アシュゲルク領への道
次回の更新はお休みさせていただきます。
「…父上、最近鉱山の様子がおかしいそうです。なんでも魔物が徒党を組むようになったとか。」
「…うむ、…ネイノール、君ならこの場合どのような可能性があると考える?。」
「何か…支配する側が生まれたとか、でしょうか?。」
「そうだね、恐らくそうだろう。鉱山は我が領地の生命線。代々受け継いできた聖地だ。初代と契った龍様の遺灰も安置されている。調査隊を組む事にする。私が指揮を取り、精鋭で向かう。その間この領地のことは任せたよ。王家には恩がなくとも我々が忠誠を誓ったあの方が王家を良しとしている。なら我らはこの身を尽くすまで。」
「はい、父上もどうかご無事で帰還ください。」
「あぁ、久しぶりに気を溜めないといけないね。こういう時にクロームがいてくれればな。あの子なら私以上に知恵が回るし、いざとなれば戦える。」
「姉上は今頃何処にいるのでしょうか?。」
「あの子には特別な使命があるのだろう。ここ数代で最も龍に愛された娘だ。」
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「オウギ様、なんだが風景が変わってきましたね。」
中々の速度で移動中のオウギたち。速度はユーリを基準にしているがそれでも大半の冒険者たちよりも速い。流れる景色も森林などの緑から山などの茶色へと変わっていた。
「そうだね、話では鍛治が有名と聞いたからね。鍛治の材料は好物だからそれでじゃないかな。」
「鍛治が有名かぁ、なら私新しい短刀を作ってもらいたいなぁ。前の戦いでヒビが入っちゃったんだよ。」
「…もし必要なら私の鱗をあげてもいい。偶に取れるから保管してある。」
「本当⁉︎。龍の鱗を使った剣かぁ。ユーリちゃんのルナレイクと同じだねぇ。」
「あんな龍王の鱗よりも私の鱗の方が優秀。…けど一応厳選するからすぐには渡せないかもしれない。」
一瞬は強がったカノンだが控えめな訂正を入れる。本当はまだ自分の方が劣っている事に気がついているのだ。
「全然構わないよ。使わせてくれるだけでありがたいなぁ。」
「オウギ様、カノンちゃんがアネッサさんにだけ懐いています!。私には結構辛いのに!。」
「ユーリはミシュライオンの剣を持っている。私よりもあの龍王を選んだ。」
「え、いや、その……」
「なんてね。別にユーリの事を嫌っているわけじゃない。」
「よ、良かったです。仲良くしてくださいね。」
「………うん。」
「今の間はなんです⁉︎。」




