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15歳のラノベ作家とイラストレーター  作者: 黒目 朱鷺
15歳のラノベ作家とイラストレーター 一枚目
5/9

その中学生作家は、秘密を話され途方に暮れるようです!?

9/9(日)に文章を改稿しました。

内容

 途中のままとなった文章の訂正。プラス文章の追加。

 もともとの約1000文字を約7000へと加筆修正しました。

 まだ夏の暑さが残る、八月末。

 

 俺は制服に着替え、学校へ向かう用意をしていた。


 外へ出ると、まだ気温の上がりきらない空気を感じた。


 鍵を閉め、登校のさいの日課みたいになっているごみ袋を持ち、通学路の途中にあるごみ捨て場へ向かう。


 閑静な通学路を通る。


 時折同じ学校の制服を着た数人の人が行き交う。


 時にそれは同学年だが、見向きもしない。


 俺はいつも通りの道を行く。そう、誰も通らないような小道を通りながら。


 急に歩いていると後ろから何かが鞄ごしに突っ込んでくる。


 よろけつつ、後ろを振り返るとそこには俺の唯一の話してくれる相手、鈴寧月暁槻が立っていた。


「先輩!おはようございます」

「暁槻…おはよう。でも突っ込んでくるの止めよう?普通に痛い」

「あ、それはごめんなさい。それはそうと先輩いつも通りこんな道通ってるんですね」

「それりゃあ、誰とも会わずに行くにはこういう道しかないでしょ?」

「ボクには会ってますけどね」


 と、そんな話をしながら暁槻とともに通学路を進む。


 暁槻は女の子だ。


 ボクっ娘なのには理由があるといっていたが、それ以降聞くのも気まずく聞いていない。


「先輩?今日ってまた普通に帰るんですか?」

「そうなるかな?俺が学校に残っても無駄だしな」

「なら、一緒に帰りませんか?お話したいことがあります!」

「考えとく」

「ええ即答ですか…なんで保留にするんですか?」


 通学路も残り三分の一ぐらい。


 考えておくのにも理由はある。


 暁槻は背は低いものの、それが逆にかわいさを増させ、容姿端麗。


 そんな言葉があてはまる姿が故に隣にいる俺はとても空気が嫌なのである。


 ましてや、忌み嫌われる俺ということもあり気持ちは最悪だ。


 ただ、俺の心の中には、帰り道なら人も少なく周りからの視線もなく、暁槻にも変な被害が及ばないのではという、求める気持ちもあった。


「保留ったら保留だ。文句は言わせないから」

「なんですかそれ!酷いですね先輩は」

「なんとでもいってな」


 そうして、学校が近くなった瞬間に日常の一つ。


 暁槻を置いて走り出す!


 学校にいっしょに入ると俺の立場はどん底だから問題ないが、暁槻に問題が起きる。ましてや、もう部活の方では荷物運びなどを先輩。俺の同級生の人が無理にやらせているのを目撃しているが故に。


 一気に走り出す!!


(引きこもりの俺にはきついいいぃぃぃぃぃ)


 あともう少しで学校というところで横に暁槻が付き添ったまま校門へ到着した。


 ん?横に暁槻?


 隣には「ふぅー」と朝からいい運動したといいたげな暁槻が立っていた。


 俺は息を整えつつ(まったく整えていない)


「あの、暁槻さん?はぁはぁ…、なんで、隣に…居るんでしょうか?はぁはぁ」

「なんでって急に先輩が走り出したから追いかけてきただけですけど?」

「ああ。そうかい…」

「ほんとに運動駄目ですね。前…に動け……のに…」


 ダメとか言うなよ。最後の方よく聞き取れなかったけど。


 昇降口を抜け、下駄箱から靴を取り出す。


 それと同時に画鋲が落ちてきた。よくよく見ると靴の中に十数個の画鋲が入っていた。


 いや。陰湿すぎる!というか幼稚だよ!っと突っ込みつつ俺は画鋲をすべて取り出し、主犯格だと思われるやつ数名の靴箱の側面に刺した。


 こういう時、うちの学校が靴箱、木製でよかった。


 廊下へ出ると暁槻はもう階段を上って行ってしまった。


 少し残念な気持ちが残ってしまうが、それは暁槻との機会が減ることによる利益に比べるとすぐに消え去った。


 三階まで上り、三年二組の教室へ入る。


 教室内では中小のグループで話し、笑いあいながら過ごしていた。


 俺が入り机へカバンを置こうとした瞬間、机に違和感を感じた。


 よく見ると机にはムラなく両面テープが張られていた。


 

 本当に幼稚な奴らが少しでもいいものを持った。いや。質のいいものを持っていきがって俺強えぇ伝説を作ろうちしてるやつら。と言って方がいいか。



 本当に懲りない奴らだと思う。


 周りの視線と最も面白そうに見る四人組の男女が今回の主犯であろう。



 主犯と分かったところでどうこうする予定はない。


 ただ今回は少し処理がめんどくさい。




 先生が入ってくるぎりぎり。三十分ほどかけて机の両面テープを取りきった。


 

 それから時間は過ぎ、ホームルームが終わり各々、荷物をまとめ始めた。


 俺はまとめていたバッグを持って階段へ向かう。


 別に急ぐ理由はないのだが、やはり学校というのは居続けて気分のいいものではない。



 それと。今日は早めに帰らなくてはいけない理由が二つある。

 一つは、画鋲だ。バラれる前にトン面こかせてもらわなくては。

 そして、暁槻だ。これが最も急がなくてはいけない。



 そうして階段を下り、下駄箱で上靴と外靴を履きかえ外へ出ようとしたとき。


 暁槻は外へ出る玄関口前で待っていた。


「あ、暁槻…」


「遅いです先輩。さ。帰りましょう」



 少し怒り気味だが、こう待ちかまえられると逃げられる可能性が皆無である。


「はぁ。しゃーない。見られたくないから早く学校近くは離れるぞ」


「はいはい。先輩ってそればっかですよね」


「そりゃあな」




 歩き始めて人通りの少ないいつもの道へ進んでいた。


 話すことは、暁槻の学校生活であったことや部活での活躍の自慢話やただただ平凡な日々の話。

 その時間だけはとても楽しい時間であった。



 そして暁槻の家は離れているらしく、バス停前で別れることになった。


「それじゃあ、先輩。お疲れ様でした!」

「うん。気を付けてね」


 そう言葉を交わし、踵を返そうとしたとき、ふいに制服が引っ張られた。


「先輩…少し付き合ってくれませんか」




 急展開すぎる!


 脳の整理が追い付かない。


「な、なんだよ」


 俺はとりあえず引き留めた理由を尋ねた。



 暁槻から発せられた、衝撃的な発言と涙ぐみながらの暁槻を見ると俺は、暁槻に付いていくことにした。



 走るバスはかなり長い時間をかけて、山道へと入っていった。



 いや。遠くね?

 

 スマホの時間に目を向けると時刻は下校時間からもう三時間が立っていた。



 俺はスマホのメールアプリを開き、親へ連絡を入れる。


『ごめん。今日、帰るの遅くなる』


 そう打ち込み、送信する。


 その文章を読んだのであろう暁槻が声をかけてきた。


「ご、ごめんね急に…」

「いやいいよ。暇な時間つぶせるし、ただの興味本位だよ」

「ありがとう…」


 そういって作り笑顔でありながらも、笑いかける暁槻は本当に可愛かった。




 それから走ること三十分。


 送ったメールには返信が届き、親からはなぜか泊まっていくのも了承が出た。


 なに?たったあの一文からどれだけ察しがいいんだか。泊まる予定はないけど。



『まもなく汐峠岬前~。汐峠前~。お降りの方はお近くのボタンからどうぞ~』


 気づけばアナウンスは運転手自身の声になっていた。


 無駄に声がかっこいいのが、はまりそうになっていた。



「ここです。降りますよ」

「あ、ああ」


 そういってボタンを押し、席を立ち前方へ進む。



 汐峠岬前と言われている停留所に付き、「ありがとうございました。いい声ですね」と一声かけお金を払いバスを降りると、辺りは木々ばっかりで停留所の名前通り、道路をまたいだ先に道が続いていた。



「先輩?どうかしたんですか?うちはこっちです」


 いつの間にか辺りの雰囲気に呑み込まれていたようで、暁槻の家へ向かうことを忘れていた。


「ごめんごめん。ここから長い?」

「そうですね。さほど長くはないですよ?少し進んで右に曲がった先にあります」


 それ、少しイコール数十分なのがお決まりなのではと思いつつ、暁槻についていく。




 歩き始めて三分ほどすると右へ曲がる道が現れた。


 普通に近かった。


 道を曲がり木々の覆われたれた道を進んでゆくと、開けた場所に出た。



 そこには一つの集落ほどの家が建ち並んでいた。


 そのうちの一つへ暁槻が進んでいく。



「おじゃましまーす」


 玄関を抜け居間へ入る。そこには畳の敷かれた和風の部屋が広がっていた。



「あ、座布団あるところのどこかに座っててください」

「うん。ありがとう」



 座ると、学校での疲れがどっと押し寄せてきた。

 



「先輩。お待たせしました」


 そういいながら奥から出てきた暁槻は部屋着なのかわからないが和風な服を着ていた。

 あと、お盆が両手に乗せられていた。


「よく一人だけでお盆持ってこようとしたな、二つも」


 俺はそのうちの一つを受け取ると、座っていた座布団のあるテーブルへ置く。


「わざわざ来てもらってしまったので、どうぞ夕食がてらにどうぞ」


 そういって暁槻が指すものは、先ほど不安定ながら一人で運ぼうとしていたお盆の上にある料理であった。


 お盆の上には、湯気を立たせながらおいしそうなにおいを出すお味噌汁にきれいに焼き目のついたサンマ。

 極めつけは、見たこともないような輝きを放つ白ごはんであった。



「それじゃあ、お言葉に甘えて。いただきます」

「どうぞ召し上がれです」


 暁槻は嬉しそうに笑顔を見せると、箸を手に取り食べ始めた。


 俺も箸を持ち、サンマの身をほぐし骨を取り、一口ほおばる。

 程よく火の通ったサンマは、おいしくそれと共に口へ入れる白ごはんは本当においしかった。


「先輩。少し話を聞いていただけますか?」

「うん?全然いいよ?こんなにおいしいごはん恵んでもらってるんだから」


 暁槻は、つばを飲み込むような動作をしたのち、一息ついて口を開いた。




「ボク。先輩と同年代なんです!」


 勢いよくそう言った暁槻はとある書類を差し出す。

 そこには中学校の特別入学についての紙だった。 なんか俺、かなりやばいことに首突っ込む気がしています。


「ここ、よく見てください。生年月日の所!」

「うん?……ってこれ。本当なのか?」


 俺は書類にざっと目を通しつつ、ご飯を口へ運ぶ。


「本当なんです!詳しい話の前に、わかってもらえましたか?」

「ああ。それは分かった。暁槻がそういうなら俺は信じる」

「じゃあ!もうういいね!敬語使わなくて!」

「それが目的か!!この話したのは!」


 暁槻がざっと立ち上がり胸を張る。

 俺もそれに対抗するように立ち上がる。


「なに?ボクにため口使われていやなの?」

「嫌ってわけじゃないが、もうちょっと抑えて喜べや!!」

「無理だね!だって同年代の依音に先輩とか!苦痛のなんでもないね!!」


 俺は、とりあえず座布団に座り直し、みそ汁をすすり、気持ちを落ち着かせた。


「で?なんでそんなことになったんだよ」

「ほんとにそんな一瞬に切り替われると、話しにくいんだけど?ま、いいや」


 ため口にするとかなりフリーダムに見えるのは、元々の敬語に慣れすぎたせいだろう。


「じゃあね?まずこれ見て」


 そういって目に入れていたコンタクトを外した。


「なんだ暁槻、コンタクトしてたのか」

「違うよ。ほらしっかり見てよ」


 そういって顔を近づけてくる。そんなことをされると、より可愛いところが際立つ。


「オッドアイ?めずらしいな。それで?それのせいでなんで二年も入学遅れたんだ?」

「オッドアイは奇病を持ちやすいの。それでボクはね、ほんとに特殊な奇病を持ち合わせちゃったってわけ」



 ほとんどが遠まわしに話され、細かくは分からないが今は大丈夫らしい。


 そして来年からは、高校の方へ上がるらしい。なにそれすごすぎ。



 そんな話よりも、ご飯おいしすぎる。


「暁槻。ほんとにご飯うまいわ。毎日作ってほしいわー」


 顔を器から前へと移す。


 そこには、顔を真っ赤にした暁槻がいた。


 しきりに手をほほにあて、熱を奪って赤くなった顔を抑えるようにしていた。


 その仕草に俺は見覚えがあった。初めて暁槻と出会った日。


 それは入学式を終え、俺が毎度のようにクラスメイトから逃げようと昇降口から出ようとした時だった。




「ちっ!今日もかよ。ほんとにあきねーよな…」


 靴を履きかえているとき、廊下には俺を捜す数名の男女の声が響いていた。


「いーおーーくぅーんー。今日はどんな遊びする?出てきてよー」


 そんな声が届いていたが、俺は無視して外靴に変えた足で出口へ向かうとそこには入学式を終え、もう帰っていたはずの一年生がいた。


 それは紛れもなく、暁槻なのだが、その時はなぜ残っているのかわからなかったが今ならわかる。


 きっとそのオッドアイによる病気について先生方と話していたのだろう。


 暁槻は俺に気づき、はっと目を見開いたのち、突然顔を赤くした。


 そして手をほほにあてて、出口を開け走り去っていった。


 その時に去り際に残したのが「はっず…」という言葉だったことから俺は今の暁槻の行動の意味がわかった。


 でも俺はなぜ恥ずかしさを感じているのかは分からなかった。


「どうした?暁槻」

「いや。別に何でもないんだけど…」


 焦ったような口調でそういう暁槻に疑問を覚えつつ、ご飯を完食した。



「ねえ。どうするのこの後。帰るの?」


 食器を片づけ、テーブルを挟んで俺の前に座った。


「そうだな。いくら家族が帰ってきてないからといっても御厄介になるのはな」

「そっか。そうだよね。じゃあもう暗いからバス停まで送るよ」

「ありがとな」


 俺が暁槻の家に来た理由は、家族。といっても祖父母らしいのだが、昨日の夜から帰ってきていないらしく、夜だけでも。ということで来たわけであって、泊まる予定はないのだ。


 暁槻が冷えた夜道のために制服の上から羽織るものを持ってきてくれた。 


「はい。これ、ここらへんはほかの場所より風とかもあって寒いから羽織って」

「ああ、ありがとう」


 暁槻の家を出てきた道を戻る。


 暁槻の言う通り外の空気は冷たく、夜風は冷えた空気を体へと当ててきていた。


 帰る夜道には暁槻は一言も発さず、静かな帰り道となった。




 バス停に着くと、あと二分後に来ることになっていた。


「後二分か、暁槻。ありがとうなわざわざ送ってくれて」

「別に。こんなところに来てくれたお礼。とご飯褒めてくれたお礼だから」


 それじゃ。と暁槻は家へと帰る道へ進んでいった。


 少ししてバスがやってきた。


 乗り込もうと前へ進もうとしたとき、服の裾が引っ張られた。


「んっ?」


 不意に引っ張られてしまい、体がふらつく。


 後ろを見るとそこには帰ったはずの暁槻がいた。


「…一緒に寝て…」


 そう小さな声で言われた。


 一瞬何を言われてるのかわからなかった。


 というか、そのセリフはきっともっとピンク色が広がった空気で言うべきなのでは?と思いつつ、話を聞くことにした。


「どうした?」

「今言ったじゃん。さびしいの!!!」


 夜のバス停でそんな暁槻の声が響き渡った。


「あのさ?その前に服を離してくれない?」


 はっとした暁槻は、さっと掴んでいた俺の服の裾を離した。


「ご、ごめん」

「いや。別にいいけども」


 少しの静寂が訪れる。




「じゃあ、暁槻の家に帰ろうか。親から許可降りてるし」

「いつの間にそんな許可とったの?」

「最初から。友達の家行くって言ったら…」

「変なの」


 そういって暁槻の家に戻る。


「布団、そこに敷いてあるから寝てていいよ」


 そこには、一つの布団が敷かれていた。


 制服からジャージに着替え、布団の中へ入った。


 


 少し眠気を感じてきた時、問題は起こった。


 横向きに寝ていた俺の背中に、人の温かみを感じた。


「依音。起きてる?」

「……」


 俺はなぜかわからないが声を発せなかった。


 なぜこんなことになってるのだろう。


 


 そのままずっと起きていた。


 後ろで普通に寝てしまった暁槻を起こさないようにしながら、スマホの時計を確認する。


 時刻は二時半を示していた。


 はぁ。と一息つく。


 無意識に反対側へ寝返りをしてしまう。


 刹那。俺は大変、危険なことをしたことに気づいた。


 すぐ目の前には、薄暗い部屋の中で白い肌が目立つ暁槻の寝顔があった。


 それは、いままで感じたことのない感覚を奮い立たせた。


「かわいい…」


 気づけばそんなことを口走っていた。


 ただ俺は…もう一度寝返りが打てなくなってしまった。


 なぜなら、俺の右腕を暁槻の細い両手が掴んでいたためである。


 俺は、朝になるまでその体制のままにし、先に起きたのを装おうと思った。


 


 長い…









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