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地球と分子に挟まれて  作者: 半ノ木ゆか
第3章 環境
17/28

3-0. 環境とは

挿絵(By みてみん)


◆あらまし◆


 この章では、生き物と環境の関りについてまとめます。



◆環境◆


 生き物の身のまわりにはさまざまな物があります。すこし画面から目を離して、あたりを見回してみましょう。


 何がありましたか。家具や乗物、水や空気。光や温度のように触れられないものもあります。それから、あなた以外の生き物もいます。動物や植物だけではありません。顕微鏡越しにあなたの体を見てみれば、そこに小さな生き物が住み着いているとわかるはずです。


 生き物の身のまわりを環境かんきよう (emvironment) といいます。環境は非生物的環境ひせいぶつてきかんきよう (abiotic environment) と生物的環境せいぶつてきかんきよう (biotic environment) に分けられます。非生物的環境は、その生き物のまわりにある水や空気、光、温度などから成り立っています。生物的環境は、その生き物のまわりにいる他の生き物から成り立っています。


 非生物的環境の要素には、次のようなものがあります。


・水

・空気

・土

・光

・温度

・湿度

・pH


 生き物と環境は、お互いに影響を受けあっています。非生物的環境から生き物への働きかけを作用さよう (action)、生き物から非生物的環境への働きかけを反作用はんさよう (reaction) といいます。また、生き物同士の働きかけを相互作用そうごさよう (coaction) といいます (図3-a)。



挿絵(By みてみん)

▲図3-a: 作用・反作用・相互作用



 相互作用のなかでも、異なる種の生き物同士が深い関りをもっているものを共生きようせい (symbiosis) といいます (Diller et al. 2020)。共生は、お互いの損得に基づくと大まかに6つに分けられます (図3-b)。



挿絵(By みてみん)

▲図3-b: 共生 (石橋・名和 [2008] に基づき作成。搾取 [exploitation] という用語はMartin, Schwab 2013 に拠る)



 両方の生き物に得な共生を相利共生そうりきようせい (mutualism) といいます。

 

 片方の生き物に得で、もう片方の生き物には損でも得でもない共生を偏利共生へんりきようせい (commensalism) といいます。


 片方の生き物に得で、もう一方の生き物に損な共生を搾取さくしゆ (agonism; exploitation; contramensalism) といいます。


 両方の生き物に損でも得でもない共生を、中立ちゆうりつ (neutrarlism) といいます。

 

 片方の生き物に損で、もう一方の生き物には損でも得でもない共生を偏害共生へんがいきようせい (amensalism) といいます。


 両方の生き物に損な共生を相害共生そうがいきようせい (antagonism) といいます。


 それぞれの関係の具体的な例は、3-4で説明します。



◆環世界◆


 生き物は、環境の内側でただじっとしているわけではありません。例えば、ヒトは目で光を見たり、鼻で匂いを嗅いだりしています。手で物を握ったり、口で物を食べたりすることもあります。このように、生き物は常に環境を受けとめたり、環境に働きかけたりして生きているのです。


 環境のなかでも、生き物が受けとめたり働きかけたりできる世界のことを環世界かんせかい (ドイツ語: Umwelt) といいます。環世界を図にすると、下のようなっかになります。これを機能環きのうかん (ドイツ語: Funktionskreis) といいます。



挿絵(By みてみん)

▲図3-c: 機能環 (ユクスキュル, クリサート [2005] に基づき作成)



 環世界の中で、受けとめたり働きかけたりしている生き物を主体しゆたい (ドイツ語: Subjekt) といいます。また、受けとめたり働きかけたりする相手を客体きやくたい (ドイツ語: Objekt) といいます。


 まず、主体は客体からの刺戟しげき (stimulus)(註1) を受けとめます。ヒトが受けとめる刺戟には、光、音、匂い、味、熱などがあります。主体の体のうち、刺戟を受けとめる部分のことを受容体じゆようたい (receptor) といいます。ヒトの体の受容体には、目、耳、鼻、舌、肌などがあります。


 次に、主体は反応はんのう (response) して客体にはたらきかけます。ヒトが行なう反応には、免疫反応、運動、分泌などがあります。主体の体のうち、反応を起こす部分のことを効果体こうかたい (effector) といいます。ヒトの体の効果体には、免疫細胞、筋肉、分泌腺などがあります。



◆刺戟の受容と反応の目的・恒常性◆


 生き物は、刺戟を受けとめたり反応したりすることで、自分の体の中の状態を保とうとします。


 例えば、ヒトは体温が下がると、交感神経やいろいろなホルモンがはたらいて、体温を上げようとします。このように、反応がもとの刺戟を打ち消すことで、自分の体の中の状態を保つのです。この性質を恒常性こうじようせい (homeostasis) といいます。




 生き物はどのように環境を受けとめ、どのように環境にはたらきかけるのでしょうか。大きなまとまりから順に見てゆきましょう。

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