服飾都市マチリア
「さぁ、カノン。あの魔物を攻撃してごらん。」
街道から少し外れた野原。そこには鹿のような魔物がいた。オンディーア、跳躍力優れた魔物である。その前にはオウギ、ユーリ、カノンの一行。
カノンが現段階でどれ程力を持つのか確かめる事にしたのである。
『…………ハァ…。』
オウギの頭の上でじっとしていたカノン。しかし何かしなければ状況が変わらないと悟ったのかため息のような息を吐き飛び立つ。
「いや、どれだけ動きたくないの?。君これから空を統べる者になるんだよね。」
その怠惰っぷりにオウギがツッコミを入れる。
「でもオウギ様、カノンちゃんはまだ子龍ですし。」
「んー、そうなんだけど…このままじゃダメだよね。太っちゃうよ。」
『…カパッ…。バリバリ…パリリ…』
オウギの言葉に振り返ったカノンはその口を開け雷撃を放つ。私は今、成長期なんです!。太ってないもん!。という主張であった。
「危ない!。カノンそれをオンディーアに向けてよ。」
『…パリリ…バリバリッ‼︎』
カノンの口から出た雷撃が今度はオンディーアの方へ向かう。いかにオンディーアが跳躍力に優れているといってもそれは反応出来ればの話。全力の雷撃は反応すら許さない雷速で直撃。標的を黒焦げにする。
「カノンちゃん、やりました!。凄いです。」
「…僕に撃ってたのは全力じゃなかったのか。これからも人に撃っちゃダメだよ。」
その様子を見ていたユーリは称賛しオウギは冷や汗を流す。
『キュア!』
これでいいんでしょ、とばかりに一鳴きするとカノンはオウギの頭に着陸する。
「あ、そこにいるのは変わらないんですね。」
「…首がいたいんだよねぇ。」
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「あ、オウギ様!。門が見えます。」
ユーリが声をあげる。心なしか陽気な感がある。それには大きな理由があった。マチリアに入る為の門は今までの街の無骨な雰囲気と違い華やかだった。赤、青、緑の3つの門がありそれぞれに人が並んでいる。そしてその少し前に看板を持った兵士が待っている。
「…流石、服飾都市マチリア。エリックさんから聞いていたけど門から凄い。」
「初めて街に入られる方はこちら赤の門にお願いしまーす。身分証を出してお待ちくださーい。身分証がない方は青の門へお願いしまーす。既に審査を終えられている方は緑の門へ行ってくださーい。」
看板を持った兵士の案内に従いオウギ達は赤の門へ並ぶ。
「はい、それじゃあ身分証を出してもらえますか。」
「はい、これでいいですか?。僕と彼女とこの子の分です。」
代表でオウギが二枚のギルドカードとカノンの登録証を提示する。カノンの登録証はエリザベスの協力により発行された物だった。内容は当然改竄されている。
「えーと、へぇ、あんた冒険者なのか。線が細いからてっきり商人かと思ったが…それに嬢ちゃんもか。そんでその子龍は…スノードラゴンか、よくドラゴンをテイムできたな。」
「卵を拾ったんですよ。僕みたいな冒険者がドラゴンの巣に行くことなんて出来ませんよ。」
「それもそうか。んーよし!問題はないな。ようこそマチルダへ。大陸の流行の最先端を作る街だ。一杯買ってってくれよ。」




