王国のお薬やさん
「~~~♪ ~♪」
ここはアルニカ王国の首都...の、外れ
郊外にある薬屋から上機嫌そうな鼻歌が零れている
それの主はこの薬局『リップ魔法薬』の店主
エルニア リップだ
17歳という若さで父のあとを継ぎ一人で切り盛りしている
「ええっと、薬草と砂糖を2対3でお水を加えて...」
彼女は鼻歌混じりにポーションを調薬してゆく
彼女の作るポーションはとても評判が良い
何でも、錬金術を使って魔力濃度の高いものを作っているそうだ
ガラガラ~
「いらっしゃいませ~」
「こんにちはぁ、エルニアちゃん」
「ああ、ヤマのおばあちゃんこんにちは」
ヤマと呼ばれた老婆は店内にあるベンチに腰を下ろしました
「最近腰が痛くなってねぇ、腰にいいお薬でもないかしら?」
「腰痛にはシップの木の葉がいいですよ どんな腰痛でもたちまち治るんです」
「はえぇ、すごいねぇ 葉っぱを貼るだけでいいのかい?」
「うーん、すり潰して塗るのがオススメですね」
「それじゃぁ一つ貰おうかしら?」
「ありがとうございます」ニコッ
エルニアが石臼でシップの木の葉をすり潰していく
ゴリッ ゴリゴリッ
「それにしてもエルニアちゃんは本当にお父さんに似てるねぇ」
「そうですか?」
「ううん、銀髪の髪も 蒼い目も性格も似てるねぇ」
エルニアは自分の父親を知らない、自分が7歳の頃に他界したらしい
ヤマさんや近所の人からとても尊敬されていた凄腕の錬金術だったそうだ
この店の初代オーナーも父親だ
「エルニアちゃんもきっといい錬金術師になれるよ」
「えへへ、ありがとうございます」ニコッ
石臼ですり潰し終わったら水を加えてとろみが着くまで混ぜるだけで完成
「ヤマさんできましたよ~」
「おやおや、ありがとう はいお金」
「ええーと、お釣りは...」
「お釣りは大丈夫よ」
「でも...」
「どうせエルニアちゃんの事だから単価以下で販売してるんでしょう?
今はエルニアちゃんも一国一城の主なんだから、自分の事も考えなきゃダメよ」
「...ありがとうございます!」
「ふふふ、ありがとう」
ガラガラ~
ヤマさんが帰り、次の仕入れも終わってしまったエルニアはやる事がなくなった
しかもここは王都の外れの外れ、客なんでほぼ来ない
「本でも読んでゆっくりしてるかぁ...」
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「あっ!しまった!」
どうやら本を読んでいるうちに寝ていてしまっていたらしい、時計を見ると午後の4時を指していた
服と髪を整え仕事を再開する
「ん?」
ポストに見慣れない手紙が入っていた
一般庶民にはなかなかお目にかかれない王国の封蝋がされた手紙だ
「王国が私に?なんだろう?」
封を開け読んでみる
エルニア リップさんへ
昼が短くなり北の風が厳しい季節になりました
いかがお過ごしでしょうか?
さて今回連絡を取ったのは、あなたの父親フィトル リップのことに付いて話したいことがありまして
直接会ってお話ししたい為です
お忙しいと存じますが時間が空いた時で良いので王都までお願い致します
この手紙は王城への招待状でもありますので必ず持参のほどよろしくお願いしたいます
国王 アルニカ より
「...なんだろう、心当たりが全くない
怒られるようなことしたかなぁ」
エルニアは少し考え
「よし、明日行ってみるか!」
どうも、作者の餅(草)蛇です
ファンタジー系小説を書くのは初めてなので拙い点があるかと思いますが
楽しんでいってください