アネッサ覚醒
「…オウギさんとやるのは2回目だね。…どうしたらいいのかな?。」
「僕はアネッサさんとの戦いは楽しみにしていました。全力でやり合いましょう。」
向かい合うオウギとアネッサ。アネッサは既に勝ち残る意味をなくしている。オウギが望むなら自ら棄権することも選択肢に入っていたのだがオウギはアネッサとの戦いを望んでいた。
「…そっか、なら…ちょっとオウギさんに近づけたかを…試してみようかな。」
オウギの言葉を受け戦闘態勢になるアネッサ。額のツノに光が灯り半覚醒の状態になる。そして影が蠢き形を変える。
「…暗殺者の適性の最終型に近づいてますね。その影は無の空間に繋がっていて全てを吸収する闇。更に敵の影と繋がれば感覚がリンクされる『影業の侵犯』まで、使いこなしている。」
暗殺者の適性の最終段階で習得するリンクする影。対象とすれ違えば影が触れる。そうすれば離れたところからでも影に与えたダメージが対象に伝える。その影を自在に操れ、更に敵からの攻撃は影が無効化する。攻防一体のスタイルだった。
「…いくよ、…」
アネッサが影に消える。そして次の瞬間オウギの足元から飛び出す。
「…『天波』!。」
それを躱したオウギは目の前のアネッサに衝撃波を放つ。だがアネッサの影が実体化し間に割って入る。影に吸い込まれる衝撃波。
「…ただの壁じゃないよ!。」
そしてその影を目隠しにしたアネッサが影ごとオウギを貫こうと貫手を仕掛ける。
「おっと…ぐっ…⁉︎。しまった…。」
その貫手を後退し回避するオウギ。その背後では影が槍のようになりオウギを待ち構えている。そちらに注意がそれた時オウギの腹に衝撃が走る。足元を確認するオウギ。足元の影はアネッサの影と繋がっていた。つまりアネッサが盾のように扱い今突き破った影とオウギはリンクしてしまっていたのだ。背後の影すらフェイク。アネッサの巧みな連携にオウギは一本取られたのだ。
「…どうかな、これでも私鍛えてたんだよ?。オウギさんに恩を返すためにね。」
「ふふっ…、やられましたよ。アネッサさんは暗殺者としての自分の力を十分に発揮している。」
オウギは聖属性の魔力を纏う。これによりアネッサの影とのリンクは断ち切られる。聖属性は魔に属するものを無効化する効果を持つ神秘の属性。アネッサの影は無効化され壁としても役に立たなくなる。
「いやー、聖属性まで使えるんだね。…となると私は…やるしかないよね。」
アネッサのツノの光が強くなり体から赤い蒸気が立ち上がる。
「…紅く…染まれ。」
アネッサの瞳までが紅く染まる。
「…それは…初めてみますね。」
アネッサの尋常ならざる様子に警戒をするオウギ。戦いが始まって初めて構えをとる。だがそんなオウギを嘲笑うかのような出来事が起こる。
「…がっ…⁉︎…。」
アネッサが消え次の瞬間には顔を押さえつけられていたのだ。その勢いで地面に叩きつけられたオウギ。
(なんだ?…影ではない、…今は聖属性を纏っている。魔導師では無理だ。剣聖…。)
オウギは剣聖の適性を発動させる。それによってその目にはアネッサの動きが辛うじて視認できた。アネッサは何もしていない。ただ早く動いているだけ。鬼人族の覚醒に近い能力だった。
「…くっ……重っ!。…」
ギリギリのところで追撃を防御したオウギ。だがアネッサの膂力は凄まじくそのまま馬なりになったアネッサ地面に押し込まれる。
「あれ?…いきなり反応してきたね。流石オウギさん。だけど完全には見えてない…よね。」
アネッサのツノの先に光が集まる。収束した光が光線となってオウギに降りかかる。大きな音と巻き起こる砂埃。その中からアネッサが飛び出す。
「これが今の私。覚醒した鬼人族は1000の敵と斬り結ぶ。でもまだまだ強くなるよ。私は…鬼神になるから。」




