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ユーリの決意

「…いきます!。…てやぁー‼︎。」

 ユーリは1人ホーランジアのギルドで受けた魔物討伐の依頼をこなしていた。いまや平均的な冒険者以上の実力を持つユーリ。それに加えグーちゃんとカノンも控えているので普通の依頼をこなす分には何も問題もなかった。しかしユーリの表情は冴えない。


「…オウギ様はどんどん離れていってしまう。少しでも近づかないと。」

 共に居れば居るほど分かってくるオウギの隔絶した力。ユーリは焦っていた。確かに自分は昔とは違って戦う力を手に入れた。しかしそれはオウギからすれば無きに等しいのではないか。それにアネッサの存在。勿論一緒に旅をする仲間が増えることは嬉しい。だがユーリは心の深いところで、自覚せずに、戦場に連れていってもらえるアネッサに嫉妬していた。


「アルタイル様の助言…。…新しいことを…。」






「…ユーリよ、お前は強くなりたいか?。」


「はい、…今回私は何も出来ませんでした。どうすればいいのか…。」


「そうだなぁ、…俺はお前の適性については何も知らんし知りたいとも思わない。武とは適性に完全に依存するものではないと考えるからだ。努力、それも尋常では無い努力を重ねたその先に進むなら天賦の才能が必要になる。しかしそれまでは才能など関係ない。どれだけ踏み込めるか。自身の恐怖を抑え込み狂気と隣り合わせになりそして御し切れるか。全てはそこだ。」


「…私でもまだ強くなれますか?。」


「それはお前の覚悟次第だ。その覚悟があるのなら…戦さ場の空気を纏え。それが一段上へとお前を押し上げるだろう。…今のお前には言えるのはそこまでだ。…俺はお前を気に入っている。精々飲まれることのないようにな。」





「…戦さ場の空気。…私にはまだそれを感じ取ることは出来ない。…でも…経験の先にあるものだってことは分かる。なら…」

 ユーリが小刀を振るう。十字に斬られた魔物は息絶える。


「…はぁはぁ…んぐっ……グーちゃん回復をお願いします。」

 ユーリがそう言うとグーちゃんとユーリの体が白く光る。その光に包まれているユーリの体にある傷が癒えて元通りになる。グーちゃんは使用不可だった回復魔法を解放していた。


「…ありがとう。…これでまだ戦えます。」

 体の傷が癒えたことを確認したユーリは次の獲物を探そうとする。しかし


『キュ!。…キュキュキュ‼︎。』

 カノンが待ったをかける。カノンがユーリに同行しているのはオウギからのお願いであった。ユーリが特訓していることを知ったオウギが無理しすぎないように付き添わせたのである。


「…カノンちゃん。…うん、そうだね、…疲れてる。ありがとう。」

 いくら体の傷は癒えようと精神的な疲労は無くならない。スライムであるグーちゃんはそれが分からないのでユーリを止めれないが、カノンはユーリを観察することにより動きの歪みを発見。ストップをかけたのだ。ユーリも素直にそれに従う。


「…ねぇ、カノンちゃん。オウギ様は…何者なんだろうね。あんなに強くて、優しくて、でも時々みんなが知ってる事を知らなかったり偉い人に物怖じしたりしなかったり。…遠いなぁ。」

 地面に座り込んだユーリが呟く。その呟きにカノンが答えることはない。カノンは言わば世間知らずのお嬢様。生まれてからオウギと共にしか生きていないのでオウギの特異さには気付いていない。


「…尋常ではない努力か。…私は続けるよ。それでオウギ様に少しでも近づけるなら。…貴方のことを理解したいから。」

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