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1-⑥ 四天王を呼んで決着をつけてやる……

(玉座にて、1人座る魔王)

「このところ勇者が大活躍をしているようだな……遊びもそろそろ終わりにしよう。四天王を呼んで決着をつけてやる……」(魔王、鈴を鳴らす)

「お呼びでしょうか? 魔王シコロ様」

「うむ、秘書官モートよ。四天王を呼べ。勇者達を葬らせるための会議を行いたい、と伝えよ」

「承知しました、少々お待ち下さい」

(モート、立ち去る)


「四天王が総出でかかれば、いくら勇者といえども生きてはいられるまい。奴の快進撃もここまでよ……」

(モート、再度現れる)

「恐れながら魔王様。四天王様は全員いらっしゃることができません」

「……全員?」

「はい、全員です」

「ファーストもセカンドもサードもフォースもか?」

「はい、全員です」

「理由は? 何なんだ?」


「はい、ファースト将軍はデートのためにお休みです。今夜夜景の見えるところで食事だそうです」

「……デート?」

「はい、デート、デイト、逢瀬、男女交際、リア充爆発しろ。色々言い方ありますけど、どれがいいですか?」

「どれでもいいわそんなん! 魔王会議よりもデート優先だと! 死刑だ死刑!」


「はい、このデートのために他の者の仕事まで引き受けた健気者、ファースト将軍を死刑ということですね分かりました」


「……」

「魔王軍のために私財をなげうち、『勝てば全部チャラだよ』と言って自宅まで質にいれ、戦費に充てたファースト将軍を殺害する訳ですね分かりました」

「……」

「幾多の戦乱での死別や家の問題などの難関を潜り抜けてきた2人がやっと行うことができたデートらしいのですが、即座に中止。目の前で首を刎ねることで処置を」

「……言い間違えた。有給休暇を出しておけ」

「ご英断です魔王様。上司の模範たる姿。部下を代表してお礼を言います」

「うむ……ならファーストは仕方ないとしよう。他の3人は?」


「はい、セカンド将軍は病欠です。風邪で来られないのだそうです」

「風邪程度なら来てほしいのだがな。それとも症状が重いのか?」

「いえ、ちょっと熱っぽいだけです」

「その程度で来ないとはバカにしているのか! 魔王の呼び出しをなんと心得るか!」


「全くですね。風邪とは口で言いながらも、未知の病気にかかってしまったがために魔王軍に奉仕できないことへ血涙を流していたセカンド将軍、愚か者の代表例ですね」


「……」

「部下百人から『セカンド将軍の分まで我々が働きますから処分だけは!』という嘆願書を全て無視して処刑ですね分かりました」

「……病気休暇を出しておいてやれ」

「深い慈悲、感服致しました。私、あなたに仕えている誇りを胸に感じています」

「ああ、分かった……となるとサードも何かあったのか?」


「はい、サード将軍は『行くのがめんどい』と言って来ていません」

「今度こそ有罪だろ! 極刑だ!」


「分かりました。その様に口で言いながら実は一番の働き者であるサード将軍は磔にしておきますね」

「ああああああああ!」

「『ファーストやセカンドが悪者になるのを防ぐため、俺が悪者になる。これで皆の印象を良くしよう』と自分の胸にしまっているサード将軍には自害をさせて家財全て没収を」

「分かった! もう言わなくていい! 取り消しだ! 公欠だ! 来なくていい!」

「尊敬、敬愛、憧憬。いかなる言葉でも表現しきれないこの思い、あえて言うとしたらさすが魔王様。『さすまお』でございます」

「何か一気に軽くなったな!」


「ちなみにフォース将軍は……」

「もういい! もう聞きたくない! あいつも何かあるんだろ! 何でもいいから休暇扱いだ!」

「分かりました。『裏切る準備で忙しい』と言っていたフォース将軍も休暇で」

「そいつは斬首せよ!」

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