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剣聖の業物

次回更新はお休みします。

次の更新は10月21日になります。

「…くくく、さぁさぁ、縛っていきますよ。」

 護衛の男が笑い声をあげながらアネッサを縛る影に流す魔力を増やしていく。それに伴いアネッサの体を這いずるように影が上に向かっていく。アネッサも抵抗するがやはり男の方が適正値が高いのか止めるには至らない。


「…ぐ、……オウギさんの邪魔になることだけは…許されない。ならば…」

 アネッサが抵抗をやめる。這い上がる影は一気に速度をあげ遂にアネッサの首元まで到達する。


「おや?もう諦めてしまったんですか?。それでも元指輪の所持者ですか?。」

 あっさりと抵抗をやめたアネッサに挑発するように男が言う。


「…ぐっ、…オウギさん、ちょっと失礼するね。」

 男の言葉に耳を貸すことなくアネッサは行動を起こす。足を地面に擦り付け模様を描く。


「…!何を…」

 それを見た男がアネッサの首を絞める影に魔力を込めようとするがその前に変化が起こる。アネッサの体、そして自分の体が地面に沈み込んでいるのだ。


「…アネッサさん⁉︎。」


「…私は絶対に帰ってくる。だからオウギさんも頑張って!。」

 その言葉を残しアネッサと男は完全に姿を消した。


「…これは…転移、いや、少し違…」


『ドコをミテイル‼︎』

 アネッサの行動を考えていたオウギに拳が振り下ろされる。


「…っ、そうですね、まずは…倒します。『裁きの雷』‼︎。」

 オウギの腕に白い稲光が灯る。チチチ…と音を発するその光は放たれる瞬間を待ちわびていた。


『ソノマホウは…。ハヤリオマエはツヨイ!。ソレデこそ…クウイミがアル。』


『オレがマエニデル。エンゴしろ!』

 魔族の片割れが突進してくる。腕を体の前に構えてオウギの攻撃に備える。


「…この魔法はガード不可ですよ。『放電』。」

 オウギが導くように魔族に腕を向ける。その瞬間白光と共に電撃が放たれる。


『ジジジジジゥ…ッ…‼︎』

 光の直線は射線上の全てを薙ぎ払ったはずだった。しかし、


『…ナニかシタカ?。…クラエ…‼︎』

 突進してきていた魔族は無傷。そして距離を詰めオウギの体にその拳を叩き込む。


「…ぐっ⁉︎…今のは…」


『マダダ。…』

 更にオウギの頭上から雷が落ちる。


「ぐあぁ!……。…っ、この雷は僕の…。…そういうことか。…転移魔法の使い手なんですね。その後ろの方が。」


『…ホウ、サスガにバレるか。ソウダ、オレがテンイでカエシタノダ。』


「…前にやった魔族とは魔法の使い方が違う。」


『オイオイ、オレタチをソコイラのマゾクとドウレツにスルナヨ。スデにオレタチはマゾクのジョウイイチワリにハイッテイル。』


『ソシテキョウオマエをクッテ、マゾクのカンブクラスにナルノダ!。シネェ!。』

 魔族から次々と魔法が放たれる。先程突進を見せた魔族も今回は距離をとり魔法を使ってきている。


(…防ぐだけじゃ進まない。街のこともアネッサさんのことも気にかかる。…強引に詰めるか?。)

 魔族の魔法を防ぎながらどうこの状況を打開するか考えるオウギ。ニ対一で更に転移魔法の使い手もいるため決め手に欠ける。しかしこの均衡はそれだけ被害を拡大させる。オウギは強引に打破することを決意する。


「…この力を使うのは…久し振りです。…剣聖の名において命ずる。我が魂の本質を写しし黒鉄を刃と変えて顕現させよ!。」

 オウギが言霊を詠唱しながら自らの右手を心臓に当てる。紅い光が胸に灯り鼓動をあげる。


『…ナンダ?。…コノカンカク。…カツテアジワッタコトのアルカンカク…』


『…マサカ…。コノカラダのフルエはナンダ。…イゼンマオウサマのスガタをミタトキの…』

 オウギが放つ只ならぬ気配に鳥肌が立つ魔族達。その感覚はかつて味わったことのある感覚だった。絶対的な存在、気分を損ねるだけで命が消しとばされるほどの強者である魔王と対面した時と類似していた。


「…出てこい!。『暁月』‼︎。」

 オウギの胸から剣の鞘の部分が飛び出す。そしてオウギの引き抜くような動きに合わせ鍔、刃と引き抜かれる。その切っ尖が出終わった時胸の光はおさまり、オウギの右手には曇りなき純白の剣が握られていた。

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