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[中止中]伯爵の次男に転生したけど旅に出ます。  作者: 椎茸 霞
「長いチュートリアルは面倒だと思う」
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奴隷の入手

アニスの店を後にして数分。


幾つかの店を見てみたが、めぼしい物はあんまり無かった。

闇市を後にしようと元来た裏路地に入った時だった。

「索敵」スキルが反応した。


誰かに後を付けられてるな…。

どうしよう。


角を曲がる。


後ろのそいつも角を曲がってきた。


「なんで付いてくるんだ?」


俺は振り向いてそいつに声をかけた。

180cmくらいの男。


「ちっ…気付いてたか。

まぁここまで来たらいいだろう。


坊っちゃん、かなり大金を持ってるんだよな?

ザッと見積もって60金貨くらい」


ん?

もっと持ってるぞ?


「俺はしっかりアニスの店のとこで話を聞いたからな。

無いとは言わせねぇぜ」


・・・あぁ。

確かに。


即金で100金貨払えるって言って40金貨払ったから、残り60金貨と思ったわけだ。

ちゃんと計算出来るのね。頭悪そうな顔してるのに。


さて、どうするかな…絶対そろそろナイフとかチラつかせてくるタイミン…


「痛い目に遭いたくなきゃ言うこと聞くんだな」


ビンゴー。

ナイフを懐から出してきた。


不意に男の頭上に名前が現れたため、吹き出しそうになったが、俺にしか見えてないみたいなので「ポーカーフェイス」スキルで何とか持ちこたえる。


「ダルバ」


ただ、今まで見てきた人達とは明らかに違う情報も表示された。


「殺人/強盗/強姦」


・・・引くわ。

前科持ちだと見れるのね。

てか・・・引くわ。

典型的な悪者じゃん。


という事は、拒否ったらコイツ本気で殺しに来るな。

そう言うのを躊躇わない男だろう。


一応護身用にこちらもナイフは持っているが…「剣」スキルって「ナイフ」も適用されるのか?

微妙だなぁ…。


あ、そうだ。

あの能力まだ試して無かったや。


電子遊戯感覚(ゲーミングセンス)」の1つの。

・ターゲットロック


何となく他の能力と同じ様に意識してみたら、脳内で展開されている「マップ」に赤い点が1つの灯った。

完了かな?


お、ダルバになんか赤い照準みたいなのが見える。

「十」と「◎」を重ねたみたいなヤツだ。

それと不思議な感覚なんだが、

実際に照準が見えてると言うか、脳が見ているという感じだ。

なんだろ…照準が有るのが分かるというか…説明が難しいなぁ…。


「はは、ナイフを見ても俺を睨みつけるなんて、肝が座ってんな」


セリフじゃ笑っているがイラついてます感はわかる。

そろそろちゃんと考えないと…。


と思った瞬間、ダルバの背後からタタタッとゆう足音が聞こえた。


数瞬遅れてダルバもその音に気付いたのか振り向いたが、

それと同時に路地の角を曲がって誰かが飛び出してきた。


「え!?んん!!」


「な!?おわ!!??」


ドン!!


人影は勢いよくダルバを横に突き飛ばしたが、俺には気付いていなかった様で正面からぶつかってしまった。


「いててて…ゴメンだいじょう…ぶ?」


「うぅ…」


それは、頭部から艶やかな黒い角を生やし、腰の辺りから力強くも細い、黒い鱗に覆われた尻尾を持った美少女だった。

見た目は17〜18くらいか?

感覚的に歳下だ、と思ったが改めて考えると現在は14歳の少年の身体なので実質歳上だな。


ただ1つ付け加えると、

彼女の両足首には頑丈そうな鉄製の枷があり、両方の枷からは20cm程の鎖がそれぞれから伸びている。

着ている服も、服というか…麻袋に穴を開けただけみたいな雑な物。


俺の予想としては…両足を繋ぐ鎖を千切って逃げてきた…奴隷さんかな?


「も、申し訳…ありません」


彼女はすぐに立ち上がろうとしたが、足を痛めたのか辛そうな顔をした。


「あ、あの…もしかして逃げてるの?」


「!!??」


彼女の顔が恐怖に染まった…。


「も、申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳ありません!!」


そう絶叫する様に繰り返しながら頭を地面に擦り付ける…いやもはや打ち付けている。

ああ…この世界にも「土下座」ってあるのね、なんて悠長なことを考えているが、

その実、かなり混乱している。


ふと、彼女のステータス(と言ってもレベル7のせいか名前だけだが)が表示された。


「38」


ば…番号だけですか…。

ガチ奴隷だな…。


あ、そういえばダルバは…?

突き飛ばされてから空気なんだけど?


お、おぉ…マジかぁ…。

おそらく突き飛ばされた勢いでなのだろう。


自ら握りしめたナイフが、深々と首に刺さっている。


表示も「ダルバの遺体」となっており扱いもアイテムになってる。

ちなみに奴隷の彼女のステータスには「殺人」は出てないので事故って事なんだろう。


暗い裏路地故にちゃんと見えてないからか、あんま出来たてホヤホヤの死体を見てもショックがないのは大丈夫か、俺?


ま、確かにグロ耐性はあるけどさ…。

よくインターネット掲示板でエロ画像とゆう謳い文句に釣られてグロ画像を見たからねぇ…。

はは…懐かしい記憶よ…。


てか、奴隷さん。まだ謝ってるし…止めてあげねば。


「申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳ありま」


「大丈夫だから頭を上げてくれ、別に君を傷付ける気は無いから」


「あ、あの…あの…」


なんとか謝罪の連呼は止めてくれたが、かなり怯えてるなぁ…。


さてと。

俺の脳内の異世界ファンタジー知識が今フル稼働で検索を行っていますよぉ。

「ポーカーフェイス」スキルマジ使える。


ああ…てか奴隷を手に入れるのって大概もうちょっと後じゃ無いのかぁ?

旅の中盤で主人のいなくなった奴隷を引き受ける事になって〜とかさぁ。

途中参加のハーレム要因ってのが普通じゃなかったのか?

初手から奴隷か。

エロ小説じゃねぇんだからさぁ…。


とかなんとか思考を巡らせていたのだが…時間をかけすぎた…。


「おい!居たぞ!」

「この小悪魔(しょうあくま)」が!!」


2人の中年男性が現れたのだ。

1人は無駄に金の刺繍とかが入った服を着ており小太りなのが何か「いかにも」って感じだ。

もう1人はガタイもよく手に鞭を持っていた。


なんか岩の大玉に追いかけられてたトレジャーハンターを思い出したわ。


ガタイのいい男が勢いよく鞭を振るった。

ヒュパン!!

とゆう様な独特の空気を切り裂く音が聞こえたかと思うと、奴隷さんが形容しがたい苦痛の声を上げて体を反らせ、すぐにドサッと力なく上体を倒した。


その背中を見て鞭が怖くなったね。

服が斜めに裂けており、その下の肌からは血が滲んでいる。

ただ見えている背中は真っ黒の鱗に覆われていたため、その鱗が割れたり剥がれたりして血を流している様だった。


痛みだけでも人間は死ぬと聞いた事があったが、

奴隷さんは流石に死んでいない様だ。

まぁその鱗からして身体も丈夫なのか気絶もしていない様で、痛みにプルプル震えているが。


「おや、人が居たんですね。


いやはや妙なところを見せてしまいました。

ウチの商品が迷惑をおかけしてしまいましたな。

大変不快に思われたでしょうが、どうかご容赦下さい」


うわぁ…なぁんか嫌な喋り方だなぁ…なんかネチっこいとゆうか…成金商人的な何かか?

商品って事は「奴隷商人」ってらヤツか。

わー初めて本物見たわー。


「ナリキーン・アンダルソン 偽証/詐欺」


おっほ、まさかの名前も「なりきん」かよ。変な笑い方になったわ。

しかも前科持ち。

偽証…って事は、どっか公式の場で嘘の証言でもしたのか?

詐欺って…普通に酷いな、気を付けよう。

なんか、汚い事して金稼いでますって感じの男か。


さてね。

今俺、変な事考えてるぞぉ…。


「いやぁお初にお目にかかりますナリキーンさん。

ちょうどよかった、あなたを探していたんですよ」


「おや?私をご存知だったんですか?

…あなたは?」


「いえ、ちょっと大きな声では自己紹介出来ないのですが…」


そう言って俺は懐から鞘に納められたナイフを取り出して見せた。


「私はアルキ・クロードと申します」


「アルキ?は…この家紋…!!


あ、アルキウス・クロード・キャメロット様ですか!?」


小太りのおっさんが顔を近づけてきて囁いた。

…加齢臭って本人は気付かないのかな?


「忍んで闇市に来ましたので、これ以外の証明が無いんですが…」


「いえ、その紋章を見れば分かりますとも!!


…えっと、どの様な要件で私を?」


この世界の人って説得に対してチョロくないか?


「あなたを尋ねる理由なんて1つでしょう?」


ナリキーンに笑顔を向ける。

会社勤めの人はみんな出来るはず。

営業スマイルだ。


「ははぁ…なるほど…。


では、私の店までおいで下さい!

上質な奴隷を見繕いますとも。

ちなみに、もし戦闘奴隷をお求めでしたら、生憎取り扱いがないのですが、性奴隷であれば調教済みのモノやまだのものも揃えております」


うわ、性奴隷って言ったよ。

しかも調教済みって…エロ漫画みたいな表現をガチでしてきたし。


とはいえ、実際店まで行っちゃうとみんなに情が移ったりしちゃいそうだからなぁ…。

さすがにそこまで余裕はないし、正直俺は聖人君子ではないので、目の前の者に手を伸ばすがやっとだ。


「あぁ、店まで行こうとは思っていたんだが…気が変わった。

この子を貰いたい」


「んぇ!?そ、それですか?

あ、いや店にならコレより上質で調教済みの性奴隷がいますよ?!

なので、一度ご来店なさいませ」


「何か不満でもあるんでしょうか?

私がこの子を買うと言っているんですよ?」


必死こいてんじゃねぇぞ加齢臭成金が。


「え?!いや、そのまさか!!不満など御座いませんとも、はい!!」


「そうですよね。

それでは即金で支払いましょう。いくらでしょうか?」


「あ、あぁえっとですね、コレは見た目からも分かるように、亜人種の中でも「悪魔の隣族」とも揶揄される「竜人種」の中でも、一際忌み嫌われる「黒龍人(ブラックドラゴニュート)」でございますからして、相場より安く・・・30金貨となっています」


たっかいな!!!!

「経験値薬」と変わらねぇじゃねぇか!!!


「えぇ?!30金貨で売りつけるんですかぁ?!」


「さ、さすがにそれよりは引けないですよぉ…」


「先ほど、この黒龍人が僕に遭遇し、ぶつかった事について…あなた謝罪してませんよねぇ?ナリキーンさん?

商人さんなのに私の顔を知らなかった事も少し驚きましたが…そこはまぁ良いでしょう。


けどぉ…私がこの子を買う可能性もゼロとは言い切れなかった段階で、すぐにこの黒龍人を鞭で打ち…ましてやこぉんな傷物にしてますよねぇ??

ちゃんと見ましたよぉ?


それでもなお…30金貨で売りつけるんですねぇ〜」


俺が喋るほどに脂汗が滲み出てる。

ちょっと見てて面白いと同時にキモいな。


「そ、そぉ〜ですよねぇ!!

おっしゃる通りでございますとも、はい!!


では、25きん…」


「25…ですか…」


「んぐぅ…!に、20…」


「へぇ〜」


「いぎぎ…!」


そこで今まで無言で佇んでいたガタイ男がナリキーンに耳打ちした。


「旦那、さすがに「小悪魔」ですぜ?既にいくつかの街で買い手が見つかってない厄介者だ。

引き取ってくれるってんなら言い値で買わせましょうよ。

その分店に別の奴隷を入れれば良い」


「そ、そうだな…


分かりました。

5金貨はどうでしょう?コレはもはや戦闘奴隷としても性奴隷としても最低レベルの奴隷と同格だ。

なんなら犯罪奴隷とも同格の破格です」


ほぉ…新しい奴隷の種類が出てきたな…。

犯罪奴隷か…あとで調べておこう。


「さすがに犯罪奴隷と同格では私の品格に障りがあります。

ここは15金貨で良いですよ?

そちらもそれ以下だと大変でしょうし」


正直20金貨でも良かったが5金貨まで下げようとしたんだ、これくらいは褒美だな。


俺は15金貨をナリキーンに渡した。


〜〜〜


さすがに奴隷として買うには契約が必要との事で、そればかりはどうしても店に来てくれなければ出来ないと言われてしまった。


店とは言うが…ほぼテントだ。

後ろに馬車が何台が並んでいたが、どれも檻のようなもので、中に奴隷がいるのが分かった。


テントの中に用意されていた椅子に腰掛ける。

テーブルを挟んで向かいにナリキーンも座る。


目の前に鉄製の首輪が置かれた。

どうやらギルドカードの登録と同じようにこの首輪に血を染み込ませるとのことだ。


「アーティファクトってヤツですか?」


古代魔導具(アーティファクト)?いやいや違いますよ。

ただの「魔導刻印道具(マギウスアイテム)」ですよ」


なんだそれ…。

後で調べるもの追加。

てか、迂闊にそれっぽいからって発言するもんじゃ無いな。

微妙に相違があるようだ…。


奴隷は契約の証として、この「奴隷首輪(スレイブリング)」を付けるのだとか。

命令違反をすると首輪が締まり奴隷を窒息させる。

その他、主人の意思によって一撃で首の骨を折る事も出来るのだとか。

加えてこの契約は主従どちらかが死ぬまで継続し、一度着けると2度と外れない。

無理矢理外そうとしても首の骨をボキンだと。


怖・・・。


ナリキーンさんかなりサラサラと説明してたけど、怖いわ。


帰り際に「性奴隷を見ていきませんか?」と言われたが遠慮した。


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