アルカディアからの旅立ち
子龍のカノンを仲間?に加えたオウギとユーリ。ユーリの冒険者ランクがDランクに上がり一人前になったので次の街を目指すことにする。見送りにはエリザベスとエリック、そして冒険者ギルドの有力者達が集まっていた。
「この街には結構長い間いたなぁ。それに…ユーリにも出会えた。」
オウギがユーリの頭を撫でながら言う。その様子に見送りに来ていたエリザベスが羨ましそうな顔をする。エリザベスもオウギと共に旅を続けたかったが領主の娘という立場がそれを許さない。
「えへへ、私もオウギ様に出会えて良かったです。オウギ様は私に新しい世界をくれました。」
借金を理由に奴隷になっていたユーリ。もしオウギに出会わなければあのまま奴隷として一生を過ごしいていたかもしれない。だからこそユーリはオウギに尽くす。オウギが解放すると言ってもそれを拒む。それがユーリに出来る恩返しだったから。
「…こほんっ。…オウギ様はこの後どちらに向かわれるのですか?。」
エリザベスがオウギに尋ねる。オウギ達と共にはいけない。それでも好意を寄せる人物の動向を知りたいと思うのは恋する乙女として当然である。
「そうですね、…えーと…」
オウギが懐から取り出した(様に見える)地図を広げる。そこには街道に沿って街の名前が書かれている。
「この『マチリア』って所に行こうと思います。歩いて大体…1週間ぐらいですよね。」
オウギが指差す街の名はマチリア。アルカディアには及ばないが中々栄えた街であった。
「そうですね。マチリアまでの道は整備されており途中に小さな町もあるので宿泊も出来るかと思います。」
エリザベスの側に控えるエリックが坦々と説明する。
「マチリアですか。残念ながら方向は違うようですわね。」
エリザベスが残念そうに呟く。
「あの、オウギ様、またのご縁に期待してもよろしいですか?。」
「…?、勿論ですよ。色々とお世話になりましたしまたお会いしたいです。」
「…良かった。それでは他にも別れを告げたい人がいるようなので私達はこれで失礼いたします。…オウギ様のご活躍を心よりお祈りいたします。」
最後に上品な礼をしてエリザベスは立ち去る。
「ふぅ、やはりお前はスゲーよ。普通エリザベス様の前でそんな態度でいられねーよ。」
エリザベスと入れ替わるようにギルドマスターであるドーマ、Aランク冒険者のガロウが現れる。
「うむ、エリザベス様は大公様の娘というだけでなく聖女としても有名だ。本人があまりそこに固執していないとはいえやはり怯む所はあるものだな。」
ドーマが言う。
「エリーは特別扱いを望んでいるわけでありませんから。だから僕は友人として彼女に接するんです。」
「そこが俺らとは違うとこなのかねぇ…まぁいいか。オウギ、改めて礼を言う。この街を救ってくれてありがとう。」
ガロウが頭を下げる。それに合わせ後ろにいる冒険者達も頭を下げていた。
「そんで…こっからは宣戦布告だ。俺はこれから旅に出る。そんでSランクの冒険者になる。お前と戦いたいんだ。だから…また会おうぜ。」
そう言いガロウが右手を前に出す。
「わかりました。僕でよければ。」
オウギも右手を差し出しガロウの右手を握りこむ。2人の握手の瞬間拍手が沸き起こる。
「…それでは僕達は行きます。長い間お世話になりました。」
オウギとユーリは見送りの人達に背を向け歩き出す。行く先々で街の人から声をかけられながら街から出るのだった。




