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殺人鬼の証言。  作者: 木宮卓
証言:0
3/6

0.3

 楽しいわけではない。楽しくてやっていたわけじゃない。それをみんな分かってほしい。俺は快楽殺人では無い。心が乾くとか、右腕が疼くとか。そんなかっこつけた理由じゃない。俺はただ、なんとなく。何となくって、なんだろう。だからいつもその質問は困った。なんで殺すとか、何を考えて殺す、とか。そんなことを質問されても、答えられない。


『ロリヴァ。お前は今日からここで暮らす』


 そんなことは知っている。ここで暮らす以外の道はもう俺には残って居ないんだろ。そんなことは分かっているさ。そんな当たり前のことを質問して、何が楽しんだよ。俺の行動を覗っているのか。偉そうに。気に入らないなぁ。


『もう太陽の光は拝めないと思え』


 そうなのかよ。そうなのか。別に、太陽が好きってわけじゃなかった。でも、当たり前だった物が無くなるのは、なんだか違和感だな。初めて感じるよ。空気が無くなったみたいだ。

 俺は大した反応を見せない。つまらないだろうな。普通の殺人鬼はここで暴れたり、絶望したりするんだろうけど。俺は別になんだって良いや。人を殺せないのも、たいした問題じゃ無い。毎日一人殺さないとだめ。とか。そんなわけじゃないし。


 人を殺すのは、怖かった。血肉を抉る感触が、ずっと手に残るから。人を殺した後はいつも吐いていた。気持ちが悪い。俺は人の命を奪ってしまった。そんな罪悪感で、飯もまともに食えなかった。

 でも、眠れば治った。いつもそうだ。眠れば治る。瞼を閉じて、夢を見れば手にあった人の体温を奪う感触も、罪悪感も全部泣くなる。腹が減って飯をバクバク食べる。人を殺すっていうのはそれくらいのこと。殺した後は自分も死にたくなるけど、それだけ。風邪と一緒。


 だから俺は、動じない。



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