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15歳のラノベ作家とイラストレーター  作者: 黒目 朱鷺
15歳のラノベ作家とイラストレーター 一枚目
4/9

その一作目は予想通りの結末へ向かうようです!?

※今回の文章は途中で恋視点から佐々流視点へ移った後、第三者視点へと移り変わります。ご注意ください。

 あの日から度々、編集社で挿絵の話だけでなく、文章の調整などを入れ、サイトへの掲載まで残り二日となっていた。


 また、俺は佐々流さんの車で家への帰路についていた。


 やはり、はやららせはめんどくささがあり、二日前だというのに、絵が上がっていないという最悪の事態であった。


 佐々流さんもかなり、選択のミスを悔やんでいるらしく、会議室内で何度も頭を抱えていた。


「恋先生。今回はかなり難しいかもしれません」

「分かっています」

「pixiv出身の方って描く速度は早いけど、はやららせみたいな、崇められた人っていうのはかなり、仕事としては向かなくなる」

「そうですか。でも、城鋼のトップを走るタイトル。『世界とともに竜王様』の挿絵をしてるイラストレーターの紫先生ってpixiv出身じゃなかったでしたっけ?」

「よく知ってますね」

「はい。絵が独特で好きなんですよ」

「紫先生は…見た目はいい人なんですけどね」


 紫先生とは城鋼文庫のアニメ化の第二期を終え、今は裏で映画化の話が出ているような超有名ラノベの挿絵をしている。


 次巻が発売されたとなったら、書店から城鋼文庫の本が無くなる。


 そんな大作を生み出した要因が紫先生と言われるほどだ。




 そうこう、しているうちに車は自宅まで着いていた。


「恋先生。あの一週間ぐらい前の提案なんですけど、引き受けます」

「!?本当ですか」


 提案。それは俺が一週間前に佐々流さんへ伝えた、今作が不況で打ち切りなんかになったら、高校生になるまで城鋼文庫へ小説を書かないというものだった。


「ですが、こちらからもそれを引き受ける代わりに申し出ますよ」

「なんですか?」

「その期間中、小説を書くことはいいですが、城鋼文庫以外へ出さないでください!!」


 佐々流さんは車の中で、ハンドルに頭をつけた。


「元からそのつもりです」


 俺が新人賞に向けて書いていたのは、城鋼文庫のラノベ新人賞だった。


 だから、今回のことは本当に運が良かった。


「ほんとですか!?恋先生!」

「はい。他で書くことは無いです」

「ありがとうございます!ですが、今回の作品…落ちると思います」

「だからです。高校生になるまでに、新作を考えます」




 それから、前橋恋の新作として城鋼文庫ネットへ掲載された。


 一巻目。コメントは最悪だった。

「挿絵の入れるタイミングが読みずらい」

「文章いいのに絵があってない」

「これ、編集者誰よ。下手くそか、なんでそんなイラスト許したんだよ」

「ストーリーはいいのに、何故か読みずらいです」


 エゴサなんかしなきゃ良かった。


 ただ一つ、佐々流さんが言っていた一定数のファン。そのコメントだと思われるコメントが。


「イラストを活用出来てない。文章下手くそかよ。はやららせの絵をゴミにするな」


 アンチだった。きっと、pixiv時代のはやららせのファンであろう。


 そういうのはどうとも思わないが、見てみると気分が悪い。


 エゴサをし始めてから数分後、佐々流さんからの着信音がなった。


「はい。前橋です」

「あっ。先生。予想通りです」

「ええ。エゴサしちゃってましたから」

「そうですか、編集長やその他各関係者には僕から言っておくので、恋先生しばしお別れですね」

「なんですかその言い方。たった数ヶ月ですよ今から」

「そうですね。なんかあったらいつでも言ってください」

「はい。ありがとうございました」

「では。失礼いたします」


 評判は最悪で、これ以上掲載しても収入がないと判断したのだろう。


 打ち切り。



 作者

 前橋恋こと前橋依音

 イラストレーター

 はやららせこと江口駿

 編集

 佐々流響也


 作品『ぼくときみの夢機構』

 第一掲載。評価ランクF


 備考

 今回をもって掲載を中止。

 事実上の打ち切り処分とする。


 記入:佐々流響也 印

 確認兼承諾:米倉碧 印




 レポート紙を持って、僕。佐々流響也は編集長室へ入る。


 コンコン。

「失礼します」


 そこには、髪色が茶色く、顔立ちもいいため、座っているだけで絵になる編集長米倉碧が座っていた。


「あれ。響也くん?どうしたの?」

「編集長。社員が聞いてるかもしれないので馴れ馴れしくしないでください」

「大丈夫よ。つい先日に防音加工したから」

「アホなの?」

「弟思いって考えてや」


 そう。碧は結婚したため苗字が違うが旧名は佐々流碧。


 僕の姉である。


「で?お姉ちゃんになんの用かな~?」

「はい。これ。書いておいたからお願いね」


 僕は恋先生とはやららせ先生の掲載レポートを書いた紙を手渡した。


「うーん。やっぱりまずったね」

「仕方がないことだと思う。僕が急ぎすぎた」

「で?はやららせさんはいいとして、恋くん。とどめてある?」

「大丈夫。彼から話を持ってきてくれた」

「なら大丈夫だね。いいよ。ほかの各所は話入れてる?」

「お姉ちゃんが最後」

「わかったよーまたどっか食べに行こなー」

「はいはい」


 うちの編集長はとても軽い。


 打ち切りが発生しても裏ではもう手を回しているため損失が少ない。


 この米倉碧が長となったから城鋼文庫は他の文庫より一歩先にいる。


 そう言っても過言ではないほど、米倉編集長は凄腕なのだ。




 夏休みも終わりごろ。


 前橋依音の後輩。鈴寧月暁槻はヘッドホンを耳に当て、紙にペンを走らせていた。


 流れている曲は原作は小説のアニメ「世界とともに竜王様」の主題歌がかかっている。


 暁槻には、誰にも言えない秘密があった。


 暁槻は生まれつき、目の色が左右違い、いわゆるオッドアイだった。


 学校などではカラーコンタクトを使い、普通に見せている。


 しかし、暁槻はそれ以上に大きな秘密を持っていた。


 それは、暁槻が生まれたのは前橋依音と同じ年だった。


 暁槻はオッドアイ特有の奇病にかかりやすいという持病により、感情の昂りに応じて想像が具現化する。


 という病気があった。


 それは、危険性が高いため、感情コントロールがしっかりできるまでの期間として二年間遅れてしまった。


 それでも、予定では四年を見通していたため、関係者のほとんどは心配を残していた。


 このコントロールをしっかりする。という名目で実は実験もされていた。


 それを知るのは鈴寧月家の傘下にある少数の人のみである。


 また、その実験には暁槻を使う料金が発生しており、物心つく前の暁槻は商品として各、研究所へ売られていた。


 そんなことなどつゆ知らず、二年間で日常生活へ行くことを許すテストを合格した暁槻は、祖母の家へ引き取られた。




 それから十数年。


 今日。平凡に暮らしていた暁槻に亀裂が入る。

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