能力の確認
18/07/29…内容一部修正
やたら寒さを感じて目が覚めた。
どうやら外の様だ。
体を起こして状況を確認する。
森の中…だろうか?
「ぶぁっくしょん!!」
やっぱ寒い!!
着ているものが何故か濡れている。
よく見るとそこら辺の草木に水滴が残っており、天気は曇り。
つい先ほどまで雨が降っていたのだろう。
てか、なんか豪華そうな服だ・・・。
後ろを見てみると、少し離れたところに簡素な造りの箱が置いてあった。
「アレか?」
多分十中八九デリオールさんが言っていたヤツだろう。
箱…見た目としては「装飾のない宝箱」と言った感じだ。
特に鍵とかは付いてない様だな…。
手を掛けるとぱかっと開いた。フタの内側は鏡になっており、そこに映っているのは俺の知る「俺の顔」ではなかった。
この顔は知っているんだが…
つまり、
「結月 大和」の顔ではなく
「アルキウス」?だっけ?とかいう少年の顔だったのだ。
転生は成功した…って事で良いのかな?
箱の中身はかなりシンプルで、
金の粉末が入った小瓶。
それと紙が一枚。羊皮紙ってヤツか?初めて本物見たわ。
紙には、日本語でこう書いてある。
「電子遊戯感覚」
・自身のステータス確認
・名前変更(1回限定)
・マップ確認
・他者のステータス確認
・ターゲットロック
・アイテム名称と効能確認
・アイテムボックス
・所持アイテム確認
・装備セット記録
※レベル上昇に伴い項目追加/強化あり
裏面には小瓶の粉の説明があった。
「限界激突破薬」
・魔法薬などに数ミリグラム混ぜることで効能を超絶強化する
・・・超絶強化って。
てかコレだけ!?
嘘!?
普通「聖剣」とか「魔剣」とかそんな感じじゃねぇのかよ!!??
はぁ・・・何だろ。
もう良いや・・・命あっての物種だとでも考えよう。
さて、どうしようか。
あ、そうだ「電子遊戯感覚」とやらを使ってみたいんだけどな…。
取り敢えず目を瞑る。
自分のステータス確認だっけ?
何となく自分の事を考えてみると、
脳内に、それこそゲームキャラのステータスの様な、数値化された自分の情報が出てきた。
名前:アルキウス・クロード・キャメロット
レベル:7
レベル7…ってのはどの程度なんだ?
かなり雑魚っぽく感じるぞ。
保持スキル
・「罵倒」6
・「剣」3
・「弓矢」6
・「騎乗」5
・「索敵」4
・「逃走」6
・「性技能」8
・「賭博」6
・「ポーカーフェイス」5
・「礼儀作法」1
おい・・・ちょっと待て。
何だよコイツのスキル!!
感覚的にわかった事だが、スキルの最大レベルは10。
まぁ…比較対象が無いから、自分がどれくらいのものなのかは分からない…。
分からないんだけども…!!
「性技能」が8レベル!?
15歳じゃねぇのか!?この「アルキウス」くんはよぉ!?
いや、ファンタジー世界だとしたら15で成人ってのはあり得る、のか?
いや、それにしてもだろ!?
あと何ならしょっぱなから「罵倒」ってなんだ!
そのくせ「礼儀作法」は1だ。
まさかとは思うがんだが…この「アルキウス」とか言う少年…良いとこの生まれだがそれを鼻にかけてクズの限りを尽くしてた…とかなのか?
はぁ…落ち着け。
元はどうあれ、今は俺「大和」だ。
取り敢えず…自分のステータスは置いておこう。
次だ…名前は…今はいいか。
その次、マップだ。
やはり「ステータス」同様、「マップ」と考えると脳内に周囲の地形、地図が浮かんでくる。
簡略化された地図だが・・・少なくともかなり森の奥深いところに今居るらしい。
表示範囲は…えっと、「マップ」の端が…あそこの木辺りだから…
せいぜい20〜30mくらいかな。
さて、どうするか。
目を開け辺りをキョロキョロするが…まぁ何が見つかるわけでもない。
ここは…原生林ってヤツなのか?
かなり鬱蒼としてるんだが…。
数メートル先の木なんかかなり太い。
樹齢何年だ?
不意にそのデカイ木に重なる様に文字が現れた。
「なんだ!?」
この世界の木特有の何かかと思ったが、
どうやら俺の能力らしい。
「アイテム名称と効能確認」か。
「エルハーバの木」とある。
どうやら果物のなる木らしいが、時期ではないのか実は無かった。
オンラインゲームとかで頭上にプレイヤー名とかが出ているが、あんな感じ。
AR表示…ってやつかな?
これは意識すると、目を閉じなくても表示されるみたいだな。
なるほど、
「電子遊戯感覚」って意味が分かってきた。
チートと呼べるほどじゃ無い能力だけどかなり便利だ。
アイテムボックスってのは…なんだ?
ま、アイテムを入れられるんだろうが…。
んんん・・・わからん。
脳内で所持アイテムは「無し」になってるし。
あ、そうだ。
取り敢えず羊皮紙と一緒にあった小瓶を持つ。
・・・まだ所持アイテム無しかよ。
なんだろ…所持アイテムの枠組みが分からん。
ポケットに入れてみるか。
あ、ビンゴ。
所持アイテム「1」になっている。
・・・ん!?
ポケットに瓶を入れたのにその感覚が無い。
なんと言うか…ポケットに重みが無い。
てかポケットが膨らんで無い?
うえから叩いてみるが…無い。
てかポケットが空だ。
でも…うん。所持アイテムはさっきの金の粉の小瓶だ。
ポケットに手を突っ込むと、手の中に小瓶があった。
「なにこれ!?」
思わず声が出たわ。
某ネコ型ロボットのお腹のポケットみたいだな。
んんん…だとしたら、アイテムってのはポケットサイズしかダメなのかね?
小瓶を再びポケットに入れ(瞬時にポケット内からは消えた)、そもそも小瓶が入っていた箱を持ってみた。
さて…どうすれば「アイテムボックス」とやらに入ってくれるのか。
10分ほど試行錯誤してみたわけで、
「アイテムボックス」とゆう架空の場所に転送する様なイメージをする事で、箱がスッと消えた。
確認するとちゃんとアイテムボックス内に入っていたので成功だ。
能力は粗方分かってきたから、実験はこれくらいにするか。
そろそろ本格的に寒いぞ。
「マップ」を確認した。
とは言え20m圏内には特に街も建物も無いし…。
てかもっと広い範囲で見れないのか?
と思った瞬間、脳内マップがどんどん広がった。
比例して表示されていた木や岩などが簡略化されていき、現在俺が立っている場所は「森」となった。
なるほど…マップは正確さを削る事で、表示範囲を広げられるのか。
1番近い町…少なくとも家を探してみたが、かなり離れてるっぽいな…。
ん…?
「キャメロット邸」?
・・・コイツの家じゃね?