梟の止り木
「…えーとあった、ここか『梟の止り木』。綺麗なところだ。」
オウギ達は冒険者ギルドで紹介された梟の止り木という宿屋に来ていた。三回建でそこまで大きさは無いものの所々に趣向が施されており流石服飾都市といった所であった。
「すいませーん。ギルドから紹介されて来たんですけど、部屋って空いてますか?。」
「はい、らっしゃい!。部屋かい?空いてるよ1人部屋と2人部屋どっちが良い?。」
宿の中に入ると恰幅の良い女性がオウギ達に尋ねてくる。どうやらこの宿の女の子主人のようである。
「2人部屋でお願いします。」
「はいよ、2人部屋で一泊2万ギルだよ。うちはすこしばかし値がはるがサービスには自信があるからね。部屋の風呂は自由に使ってくれて構わないよ。後食事は朝晩の二回。部屋の鍵を見せてくれれば食堂に入れるからね。」
「分かりました。えーとそれじゃあ1週間の宿泊お願い出来ますか?。」
「へぇ、お兄さん見かけによらず稼いでるんだね。大丈夫だよ、1週間で14万ギルだよ。」
オウギから宿泊代を受け取った女将は鍵を渡す。
「部屋は三回の角部屋だよ。」
礼をして階段を上っていくオウギ達に後ろから声がかけられる。
「…オウギ様、部屋に着いたらどうされますか?。」
「そうだね、とりあえず少し休ませてもらうよ。出来るだけ途中も宿に泊まったとはいえ疲れてるだろうし晩御飯までは自由にしてて良いよ。お金も渡しておくよ。」
これからの行動を尋ねるユーリにオウギが巾着を渡しながら言う。巾着の中にはお金が入っている。使いやすいように小銭を中心としていた。
「わっ!重いです。オウギ様幾ら入ってるんですか?。」
「ははっ、そんなには入ってないよ。ちょっと買い物出来るくらいさ。ユーリも一人前の冒険者なんだしそれくらい持てるようになってるんだよ。」
渡された巾着の重さにワタワタするユーリを見ながら微笑むオウギ。
「僕は部屋で寝てるけどユーリは自由に買い物に行ってきて良いからね。ここは女の子が好きそうな物が沢山ある街だから。あ、でも行くんならカノンも連れてってあげてね。」
頭の上に居座るカノンを抱き上げながらオウギが言う。頭の中上を定位置とする龍王の娘はどうやら装飾品に興味があるらしいことが態度からわかっていた。
『…キュイ!』
元気良く返事をするのカノン。
「了解です。カノンちゃん、私と一緒に行きましょう。」
オウギからカノンを受け取ったユーリは抱きしめながら頭を下げて撫でる。
「ここが部屋か。うん、綺麗な部屋だ。…ふぅ、眠たくなってきたよ。」
到着した部屋で早速ベッドに横になるオウギ。
「それじゃあ晩御飯までに帰ってきてね。」
「分かりました。お休みなさいですオウギ様。」
ユーリは一礼して部屋を出て行った。
「…ふぁぁぁあ〜、寝よ。」
それを見送ったオウギは静かにベッドに身を任せるのだった。
「オウギ様!オウギ様!。もう晩御飯の時間です。起きてください!。」
部屋にオウギを呼ぶ声が響く。
「…うーん、…あぁ、もうそんな時間か。寝すぎちゃったよ。」
ユーリの声が目を覚ましたオウギが部屋の窓から外を眺める。陽が傾き夕暮れになっていた。
「…ユーリ、その髪飾り似合ってるよ。」
ユーリの頭の上。ケモ耳に近くに髪飾りがつけられていた。色は赤でユーリの紺の髪に良く映えていた。
「あ、ありがとうございます。」
オウギの発言に照れたように頬を赤く染めるユーリ。尻尾もユラユラ揺れて嬉しさを隠しきれていない。
「…見てくださいカノンちゃんも可愛くなったんです。」
話題を変えるようにカノンの話をするユーリ。しかし肝心のカノンはそこにいなかった。
「…え?カノンちゃん?。あ、あんなとこに!。」
『キュアア!』
カノンはユーリの手を飛び出し部屋を出て行こうとしていた。それはある原因があった。
「たぶんお腹が空いたんだろね。とても良い匂いがしてる。」
その後様子を見てオウギが言う。実は目が覚めた時から良い匂いが充満しているのである。否が応でも期待感が高まる。
「…カノンちゃん…。」
せっかく着飾ったのに晩御飯の匂いに釣られるカノンのことをユーリが悲しそうな母で見ていた。




