条件付き討伐 出会い
「はぁ、はぁ…やりました。やりました!オウギ様。」
ユーリが歓喜の大声をあげる。右手に持つ剣を振り回しながら全身で喜びを表現する。その足元には全身赤の派手な猿がいた。
「おめでとう、ユーリ。Dランク、エールモンキーの討伐成功だ。」
2人がいるのは街から少し離れた森の中。そこに生息するエールモンキーというモンスターの討伐に来ていたのだ。ユーリはそれを1人で討伐に成功。これによりユーリはDランクの冒険者となる事ができる。
「私がDランクの冒険者。一人前です。」
感慨深かそうに呟くユーリ。冒険者ランクDは一人前の冒険者の証とされまず目指す目標である。
「エールモンキーは一体で二千ギルになる。」
1日に五頭狩れば一万ギル。貯蓄の可否は兎も角生活に困ることはない額である。オウギがユーリの討伐したエールモンキーに触れながら言う。
「少し補足しておこうか。魔物の中には条件付き討伐という物があるんだ。」
「例えば…Cランクのディアブロボロス何だけど討伐なら報酬は一万ギルぐらいなんだ。でもね完品の角、傷1つない角が一対なら十万ギルになるんだ。」
以前オウギが納品したディアブロボロスの角がそれだった。ディアブロボロスの角は好事家達の間で人気で有り需要が絶えない。しかしディアブロボロスは角を武器に突進してくるので完品で討伐するのは困難なのである。
「条件付き討伐…、10倍。」
「そして今回討伐したエールモンキー。この魔物はある条件で討伐した時一体で七千ギルになるんだ。」
「その条件は雌雄で狩ること。エールモンキーは雌雄が揃っているとお互いに励まし合いその結果尻尾の色が変わるんだ。」
「個体によって色が違うエールモンキー。励まし合うとお互いの色が半々になった尻尾になる。討伐も難しくなるけど二匹同時に狩れたら一万四千ギルになる。」
「成る程…。私ではまだ二匹同時は難しいかもしれません。」
「あぁ、そんな焦らなくてもいいんだ。ただ条件付きっていうのがあるってことを知って…」
言葉の途中でオウギが黙る。そして目を閉じ地面に手を当てる。
「?。…オウギ様…」
「…これは…なんだ?。何かが近づいている。僕の感知にかかった。」
オウギは狩に出る際周囲に魔力の網を張っている。魔物の不意の攻撃でユーリが傷つくのを防ぐ為である。そこに今まで察知したことのない気配が伝わる。
「ユーリ、気をつけて。これは…」
『何だお前は。ははっ、強いな人間。』
やって来たのは10歳ぐらいに見える少女。白い肌に青い瞳、紅の髪を伸ばし三つ編みにしている。
『なんか網が張ってあるから見に来てみれば…こんな出会いもあるのか。』
その少女が何も警戒しないようにオウギ達に歩み寄ってくる。
『その胸にあるのはガルガンディアの…。あのお転婆龍王が預けたか!。』
『面白い、面白い。長い生の中でかなり上位だ。』
『なぁ、人間。お前の名を聞かせておくれよ。』
一方的に語りかけてくる少女。無垢なその姿とは裏腹にオウギはユーリを庇うようにし臨戦態勢を崩さない。
「…僕の名前はオウギ、オウギです。」
『そうか、オウギか。うむ、いい名だ。さてオウギよ、強き者よ。励んでおくれ。その鋒が私に届くように。私は飢えている。』
少女から突然魔力が湧き上がる。森がざわめき鳥が木から落ちる。
「…くっ、…ユーリ!。そこから動くな!。『断界』。」
オウギがユーリの前に結界を張る。
『くくくっ、出来損ないが倒されたと聞いて来てみれば。あぁ、これだから…人間は面白い。』
『ん?、ったくしょうがない。オウギよ、私はもう行く。待っておるぞ牙を研げ。』
そう言い少女は姿を消す。まるでそこにいなかったかのように存在が消える。
「……っ、はぁはぁ…」
臨戦態勢を解くオウギ。額から汗が流れ膝から崩れ地面に両手をつく。
「オウギ様!、だ、大丈夫ですか!。」
その様子を見てユーリが駆け寄る。そして布を取り出しオウギの汗を拭う。
「…っあぁ、大丈夫。心配いらない。少し、体の力が抜けただけだから。」
体から息を吐きながらオウギが言う。
「オウギ様…先程のは…」
「うん、これは僕の予想だけどあの人は…」
「魔王だ。」




