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[中止中]伯爵の次男に転生したけど旅に出ます。  作者: 椎茸 霞
「長いチュートリアルは面倒だと思う」
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2人の表現

「まずは一通り見繕ってみたが…なにか気になるものはあるか?」


いや、めっちゃ気になるものが1つある。


「あの…これって?」


「おぉ、それか。それは極東の「ジパニア」って所の武器でな、銘を「虎断(とらたち)」と言う。

もっとも、特色が一般的な剣と違うから扱いは難しいだろうな」


完全に「日本刀」だ。

やっぱ異世界でも極東なんだな…。


取り敢えず個人的な心の買い上げリストには載せておこう。


次に…なんかやたら元の素材をふんだんに使った感じの片手剣があるな。


「コレは「クラブナイフ」だな。「オーガクラブ」の甲殻とハサミを使った片手剣だ。

「耐性:水」と「水圧軽減:大」がエンチャントされてるから、川辺での戦闘や水属性の魔獣にゃ優位になる。

ただ、それ以外だと「ちょっと丈夫な片手剣」程度だから、強く勧めはしないな」


まぁ見た目はなかなかカッコいいと思う。

暗い赤褐色の盾と刀身が、生物特有の微妙な色合いで綺麗にも思える。

剣の方も、その「オーガクラブ」とやらのハサミの形状を崩さずに形を成しているし、

店頭に陳列されていた片手剣とは違い、だいぶ手間が掛かっているのは理解した。


お?また、変な形の刀身だ。


「それは「三叉剣(トライブレーディア)」だ。

見たとおり刀身が三つ有って、一太刀で三太刀分の傷を与えるわけだ」


持ち手は普通なのだが、鍔から伸びる刀身は横に3つ並んでおり、さながら巨大な爪の様にも見える。

これで斬られたくないなぁ…。


「ただ、刀身の形状のせいで鞘が無い」


見た目重視かよ…。


ん?また変わった刀身のヤツがあるな。


「それは「ライトニング」だ。

刀身が雷見たいな形状で、先端も「剣」と言うより「鎌」見たいだから取り回しにくいではあるな。

だが、「耐性:闇」「耐性:光」「耐性:物理」のスキルに、「魔力吸収:中」と「加速:小」がエンチャントされてる。

それにガントレットの方は「耐性:火」「耐性:水」「自動防御:小」もエンチャントされてるからな、どちらかといえば魔法主体で戦闘するための武器だ。

接近された際の対応と、再度距離を取るのにも使えるな」


ほぉ見た目のイロモノ感の割に、結構便利そうだな。

ただ、まだ魔法使えないんすよねぇ。


他に気になる…と言うか目を引くのは…。


「ああ、それは正直オススメしないね。

ただ見た目だけの武器だからな」


だろうな。

レイピア的な刺突系の片手剣なんだが、柄とか鍔とか、なんなら刀身にまで「薔薇」の装飾が過剰なほどに施されている。

てか、何処が持ち手だ。


持ってみると。


「ぶふ!!兄さんそのレイピアでいいんじゃないの?あはははは!」


めっちゃアニスに笑われた。

何せ、レイピアを持った瞬間、急に頭上から薔薇の花びらが舞い落ちてきたのだ。

呆気に取られつつ、取り敢えず剣を振ってみる。


その軌跡に合わせて刀身から薔薇の花びらが生成される。


「あぁ…それは「薔薇之男爵(ローゼスバロン)」つってな…まぁうん。見た通りの能力しか無いんだ。

薔薇生成も錬金術の応用?とか聞いたが、秘匿されているし、

正直片付けが面倒なんだ…」


「す、すみません…」


慌てて薔薇のレイピアを置いた。

うぅわ、足元の花びら…。


さて、それ以外にも幾つか片手剣と数本の剣を見せてもらった。

イロモノ以外にもちゃんとした武器もあったよ。


取り敢えず…


「虎断」剣(5金貨)

・「加速:大」「威力増加:居合」「空間把握」


「ライトニング」片手剣(3金貨)

・「耐性:闇」「耐性:光」「耐性:物理」「魔力吸収:中」「加速:小」

・「耐性:火」「耐性:水」「自動防御:小」


「オールファイター」片手剣(1金貨)

・エンチャント無し


を購入する事にした。

正直目ぼしいのはこれくらいだったし。

ちなみに「オールファイター」は騎士団でも警備兵が装備していたりするもっともスタンダードな片手剣なのだとか。

たしか店頭にも「オールプレイヤー」って名前で似た見た目のものがあったが、それは劣化版らしい。


あと…「薔薇之男爵(ローゼスバロン)」だが…アニスがやたら気に入ってしまい、

彼女持ちで購入する事になった。


薔薇之男爵(ローゼスバロン)」片手剣(8金貨)

・「薔薇之宴(ローズパーティー)


このスキル、絶対この剣オリジナルのスキルだろ。

しかも8金貨って地味に高い。

まぁ俺が「経験値薬」を購入した40金貨があるからそこから支払っていたが、おい5分の1もの金貨がこの薔薇レイピアに飛んでるが良いのか?


後は、弓用に矢を200本購入。

10本1銅貨と思ったより安かった。


ま、武器はこれくらいで良いだろうな。


〜〜〜


「ビスマルク武具店」を後にし、露店大橋を渡る。

途中の露店で「チャプマッカヌ」とか言う水飴みたいな物が売っていたが…あれ、マジでなんだったの?


焼き鳥を売っている露店があった。

なんか懐かしい匂いだなぁ…。

縁日の時にはよく買ってたし、大人になってからも飲みに行ったら絶対焼き鳥は注文するからなぁ。

久々に食べたくなってきた。


俺はアニスにちょっと待ってもらい、急いで焼き鳥の露店に向かった。


「おじさん、焼き鳥6本お願いします」


「はいよ、焼き鳥6本で6銀貨ね」


おぉ!

意外に変わらないんだな!

やっぱタレの良い香りが鼻腔をくすぐる…やばい。ビールが欲しくなってきた。

この世界でもやっぱ酒は20歳からだろうか?


そんな事を考えつつアニスの元に帰ってくると、ジト目で彼女は出迎えてくれた。


「な、なに?」


「いや…もうここまで来たらさすがに驚かないですけど…。

よく鶏肉なんて高級品をポンポン買えますよね…」


そこで気が付いた。

確かに焼き鳥6本で6銀貨…つまりは6万円相当って、馬鹿みたいに高い。

新作ゲームのハードとソフトが買える。


「鶏肉って…そんな高級なの?」


「はぁ…元がどこの家の坊っちゃんか知りませんけど…鶏肉は高級品です。

毎朝卵を産んでくれる貴重な生き物をわざわざ食べるなんて考えただけで勿体無いですからね。

そんな事が出来るのは貴族様くらいでしょうよ」


なんかちょっと不機嫌?


「あ、あぁ…なんかゴメン。

まぁこれ俺だけで食べるつもりじゃないし、ほら」


取り敢えず2本焼き鳥を渡した。

器用な事に、顔に巻いてる布は外さず、加えて焼き鳥のタレを布に付けることなく、一瞬でアニスは焼き鳥を2本とも平らげた。


「う…うんまぁぁぁぁああああああああああ!!!!」


「ちょ!静かにしろ!みんな見てる!!!」


「こ、これ程までに鶏肉は美味しいのですか!おお!神よ!鶏肉とは!!なぜこんなにも美味しいのか!!

この美味しさ!

周りを包むタレも美味しくて、まるで例えるならこれは、その…美味しい!!!」


例えられてねぇ…。


なんとなく感じていたが、アニスも結構貧しい方なんだろうな。

それに、なんとなく思うのが、アニスはレイラに結構優しい。


同じ亜人同士というのもあるだろうが…実質レイラの身分は「奴隷」だ。

なのに、かなりすんなりとレイラの事を受け入れていたし、結構普通に接していた。


やっぱ、コイツも苦労してるんだろうなぁ。


取り敢えずアニスを黙らせつつ急いで露店大橋を渡ろう。

まずはそれからだ…。


〜〜〜〜〜


「ふ、ふぉぉおぉおああ!!!な、何ですかご主人様!!

こ、この芳醇な甘辛いタレによって味付けを施された鶏肉は!!

しかもその鶏肉もよく火が通っていて、それでいて時たま顔を覗かせるコゲの苦味さえもタレの美味しさを強くしています!!!」


おい、レイラの方が食レポ得意なんじゃねぇか?

ここ数日で1番喋ったぞ。

てか、ヨダレ拭けよ。


お土産として2本焼き鳥は残しており、既に冷めてしまっているんだが、こんな反応してくれるとは思わなかった…。

焼き菓子より反応良いな。


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