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[中止中]伯爵の次男に転生したけど旅に出ます。  作者: 椎茸 霞
「そうだ、王都へ行こう」
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森の邂逅

「まぁったく…どうしてこうなったかなぁ…」


みなさん。

いかがお過ごしでしょうか。

結月 大和です。あ…ヤマト・クロードです。

身体はアルキウス・クロード・キャメロットです。

はい、ややこしいですよね…。


ただ、今の俺の現状もなかなかなものですよ…はい。


「で、団長。コイツらどうしますか」


「うむ…そうだな。まだ決めかねる部分、不鮮明な部分が多い。

種族長達と話をした上で決める。

それまでは縛り付けておけ」


「わかりました」


王都に向けて出発し6日が経った。

カダルファから王都への道すがらにある「サフィリニア」と言う小さな村…と言うかほとんど露店のみで構成された様な集落?があり、そこで食材を買い足した。

ちょうど地図で確認すると中間地点にあたる村で、そこを越えると1〜2時間で森が見えてくる。

キレイな海原の景色とは「サフィリニア」でお別れだった。


現在その「森」に居るのだが…。


「おい人間の男。妙な真似したらすぐにその喉を噛み砕くからな」


喉を噛み砕くだなんて、怖いわねぇ…。

てか、コイツなら本当にやりかねない。


「オラ、人間の女も隣で大人しくしてろ!」


「いったいなぁ!言われなくてもジッとしとくったら!」


地面に深く刺された太い杭が二本。

俺とカルナさんはその杭に縛り付けられた。


「この大事な時期にオレらの思惑が露見するのはマズイからな。

せいぜい指をくわえて待ってな」


後手に縛られてるからくわえられませーん。

んな事も言ってられないな。


「セルディア、タルナス、こいつらを見張ってろ」


「ああ」


「分かったって。ガリアもそんな怖い顔すんなよ」


「黙れ草食動物が」


ガリアと呼ばれた、先ほどまで俺とカルナさんを脅していた男は「グルルルル」と喉を鳴らした。


ここまで言えば、今更説明する程でもないが…俺らを取り囲むその全ての者が「亜人」だった。

それぞれ種族はバラバラだが、何かの目的の元集まっている様だ。


「ガリア 21歳 Lv26 亜人種/狼人族」


ガリアは顔が完全に犬…と言うか狼か。

狼人族ってあるし。

かなり鍛えた様な肉体で、腰には剣を下げている。

後ろの髪を1つにまとめているのがちょっと可愛い。

いや、全体で見たら全然可愛くないけどさ。


俺から見て左に立つのが


「セルディア 19歳 Lv17 亜人種/蹄脚族」


セルディアは下半身がヤギ、上半身は人間、加えてヤギの角を生やしていた。

確か「パン」ってヤツか?

蹄脚族…って事はヤギ以外にも居るのかね?


俺から見て右側…カルナさん側にいるのは分かりやすい。


「タルナス 20歳 Lv22 亜人種/人馬族」


コレはまた分かりやすいケンタウロスだ。

もしくはセントールとでも言った方が良いのか。

馬の首から上がちょうど人間の腰から上になっている。


セルディアとタルナスはどちらも槍を手に持ち、まぁ会話の流れからしてもそうだが、俺たちの見張りだな。


はぁ…全く。

レイラ達は大丈夫だろうか…。


そう思いつつ、視線をカルナさん、そしてその後ろに目を向ける。


芋虫…としか形容できないな。

俺やカルナさんとは比べ物にならないくらい厳重且つ何重にもグルグル巻きにされたヤツが、もぞもぞとのたうっている。


…うちの戦闘狂シスターさんである。


ま、一番…うん、ヤバイからな。

そうなるわ。


さて…頭を冷やさないと…。


俺は原因となった出来事を思い出していた…。


〜〜〜〜〜


「なぁ…アレなんだ?」


森に入って数十分。


手に持った地図と、脳内の「マップ」を確認していた時だった。


まぁ脳内の「マップ」とは言え、なんと言うか…俺の視界をテレビ画面だとすると、右上にある程度の範囲が見える様になる感じだ。

意識すれば全画面表示にして詳しく見れる。

本当にその点に関して言えば、俺が転生する際に死神に与えられた能力…「電子遊戯感覚(ゲーミングセンス)」とは言い得て妙な名前だ。


閑話休題。


「マップ」に表示された自分。

その数十メートルほど右斜め前方が、何かノイズがかかった様な変な表示になっていた。


レイラ達を始め、カルナさんも俺の能力全ては知らない。

「マップ」もまた然りだ。


何か「ジャミング効果」のある物があるのか…それとも「結界」的なものか…。


馬車のスピードを少し落とし、実際に見えている風景と、「マップ」にかかるノイズ部分を確認した後「千里眼」スキルを発動した。


特に怪しいものは見当たらない…。

ん?

いや…「マップ」でもノイズがあったが、肉眼で見ても微妙に…「景色が歪んでる」?

なんと言うか…「屈折」してる…みたいな?


ふとある物が目にとまった。


一見、木の枝にも見えるが全然違う。

なんと言うか…木に引っ掛けて、ぶら下げた物…かな?


「ヤマト様…先ほどから何を見ているんですか?」


「ん…いや…木にぶら下がってるやつ、アレなんだろ?」


「マップ」にも影響を出す「何か」である。

放っておける様な物ではないと思う。


「ぶら下がっている…ですか?」


「どれどれぇ〜?」


カルナさんも、馭者台に身を乗り出して来た。


「あの木にぶら下がって…って…ゴーグル?」


なんだろ…カルナさんは、ガスマスクの上半分みたいな仰々しいゴーグルを装着していた。


「コレ?「真贋査定(リバーシゴーグル)」って言う魔導刻印道具(マギウスアイテム)だけど…珍しいかい?」


「あ、いや、そうだな…余り見慣れないから」


魔導刻印道具(マギウスアイテム)と言えば、レイラを奴隷として購入した時にちょっと見かけた程度だしな。


「あっはは!そーだね。おいそれと手に入るもんじゃないけど…ま、王都でならそこそこ見かける様になると思うよ?」


なるほど…国の中央だし、それもそうか。


「で…それはどういう物なんだ?」


「物事の真贋を精査する。

ま、簡単に言えば嘘発見器だね。


アタイの記憶と照合して、これを通して見たものが本物かどうか見抜くんだよ。

さすがにスキルでも完璧とはいかないからね」


「それで…何か分かったり?」


「そうだねぇ…。

これは名前の通り「真贋」を見抜くって言ったんだけど…コレはなかなかな物を見つけたわ」


「なかなか?」


「あの木。あの変なアイテムがぶら下がった木から奥は…偽物の森だね。

ま、早い話「目眩し」とか「隠蔽」の類の「結界」だね」


馬車を少し手前に停め、俺とマリシテン、カルナさんの3人で様子を見に降りる。

亜人3人組は待機だ。


最も、ランに至っては一度降りると乗るのが面倒だからだ。

1人だけ乗車するのに5分くらいかかる。

脚を器用に折り畳んで乗ってる上にアニスやレイラが手伝ってるのにそれくらいかかる。


「明らかにその「木垂(きたらし)」が結界の起点で境目だね。


そこかしこにあるじゃないか」


言われて気が付いたが、等間隔…とまではいかないが、ある程度の感覚で「木垂」と呼ばれる「魔導刻印道具(マギウスアイテム)」がぶら下がっていた。

見た目…と言うか色は完全に木と同じだが、明らかに材質は違う感じだった。


「このアイテムについて、詳しく知ってるか?」


「そうだねぇ…まずこの結界は、外側からは分からないが内側からは向こうが見える。

まぁ音は完全に遮断するから、ただ隠れるってだけなら結構便利な結界なんだけーーー」


ザシュン!!!


ドサ…


うちのシスターは本当に空気を読まないらしい…てか空気以前に怪しめや!!!


マリシテンがその手斧で、「木垂」の下がる木の枝を完全に切り落としていた。

わーい森林伐採だね。


だが、そんな彼女の行動にツッコミを入れるなり咎めるなりをする事はできなかった。

なぜなら、それとは全く別の所に驚いたからだ。


マリシテンがそんな突飛な行動を取ったと同時に、「危機感知」スキルが脳内で盛大に鳴り響いた。


俺とカルナさんの目の前。

つまりちょうど「結界」の境目の向こう側にあたる場所。


そこに5〜6人ほどの屈強な人影が立っていた。


目の前に見えないカーテンが下がっており、それが急に消え去った様に、空間そのものがぐにゃりと回る感覚と、

次の瞬間にはその集団である。


驚かないわけがない。

てか唖然とした。


その上「危機感知」スキルが示すのは、目の前の集団だ。


そして更に驚く要因となったのが、その集団の姿だ。

犬の顔、鳥の羽、馬の足、蛇の首…


つまりみんな、亜人だった。


「あっちゃー…これ今から逃げられないかね?」


「それ、俺も思ってました…」


〜〜〜〜〜


捕縛されるのは一瞬だった。


正直なところ、反撃しようと思えば容易くできたのだが…カルナさんもいる上に、武装する亜人達は平均的に20〜30レベルだったため、ただの抵抗は止めたのだ。

やたらめったら攻撃して、過剰防衛とか言われたらたまったもんじゃない。


それに亜人達が捕縛に使っていた縄も、特に何か特別な効果がある様子もないただの麻縄だったし。

グルグル巻きにされた後、少し力を加えてみると割と簡単に千切れそうな感じだった。

本気を出せば逃げれそうだな。


まぁ、マリシテンと「手合わせ」した時も自分の想定以上の結果が出た事だし、余り無作為に力も振るえないからな。


ちなみに、そのマリシテンは最初は凄まじい抵抗を見せたのだが…余りの形相(と言っても「魔獣」に向けるような笑顔)だったため、

俺が「殺すなよ!」と叫ぶとさすがに素手で応戦しはじめた。

ま、すぐに来た増援を含む数名がかりにより芋虫やら蓑虫やらと言われそうなレベルでがんじがらめにされたわけだけど…。


「団長!!こいつらの乗ってた馬車に3名の亜人が!!」


「なに!?

・・・お前ら、人攫いか?」


「え?…いや違う!!あいつらは一緒に旅をしてるヤツらだ!!」


団長と呼ばれた者は、フクロウの頭に屈強な身体、そして背中から大きな翼を生やした男だった。


「フェリオル 44歳 Lv51 亜人種/鳥人族」


フクロウ人間=団長は一瞬鼻で笑うと…まぁ鼻ってか嘴?なんだが…俺の方を細めた目で見ながら言った。


「まぁいい。本人に聞けば分かることだ。


こいつらを連行しろ!!」


『はっ!』


こうして俺らは、何故かは知らないが、森の中にいた亜人の集団に捕まる事となった…。

この世界のレベルに対する概念


後の回で話せるかまだ分からないのでここで説明を。


「レベル」は、

「脳」の経験・知識を数値化した物で、レベルアップによって肉体が強くなるのは、

身体が脳の経験・知識に適した構造に変化する為。


文献に残る最高レベルは72

専門職、職人の人はレベルが高い傾向があるが、決して戦闘力が高いわけではない。


平均的に20〜25レベルは高い方。

30を超えてくると一目置かれる。

40レベル以上は戦闘職の人が多い。

50レベル以上は魔法の専門職や戦闘職の中でも一部の者。

60以上は稀。


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