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アルタイルの問題

「フランシス様!。いつこのクロイセンへ?。仰ってくださればお迎えにあがったのに。」

 アルタイル・カルスホルンの元を尋ねたオウギ一行。勿論普通はいきなり大公に面会など出来るわけないがそこは王女フランシスの威光をフル活用。すぐさまアルタイルのいる場所へと案内される。


「…先程来たばかりだ。それに私はオウギを案内するだけのつもりだったのだが…カルスホルン公、其方は今の街の状況を理解しているのか?。」


「…っ、はい。勿論です。元々カルスホルン家の領地は自由と強さを求める者が集まっていました。それでも大きな問題なく治めてこれたのは代々の領主のカリスマと強さがあったからです。ですが…私にはそのようなカリスマなどありません。それに…経験も。…なので上手く領地を治めることが出来ていないのです。街では大小様々な集団が出来その影響力は役人にも届いていると聞きます。…私には…無理だったんです。」

 フランシスの問い詰められる形になったアルタイルはすぐに自身が治める土地の異常事態を認める。


「…良く分かっておるのだな。…其方の父上が急逝したことは勿論知っている。そのため十分な経験も積めていない事も。だが其方が治めなければこの土地は更に荒れるぞ。今の段階で王女と身分を明かした私にすら不敬を働こうとした。このままでは民が犠牲となる。」

 フランシスは一方的に責めることはせずアルタイルの事も慮る。しかしそれでも奮起する事を求める。代々治めてきた土地を継承するというのはそれだけの責任を負うという事なのである。


「…そんな…、でも…どうすれば…」


「あの一ついいですか?。…アルタイルさんは十分な強さを持っていらっしゃるんですよね。なのに何故そのような不届き者が出るのでしょうか?。」


「…それは僕のこの性格のせいなんだよ。僕はなんというか…2人いるんだ。戦いになるともう1人の僕が出てくる。そっちはカルスホルンの強さを体現した暴牛…らしい。でも僕がこんなだから…甘く見られてしまう。…こんな自分が嫌になるよ。」


「アルタイル様、元気を出してください!。私はアルタイル様が仰った教えを守っています!。日々努力、尋常ではない努力を積む。そうすれば願いは叶うと言ってたじゃないですか!。…絶対に努力してるはずの…アルタイル様が…認められないなんて…ありえません!。」

 力なく頭を垂れるアルタイルにユーリが歩み寄る。そしてホーランジアでかけられた言葉をアルタイルに返す。


「…領地が荒れた原因はカルスホルン公の力を民が知らんからか。…いや、戦闘時以外のカルスホルン公を認めたくないのだろうな。強き者には従うが…平時に貫禄がない。…だが其方は今の状態でも戦えるのだろう?。」


「…はい、一応訓練はしているので。ですがあの大槌は使い切れません。」


「カルスホルンの角撃か。この世に1つだけの魔導具で使用者によって性質を変化させる。使い切れないということは…」


「えぇ、もう1人の僕は暴風の性質を使えるらしいのですが…僕は何も発動しなくて。」

 その言葉を聞いたユーリはホーランジアで大槌を振り回して辺りを制圧するアルタイルの事を思い出していた。あの時確かに大槌から風が放たれていた。


「そうか……うーん、それに関して全くの門外漢だからな。使える者がいれば良いのだが…」

 思案するフランシス。そこにオウギが提案する。


「出来ますよ。…戦闘状態?のアルタイルさんが居れば良いんですよね。…なら出来ます。…今は無理ですが…2日後にならなんとか。」


「…なんと…、それは本当か?。いや、だがどうやって…」


「…まさか…時間魔法ですか⁉︎。オウギ様は時間魔法まで使えるのですか⁉︎。」

 それまでフランシスの背後に控えていたカーテナが叫び声を上げる。その際隣にいたカノンがびくっと震え睨みを効かせる。しかしヒートアップしているカーテナには効かない。


「えぇ、流石に魔法陣が必要ですが可能です。アルタイルさん、直近で入れ替わったのはいつですか?。」


「それなら2週間ほど前に別の都市で魔物を討伐する時になったはずですが…。」


「分かりました。…あとこの紙に血を一滴頂けますか?。」


「も、勿論構わない。」


「オウギ様、私にもお手伝いさせて下さい!。なんでもします。お願いします。」

 カーテナがオウギに懇願する。


「オウギ、私からもお願い。この子がここまで興奮する事なんてなかったから。」


「構いませんよ。魔導師の適性を持つカーテナさんなら大歓迎ですよ。」

 快くカーテナを受け入れるオウギ。その様子にユーリとカノンが嫉妬する。


「…お、オウギ様!私もお手伝いします!。」


「オウギ、私も手伝ってあげる。」

 オウギに手伝いを名乗り出る2人。


「…うーん、2人はいいかな。自由にしてていいよ。」

 しかしあっさり断られてしまう。


「なら僕で良ければユーリさんの相手をするよ。大槌を使えなくてもいいならね。」


「も、勿論です!。よろしくお願いします。」


「…私暇なまま。」


「カノンちゃんは私とゆっくりしとこうか。出店とか回ろうよ。」


「…うん。」

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