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待ちわびる者達

『まおうさまぁ、ごほうこくぅがございますぅ。』

 闇に閉ざされた空間。突如としてその空間に灯りが灯る。何も無いと思えた空間には豪華な装飾が施され床には赤いマットが引かれている。その床に膝をつき1人の魔族アルビデが魔王に報告する。


『ん?なんだアビィ。…お前が報告とは珍しいな。侵攻に関してはお前たち八位階以上の幹部に一任するぞ?。私は強い者にしか興味はないからな。』

 その豪華な部屋の中で一際目立つ物がある。大きなベッドである。そこに赤髪に少女が横になっている。その少女は呼びかけに対して余り興味がないように横になったまま応える。その正体は魔王。人族及び亜人種と呼ばれる者達と日々領土の奪い合いを繰り返す魔族達の王である。


『いぜん、まおうさまぁがおっしゃったぁ、かたについてですぅ。』


『ん?…あぁ、確かオウギと名乗った男だったな。約百年ぶりに人族の中でここまでくる可能性があると思った存在だった。良き道を歩めばこの眼前に現れるだろう。…それがどうかしたか?。』


『まおうさまぁが、だされたかいにゅうきんしをやぶったものがおりますぅ。そのふたりはぁ、おうぎさまとせんとうぅをおこなったそうですぅ。』


『…何?。それは本当か…。』

 その場の空気が凍る。それは比喩などではなく物理的に広大な室内が氷に覆われたのだ。当然報告者のアルビデも魔王自身も氷漬けになる。


『…ぷはっ、まおうさまぁ、とうぜんはおやめくださいぃ。それにほうこくぅはまだぁおわってないですぅよ。』

 時が止まった空間。しかしアルビデの周りの氷は溶け始める。そして報告がまだ途中であることを伝える。


『…済まない。』

 魔王の体から光が漏れ氷にヒビがはいる。その亀裂は氷の中を突き進んでい全体に至る。そして氷は爆散する。


『…あとでぇかたづけぇさせますねぇ。』

 爆散した氷が散らばり溶け床が水浸しになる。


『いや、それには及ばない。』

 魔王が手を前にかざすと床の水分が一瞬で蒸発。何も無かったかのようになる。


『さすがですぅ。…それではぁほうこくのつづきですぅ。おうぎさまにてをだしたふたりはぁおうぎのてによってぇしょうめつしましたぁ。ふたりはぁだいさんいかいでしたぁ。』


『そうか、ならば私が手を下すことは特にないな。それに第三位階とはいえ2人同時で勝つか。そこまでの人族は今世界に果たして何人いるか…。オウギ、やはりお前なら…届くかもしれない。』


『もうひとつ、ありますぅ。そのときにおうぎさまは…れいけんをはつどうされたようですぅ。わたしのぉ、ぶかからじょうほうがあがってますぅ。』


『…霊剣?。…あぁ、確か剣聖にのみ許された魂の依代か。そうか、そうか、オウギは剣聖も持っているか。ふふっ、ふはははは‼︎。あー、楽しみだ。アビィ!これは厳命だ。第八位階以上の魔族全員に伝えろ!。オウギは私の獲物だ。まだまだ手を出すことは許さぬ。気が熟すまでその刃を磨がせる。』

 アルビデからの報告に大きく笑う魔王。そして第八位階、つまり魔族の中でも最上位の幹部にオウギに手出し無用の命令を出すように命じる。今はまだそのレベルとぶつけても勝てないだろうと思ってのことであった。一位階とそれ以外に大きな壁があるように七位階と八位階にも大きな壁が存在する。それが幹部とそれ以外の境界なのだ。


『かしこまりましたぁ、…それではぁしつれいしますぅ。』

 楽しそうな魔王の姿を見たアルビデは微笑みながら礼をしてその場を去る。








『あれほどまおうさまがぁたのしそうにされたのはいつぶりでしょうか。…おうぎさまぁ、いつかわたしも…そのまえにたちふさがりますぅ。わたしをたおしたときぃ、まおうさまのもくてきははたされるはずですぅ。…だから、はやくぅ、ここまできてくださいぃ。』


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