法国の人間に何されるか分かったもんじゃないぞ.......!」
「でもよー。あの国の人間皆精神腐ってる汚物じゃん!」
「しぃー!本当の事だけどっ。本当の事だけど食堂で言っちゃダメだろ.......!」
私はその会話を聞いて早歩きで食堂を後にした。
午後の授業の為にどっか静かな所を.......探すのは止めよう。
クソが来ても困る。
出来れば私の推しに会って陰ながら見守りたいけど、
その前に心折れそうです。
私が何したって言うのよー!!!