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魔を滅するモノ

「おい!あの女を連れて来い!。魔物の大群だ。良いデータが取れるはずだ。」

 ある山の中。武装した集団が魔物の大群を眼下に捉え色めき立っていた。白衣のような服を着た男が周りの部下に指示を出す。


「…あれは…デットラットですね。確かBランクの魔物だったかと。それが群れているとなると冒険者のランクでAでは済まないでしょうな。」

 偵察をしていた男、周りの部下たちよりも良い身なりの男が白衣の男に言う。


「ふん、…我々が創り上げたのはそんな低俗な評価になど依存しない存在だ。伝説の勇者の因子を組み込んだ最強の個体。…これで世界は救われることになる。」


「連れて来ました!。…」

 指示を出されていた男が1人の女を連れて帰ってくる。手には剣を持っているが服はボロボロで肌からは出血も見える。


「さぁ、S5よ。…目の前にいるのはなんだ。」


「魔物です。」


「ならお前はどうする?。」


「魔物は全て殺します。全ては世界の為に。」


「では…いけ。制限は第3解放まで許可する。」


「はい。」

 抑揚のない声で女が質問に答えていく。白衣の男の第3解放まで許可の言葉に女の体が光を帯びる。次の瞬間女の体には鎧が装着されていた。白銀に輝くその鎧にはある紋章が刻まれている。女は崖を飛び降り魔物の大群に単騎突っ込んだ。


「…ほぅ、あれが勇者の鎧ですか。それ自体が強力な聖の魔力を帯び、触れた魔物にダメージを与える勇者の適性だけの鎧だとか。」


「その通りだ。あの鎧、そして聖剣を使えることが勇者の何よりの証。勇者という適性は魔物と魔族を殺す為だけの存在なのだ。」

 男達が話している間も女は魔物と戦い続けている。近づく魔物から肉塊に変えていくその戦いは荒々しくもどこか機械的であった。


「…おぉ…なんと…。素晴らしい力だ。聖剣を使わずしてこの制圧力とは。」


「当然だ、この程度の魔物相手に聖剣を使っているようでは勇者とは言えんよ。我々の目的は最強の生命体にして、人類の敵、魔王なのだから。」


「…そして…魔族が持つという伝説の書。手に入れた者の願いを聞き届けるその書を手には…我々は世界を手に入れる。選ばれた者だけが生きる理想の世界。その世界には能無しや魔族などの醜い奴らなど要らぬ。」


「状況終了しました。」

 女が男達のもとへ帰ってくる。当然魔物の群れは駆逐され物言わぬ存在になっていた。


「…ご苦労、…だが…まだだな。腕が取れかけているじゃないか。お前はこれまでの経験を本体に登録した後廃棄とする。」


「分かりました。」


「…今日は集団相手の近接戦の経験を積めせることが出来た。あと2、3体もすれば敵が多数でも無傷で滅ぼせるようになるだろう。」


「その段階が終われば…いよいよ、…」


「あぁ、標的を魔族に絞る。何体死ぬか分からんが徐々に強くなる勇者に震えるがいい。そして時が満ちた時千の勇者が魔王に襲いかかる。…はっはっは!。」


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