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疾風迅雷の魔術師  作者: ヘデメ
『朱』編
17/26

【向かう街】

 フォレス村の滞在中に行ったのは何も白斗の特訓だけではない。


 当然だ。主目的がそれだったとはいえ、村の滞在期間は3週間。の桜庭澪がその期間を無為に過ごすはずがないのだ。


 村に滞在していた間に澪が行ったのは、主に周辺の町についての情報収集。次の目的地について考えるために村長をはじめとした村人に聞き取り調査をしていた。その際に子供なんかと遊んでいたり世話を頼まれたりしていたので、澪が村を出るときには周りに多くの人々が集まり、別れを惜しまれていたのだ。


 対する白斗はほとんど全ての時間をロウエンとの訓練に充てていた為に、村長とその妻を除く村人たちとの交流がなく、最終的に別れを惜しんでくれるほど親密になった人は皆無だったのだ。


 白斗にとっては重要な問題かもしれないが……そんなことはさておき。澪が得た情報を整理しよう。


 【フォレス村】に近い町は2つ。


 1つは村の南東にある港町【ハーバー】。もう1つは村の西にある【ミッドストリーム】。


 どちらを次の目的地に設定するにしても期間はほとんど変わらない。だが、2人は澪が集めた情報から、【ミッドストリーム】へと向かうことにした。


 これは、その町から次はどの町へ向かうかを考えたところ、港町である【ハーバー】は当然海に面しているために目的地の選択肢が減ってしまうことから決めたことだ。


 それに加えて、現時点での最終目的を立て、それを達成するためにも必要だったというのが理由として挙げられる。


 その最終目的というのはこの国の都、ここは王政国家なのでいわゆる王都に向かうこと。そしてそこにある国で最も情報の集まる場所、王立図書館に向かうことだ。


 王立図書館に向かう理由は言うまでもなくこの世界に関する情報を集めるためである。その情報にはこの世界での常識も含まれる。


 「常識なら村人に聞いておけばよかったんじゃないか?」と思う人もいるだろうから、説明しておくと、常識を他人に聞いて回っている人は、どうしても怪しく不気味に見えてしまうのだ。実際、村にいる間も村人に不思議な顔を幾度となくされて、危うく不審者認定をされそうになったのだ。


 この世界に白斗は澪、澪は白斗しか頼れる人物がいないので、不審者に認定されてしまうことは命にかかわってくる。極端に言えば、「あなたは人間ですか?」みたいな誰でも知っている、当然の質問を投げかけることで命を失ってしまうような事態に陥らないために、常識的に関する疑問も最低限のみとし、基本的に図書館で知識を深めよういう結論に至ったのだ。


 といっても、王都は【フォレス村】からも【ミッドストリーム】からもまだまだ距離があり、その途中で嫌でも常識を身に着ける必要がでてくるだろうから、王立図書館に到着する頃には否が応でも常識が身についているだろう。


 そんなこんなで白斗と澪の両名は【ミッドストリーム】を目指して歩いている。


 ――【ミッドストリーム】はあまり大きな町ではない。人口も面積もそこそこだ。


 というのも、この町にはこれといった特徴がないのだ。


 目的地にも、どこかの町に行くための中継地点にもなることのないこの町では特にすることもないので、恐らく白斗たちもしばらく滞在して旅の疲れを癒したら、すぐにでも次の町へと向かうことになるだろう。


 何はともあれ、白斗と澪は目的地に向かって確実に歩みを進めていくのだった。

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