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[中止中]伯爵の次男に転生したけど旅に出ます。  作者: 椎茸 霞
「長いチュートリアルは面倒だと思う」
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薬の入手

宿屋「カトレア」が面しているキャメリアの表通りを少し進み、

その中ほどから裏道に入る。

幾つかの角を曲がり「スラム」と表現される一歩手前の様な寂れた地区に差し掛かったところで、闇市は開催されていた。

既に日は沈み、遠くの方では呑んだくれ達の陽気な笑い声や喧嘩の怒声が聞こえている。


なるほど…闇市というだけある。

全体的に「曰く付き」感が凄い。


「なぁおっちゃん。主に薬品を扱ってる露店ってあるか?」


取り敢えず手近な露店の店主に声をかける。


「薬品?そうだな…5銅貨だ」


「え?」


「情報料だよ」


「あ、あぁ」


取り敢えず5銅貨を渡す。

ホント文字通り「現金なヤツ」しかいないらしい。


「場所まではわからんが「アニス」って男が薬品専門で取り扱ってるな。

赤い布で顔を隠してるヤツだ」


俺はおっちゃんに礼を言いその場を後にした。

名前が分かっている時点で人探しは容易だった。


露店を出している人を遠巻きに見ていたら、7人目が「アニス」だった。

顔を赤い布で覆っており、何となく中東の人を彷彿とさせるな。


「あんたがアニスか?」


「ん?兄さんウチの事知ってるのかい?」


「薬品専門の店を探していたら紹介されたんだ」


「まぁ確かに薬品専門っちゃ専門だね。

で、どんな薬を?

頭がトロンとする感じ?

それともヒャッハーってなる感じ?」


おいおいおいおい。

薬ってそーゆークスリかよ?!


「あ、いやそうゆうんじゃない。

「経験値薬」を探してるんだ。扱っているか?」


「あ、そゆことね。

ちょぉ〜っと待ってよぉ、在庫見てみるね」


さっきからなんか違和感を感じるんだよなぁ…。


「んんん〜一応有るにはあるけど…戦闘系経験値しかないや…。

兄さん、得意な武器とかある?」


戦闘系…以外にあるのか?

まぁ良いんだけどさ。


「そうだな…弓矢とか」


「あらら…「戦斧」と「片手剣」だね。ざ〜んねん。次の機会に来てくれよ。

「弓矢」の経験値薬を出来るだけ探してみるからさ」


「え?売ってくれないのか?!」


「当たり前じゃん?

弓矢と剣って全然違う武器だよ?


・・・兄さん経験値薬についてちゃんと勉強してるの?」


「あ、いや…」


「はぁ〜コレだから素人は困っちゃうよね!


いい?

経験値薬は言うなれば「諸刃の剣」なわけ。

脳に自分が自ら得たわけじゃない経験を読み込ませるの。

そこから脳が経験に馴染むまで1〜2日。

馴染んだら次は身体がそれに合わせて成長するんだよ。

レベルは格段に上がるかも知れないけど、本来よりも超加速で変化するから、まず1週間は動けなくなるって思った方が良いよ!」


マジか…なんかヤバイな。


あ、待てよ。


「剣術なら少しはスキルがあるぞ」


「へぇ?珍しい。

でも「弓矢」と比べたらそんなに高くないでしょ?

だったら身体の作りは「弓矢」に適した作りだと思った方が良いよ。

だからダメ。

それに「経験値薬」はボッタクリじゃなくホントに高いんだから」


「どれくらいだ?」


「20金貨!それ以下はまず無い!!

それに「戦斧の経験値薬」はレベル27だから30金貨だし、「片手剣の経験値薬」はレベル36で40金貨だね。

これでも良心的なんだよ」


「金額は問題無い」


「ふぇ?!」


変なリアクションになってるぞ。


今の手持ちは155金貨だ。

それくらいなら問題無いっしょ。ギルドには500金貨あるし。


いや…日本円で最低2000万の薬ってどうなんだよ。

そんな頭痛薬とかあったら、鎮痛前に死ぬんじゃ無いか?


「そ、そんな嘘には騙されないよ!

兄さんが剣術スキル持ちで「片手剣の経験値薬」を得るとしても40金貨だよ!?」


「即金で払うぞ」


「うぇ?!!」


この子の反応可愛いな。


「なんなら100金貨までなら増額しても構わない。それ以上なら明日になるが、ちゃんと現金で払おう」


「え、あ、うぅ〜…えっと」


迷ってるなぁ。

即金で4000万払うと言われたらな、さすがに揺らぐだろう。


あと一押しか。


「薬の服用で俺が倒れて、苦痛にのたうち回ってもあんたに何か請求したりはしない。

その約束も含めて50金貨払う。

これでどうだ?」


「うぅぅ…分かったよ。

でも「片手剣」だけだ。それに40金貨で良い。

その代わり、兄さんどこに住んでるんだ?」


「え?

あぁ、定住はしてない。

1人で旅をしてて、一昨日ギルドに登録したくらいだ。


一応今は露店大橋近くの「カトレア」って宿屋にいるよ」


ちなみに、闇市がいつ開くか分からないと言われていたので、宿泊日数を5日延長をしたのだが案外早く開催された次第だ。


「そうか…明日そこに様子を見に行くから」


様子を?

まぁいいか。知人のいないこの異世界で友人くらいは欲しかったところだ。


「わかった。俺の名前はヤマト・クロードだ」


「ウチはアニス…ってそれは知ってるか。

んじゃ明日昼に顔出すからね」


そう言うと、アニスは1つの瓶を差し出してきた。

中には不思議な色の液体が入っている。

なんとゆうか…オパールを半透明にしたみたいな色だ。

俺は言われた通りに40金貨を渡した。


アニスはホクホク顏だ。

そりゃそうか。


アニスとその他2〜3他愛ない言葉を交わし、俺は店の前を後にした。


さて、不定期開催らしいしもうちょっと巡ってみるか。


そんなことを思ったが故に…まぁちょっとした面倒ごとに巻き込まれてしまうわけだが…。

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