プロローグ1
初投稿となります読みにくいかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。
俺は深夜の峠路を愛車RZ350RRで疾走していた。
プロレーサーである従兄弟の忠彦さんから譲ってもらったカスタムチューンの逸品だ。
上半身をタンクの上に伏せ、長めの直線を全開でコーナーへと向かう。
アウト側より1ライン内側へコース取りし、伏せていた上体を起こすと風圧が上半身に掛かる。
後ろに引かれる体重を両膝と両踝だけでバイクにホールドし、同時に硬い感触のフロントブレーキをフルに掛ける。
フロントフォークがフルボトムし、ロック寸前の「ヒュヒュヒュ」というタイヤのスキッド音を感じる。
ステンメッシュブレーキホースとBT−003のおかげで限界ぎりぎりのブレーキコントロールができるのでコーナーリングスピードまでの減速に掛かる距離が短くすむ。
右コーナーへの突っ込みなので体重移動と共にハンドルを軽く左へ抉るとスパッと面白いようにバイクがバンクする。
腰をシートから右に半ケツ分落としハングオン気味でコーナリング、クリップ辺りから雑巾を絞るようにアクセルオン。
徐々にバイクが起き上がるので、姿勢を戻しながら体重を後ろへ移行しリアタイヤのグリップ力を上げる。
僅かにフロントタイヤが浮き上がりながらバイクはバンク状態から直立へ、フロントタイヤが接地したら、そこから全開再び次のコーナーへと突っ込んでいく。
走りと共にテンションも上がり、ムシャクシャした気分も薄れてゆく。
実は、今日俺は失恋した。街で好きだったあの娘を見かけた。一緒にいる男と腕組んで甘々な顔してやがった。
剰え人目も憚らずディ、ディ、ディープなあれをしてやがった。ヤローは既に女が3人もいるんだぞ!鮎川だろ、森口だろ、麻倉だろ。
好きだったのに、清楚な娘だと思っていたのに。しかも好みだった長めのボブにパーマをあててやがったんだ!
考え出したら怒りの上昇の変わりに走りのテンションと集中が下がってきた。
いかん集中!
と思ったその矢先、眼前の大光量ハロゲン光の照らす路面に何かが飛び込んできた。
「くっ!」
俺は反射的にフロントブレーキもリアブレーキも思いっきり掛けていた。
「しまった!」
ステンメッシュブレーキホースが仇になった。ブレーキ操作がダイレクトに影響する為、俗座に前後共にタイヤがロックして転倒し、崖の壁側へと滑ってゆく。
運の悪いことに壁際には電柱があった。しかも、横倒しのバイクが追撃をかけてくる。
電柱に背中から激突し、ごぎっという音を感じた。衝撃に視界が大きく振動する。その中に路面と擦れて火花を散らしながら、此方に同じく滑って来るバイクが見える。
その動きはとてもゆっくり感じ、視界いっぱいにバイクが写ったと同時にブラックアウトした。
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赤灯が回転している。
救急車と、少しはなれてパトカーがいる。
救急車の陰から路面に血が流れているのが見える。
それを俺は上から見ている。
ああ、これは死んだんだなと思った。
しょうがないか、いくら地元じゃ敵無しと言われても、電柱とバイクのサンドイッチが相手じゃあな。
そう思っていると何やら右足の底から淡い光を放つ紐が伸びている。
これは!前に何かの本で見たことがある。肉体と魂を繋ぐ魂の紐ってやつか?
紐を辿って見て行くと俺の体までまだ繋がっている。
もしかして俺はまだ生きている?
そう思って自分の体の方に行こうとすると、突然。
「こんばんは」
と声をかけられた。女の子の声だった。
「何奴!」
俺は飛び退り構えようとしたが、足が地に着いている訳ではないので、ゆっくりと声の方に振り返った。
「何奴って何時の時代の生まれよ?」
「家の一族はそんな感じなのがが多いのでつい…」
「変な一族ね…」
「それより君は誰なんだ?」
「私?見てわかんない?」
「どう見ても宙に浮く赤ライン入り純白セーラー服巨乳女子高生」
「ばかね、本体から抜け出ている魂の元にやってくる存在なんて決まっているでしょ」
「死神…か、しかしなぜ女子高生?」
「正しくは魂の調整者、ま死神でいいわ。あなた日本人でしょ、日本人は少し前は大抵ローブに白骨に大鎌のイメージだったんだけど、最近はいろんなイメージが出来ちゃってね、真っ黒いセーラー服にスカートの中から刀を出すようなのとかね。ま、元々刈り取る対象によってそれに合った姿をするようにしていた訳」
「じゃあ俺が持っている死神のイメージがその姿だとでも言うんですか?赤ライン入り純白セーラー服巨乳女子高生が俺の持つ死神のイメージだとでも?」
「あら、セーラー服巨乳女子高生嫌いなの?」
「いえ、好きです、すいません」
「ま、赤ライン入り純白セーラー服は自己主張なんだけど。そしてこれも、ね」
死神はそう言うとスカートから青龍偃月刀を出した。大鎌じゃないのも自己主張か。
そして一刀のもとに俺の魂の紐を切った。
「あーー、俺の魂の紐!!」
「さ、行くよ」
「なぜ僕の紐切ったの!やっぱり僕は死ぬの!どこへ行くの!僕をどうしようってのさ!」
パニックでちょっと幼児化してしまった。
「ごちゃごちゃ五月蠅い!あとで説明してあげるから」
死神は切られた魂の紐の端っこを持つと、俺の魂を引っ張って急上昇を始めた。
すごい勢いで加速し、対流圏、成層圏、中間圏と通過し、熱圏に投入する直前に紐を持っていない方の手で印のようなものを切る。
すると前方に光る楕円形の様なものが現れ、そこへ突入する。
突入した先は熱圏ではなく、光の奔流の中だった。
「これはまさかオー●ロード!?」
「そんな魂の通り道なんてないわよ、単なる次元トンネルよ。それに魂は通常、死が定着すると自動的に魂が切り離されて、回収専門の死神が回収し、直接中央管理センターへ持って行くの」
「次元トンネル?」
「そ、此処を通って別の次元に行くの」
「死神は別の次元にも行くのか?」
「人があらばどこにだって刈り取り・回収に行く、それが私達死神。考えても御覧なさいよ、魂の循環を管理・調整するのが私達の役目。でも地球上にどれだけ魂が増えていると思っているの。地球の中だけで魂の循環ができるわけないじゃない」
「人以外の犬とか猫とかの魂は?」
「そんなの対象外、ほっといても勝手に循環するわ。たまに人に飼われたのとかは外れる事もあるけど、僅かだし、時間がたてばほとんどは元の流れに戻るわ。どこかにしがみついたり、放浪したり、碌でもない事するのは人の魂だけよ」
「それに人といってもあなたの様な地球人を指し示す訳じゃなく、魂を持つ知的生命体を人として認識してちょうだい」
「たとえば宇宙人とかも人か?」
「宇宙人って貴方達がUFOとかって呼んでいる物に乗っている存在のこと?」
「ああ、ってゆうか地球上の生命体以外の存在かな?」
「たぶん、あなたの言う宇宙人の内、7割くらいが人かしら」
「そ、そうなんだ…(世界の真実を知ってしまった。)、さっき別の次元と言ったが、どんな次元に行くんだ?異世界とかってゆう奴か?」
「正解〜」
「その異世界とやらに行ってどうするんだ?なぜ俺が一緒に行くんだ」
「それは私が2級調整官で、調整のほうの仕事で貴方の魂が必要だからかな」
「何だよそれ、俺は死んで、俺の魂をその中央管理センターとやらにつれて行くだけなんじゃないのか!」
「死が定着すると魂が切り離されるんだろ。俺は繋がっている魂の紐を切られたんだぞ、繋がっているとゆう事はまだ死んでいないって事だろ。俺はお前に殺された事にならないのか?契約の為に俺の魂が必要ってことは、お前のやっている事は死神って言うより悪魔のすることじゃないのか!」
「2級調整官は死ぬ事が確定してる人の魂を死に到る前に魂の紐を切断する事が出来る。そして正当な理由があればその魂を別の用途に使用する事が出来る」
「死が確定してから定着するまで時間がかかる場合もあればすぐの場合もあるの。つまり事故が起きた時点で貴方は死ぬ事が確定していたの。だから紐は切れるし、切った時点で貴方は肉体も魂も死に到ってはいない。肉体はそのままにしておけば死が定着する。けれどもその場合、魂は中央管理センターに届けた時点で死が定着するの」
「おい!2級って」
「そろそろ出口ね」
死神は話を打ち切る様に言うと、前方に見えてきた光る楕円形に突入した。
楕円形を通過すると、どうやら目的の次元とやらに到着したようだ。つまり楕円形はゲートだな。
辺りは暗い、夜のようだ。俺が事故ったのも深夜。同じ時間軸なのだろうか?
地上に向かって降下していくと城が見えてきた。月明かりでもはっきりと判る。
月明かり?此処は月はあるのか?
探してみると、あった、しかも双子の月だ。
ああ、違う世界なんだと改めて思った。
さらに降下して城まで来ると、そのまま城の中へすり抜けて行く。死神と魂の俺ならすり抜けもできるか。
そのうち天蓋付きのベッドが部屋の中央に設置されている部屋に着いた。
ベッドには人が寝ているようだ。ベッドの周りにも数人の人影が見える。
ベッドの周りにいる人物の内1人のローブを着ている初老の男性が死神に向かって声を掛ける。
「お待ちしておりました、魂の導き手様」
魔剣姫なのにまだ姫が出てきていません(実はほんのちょっといる?)次は出ます。次回予定はまだわかりませんが出来れば気には留めておいて下さるとありがたいです。