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地球と分子に挟まれて  作者: 半ノ木ゆか
第1章 生命史
5/28

1-2. 太古累代

◆太古累代◆


 なんにもない空の下に、なんにもない地面があります。あなたは今、酸素ボンベを背負って、紫外線をさえぎる宇宙服のようなものを着て歩いています。


 今から40億年前にはじまって、25億年前におわった時代を太古累代たいこるいだい (Archean) といいます。冥王累代に続く地球の2番目の時代です。太古累代は古い方から順に、始太古代、古太古代、中太古代、新太古代の4つの時代に分けられます。


太古累代たいこるいだい Archean

 新太古代しんたいこだい Neoarchean

 中太古代ちゅうたいこだい Mesoarchean

 古太古代こたいこだい Paleoarchean

 原太古代げんたいこだい Eoarchean


 太古累代の初めの頃の空気には、酸素がほとんど含まれていません。オゾン層もなく、有害な紫外線がじかに降り注いでいます。岩と砂の大地には虫一匹、草一本見当りません。もしこんな世界に生身で放り出されたら、人間は5分ももたずに死んでしまうでしょう。


 ところが、こんな時代にも生き物はちゃんといます。磯を歩いてみて下さい。濡れた岩肌にドロドロとしたものがへばりついているかもしれません。



◆酸素が増えた◆


 今、あなたは酸素を吸って、呼吸をして生きています。植物は日の光を浴びて、光合成をして生きています。ですが、初めの頃の生き物は呼吸も光合成もしていませんでした。


 生き物が生れる前の地球は、火山ガスが噴き出しているせいで、空気にも水にも二酸化炭素がたくさんあって、酸素はほとんど含まれていたかったと考えられています。また、水の中には有機物がたっぷり溜まっていたと見積られています。ですから、初めの頃の生き物は、周りにある有機物をばらばらにしてエネルギーを取り出したり、火山活動で放出されたメタンや水素を有機物に組み立てたりして生きていたと考えられます。


 そのあと、光エネルギーを使って有機物を組み立てる、光合成こうごうせいを行なう生き物が現れました。中でも藍色細菌類らんしよくさいきんるい (Cyanobacteria) は、たくさんある水と二酸化炭素を使って酸素を作り出します。畳層石じようそうせき (stromatolite) という層の形をした岩石は、約27億年前以降、藍色細菌類が大繁殖したことを物語っています。


 海の中に放たれた酸素は、鉄分と結び付いて酸化鉄になり、溜まっていきました。これが、大規模な鉄鋼層のみなもとだと考えられています。鉄鋼層に含まれている鉄鉱石は、かして不純物を取り除くと鉄になります。私たちの身近にある鉄のもとは、実は大昔の生き物が作ったのです。


 また、水の中の酸素が増えたことで、それを使って呼吸をする生き物もだんだんと増えていったと考えられます。



◆生き物の仲間分け◆


 この時代、生き物たちは大まかに2つの仲間に分れています。1つは細菌類さいきんるい (Bacteria)、もう1つは古菌類こきんるい (Archaea)(註1) です。


 今生きている細菌類には、大腸菌だいちようきんや藍色細菌類などがいます。今日では、海水や淡水、土の中に棲んでいたり、他の生き物に取り付いて生きていたりします。


 今生きている古菌類には、超好熱菌ちようこうねつきん高度好塩菌こうどこうえんきん、メタンきんなどがいます。今日では、熱いところやえん濃度の高いところなど、他の生き物が生きられないような場所に棲むものが目立ちますが、海水や土の中など、普通の場所に棲むものもたくさんいます。


 私たちヒトを含む真核類しんかくるい (Eukaryota) は、今までは古菌類とは別の生き物だと考えられてきました。ですが近頃では、真核類は古菌類の一系統だと考えられています (Doolittle 2020)。

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