北の大地へ 1
スマートフォンって一度にコピー出来る文字数がガラケーと同じ(全角5000文字)なんですよね
ガラケーの時より一話の文字数が自然と増えたので地味に作業が面倒です
それと、今回の話の中に出てくる「ブンブン」といわれるゲームは某イケてる番組のブンブンと同じです
ー視点 栗鼠あかり
久々の外。実に素敵だ。
初めての飛行機なのか子供みたいにはしゃいでたのにしばらくすると夢の中なヒビキ。実に可愛い。
空港でバスに乗り換え窓から映る見渡す限りの広い広い自然。実に素敵だ。
初めての北海道の景色に子供みたいに目を輝かせていたのにしばらくすると夢の中なヒビキ。実に可愛い。
外に出てきてそんなに経っていないのにこんなに穏やかな気持ちになるなんて思っていなかった。こんなに微笑ましい気持ちになるなんて思っていなかった。
神様は人々をいつも見ていてくれる。見ているだけで何もしないがたまにこうしてテコ入れ(粋な計らい)をしてくれる。
きっとオレをここに居させたあの人は神様なんだろう。そう考えないと今ここにオレがいるという現象を起こしたのは神様じゃない特別な力を持った人間がいるということになる。それはあまりに怖い。
こんな事を言ってると変な人みたいに思われるかもしれない。が、あいにくオレは既に変な人だ。
……さて、細かくてつまらない事を考えるのはしばらくやめよう。せっかく外に出たんだからね。遊ぶことを考えないと。
まずは隣で寝ているカワイコちゃんを起こさないと……
ー視点 明治響
「おーいヒビキ」
誰かが俺の名を呼びながら身体を揺さぶってくる。
俺は反応しないことで『まだ寝させて!』を示した。
「……もう、起きてよ。暇なんだよぉ~」
……俺は眠いんです。寝かせて下さい。
「あ、可愛い女の子がいるぞ」
え?
「ど、どこっ?」
気になって目を開け辺りを見渡すと綺麗な黒髪の可愛い女の子がいた。しかもこっちを見ていた。
「おはよう、ヒビキ」
「あ……えと……おはよう?」
「やっと起きてくれたね。それじゃあ何して暇を潰す?」
「…………」
いまいち状況が理解できない。
起きたらすぐ横に可愛い女の子がいて『何して暇を潰す?』と聞いてきた。わけがわからない。
というか誰ですかこの子?
…………。
「……せっかく身体を起こしても頭がショートしちゃったら意味ないじゃん。もう忘れたの? オレはあかりだよ」
『あかり……?』
あかりちゃん……あかりちゃん……。確か栗鼠神社の巫女さんで……他になにか……。
「オレはあかり。そしてディザーリィだよ」
頭の中でしばらくポクポクと木魚が鳴った。
「あっ! ディザーリィ!」
「ようやくですか……」
「あはは、ごめんごめん」
「これから6日間これじゃ困るからね」
「う、うん。たぶんもう忘れないよ」
「頼みますよー?」
「期待はしないでね……」
そんな話をしながら俺はディ……ここではあかりちゃんか。あかりちゃんを見た。
確か夢の中では俺を鑑写しにしたような容姿で俺より背が小さい筈だったんだけど、今は髪が綺麗な黒髪にルビーのような紅い瞳に変わっている。なんだか不思議な感じだ。
「そうだヒビキ、頼み事があるんだけど聞いてくれるかな」
「うん、いいよ。俺に出来る事で許容出来る範囲でなら何でもしてあげる」
どこかしおらしいあかりちゃんに少し違和感を感じながら俺はそう答えた。
「ありがとう。……その、あれだ。気がついたり気が向いたらでいいんだ。オレを撮ってくれないかな」
「うん、まかせてよ」
「ありがとう、ヒビキ」
その後、次の目的地に着くまでずっとあかりちゃんを撮りまくっていた。あかりちゃんはぎこちない笑みを浮かべながらも頑張って良い写りになるように試行錯誤していた。
★ ★ ★
早い……早すぎる……。
目的地に着いたらちょっとバスから出てちょっと見て再び発進。
そんな感じで観光地を転々としているとバスの中にいる時間の方が長くなる。
バスの中でいかに時間を潰すか。……いや、せっかく観光に来ているんだから眺めでも見てろって言われたら何も言えないんだけど、とにかくどうやって過ごすかを考えていたところクラスの誰かがバスの椅子が回転できることを発見。
これにより隣の席の人とだけで暇を潰すのではなくみんなで何かして暇を潰せるようになった。
そんな訳で超人数しりとりや超人数ブンブン、そして別に椅子を回転しなくても出来るビンゴなどなどをして過ごしていたらあっという間に今日の予定は終わり、宿泊先のホテルに着いてしまった。
……凄いスピーディだった……。
バスを降りるとホテルのなんかビシッと決まった制服を着た人達が俺達生徒1人1人に『お疲れ様でした』『お疲れ様でした』とペコペコ頭を下げてきた。
頭を下げられても彼らの顔を見るには目線を上げなきゃいけないことに微妙な気持ちになりながらもちょっと得意気な気分になった。仕事とはいえ丁重に扱われるっていうのは結構良い気分になれるよね。
「「おお~!」」
俺達は部屋の電気を点けると驚きの声を上げた。
ちなみにホテルで泊まる俺のグループのメンバーは4人。俺に三島さん、藤矢さんにあかりちゃんの4人だ。
「ひろーい!」
「確かに広いわね。何畳くらいだろう……」
「うーん、この広さですと大体15畳以上はありますね」
15畳? 見た目で分かるけど俺の家のリビングくらいはある感じかな?
4人用にしては広すぎるのは言うまでもない。これなら8人でも問題ないかも。ベットも2人用が4つあるし。
「……あ、でも亜理彩ちゃんの家に比べたらこの部屋はあまり広くないのかもしれないわね」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。無駄に広いと移動が大変ですし飾り物をいっぱい置かないと殺風景になっちゃいますし」
「なるほど」
俺はとりあえず持ってきた荷物をわかりやすい所に置いて携帯を持ち、無意識に唯斗にメールを送った。
そういや今朝顔合わせて話してから一切喋ってないや……。
「……はぁ」
「ねぇヒビキ」
ちょっとため息をこぼしたところにあかりちゃんが話し掛けてきた。
「ん? どうしたの?」
「気のせいかもしれないんだけどさ、なーんかおかしいんだよね」
「……? なにが?」
もしかして唯斗と会えてなくてちょっと寂しがってるのバレてる?
「実はね、変な視線を感じて神経を澄ましてみたらね、飛んでいるんだよ、視線が、ヒビキに、ホテルの関係者らしき人達から」
「え? うん?」
あかりちゃんの話し方が少し特殊過ぎて一瞬じゃ何を言っているのかわからなかった。
「ヒビキ、なにかした?」
「……うーん。全然何もしてないハズなんだけど……。あかりちゃんの勘違いじゃない?」
「……んー。そだね、多分オレの勘違い。ごめんね」
「大丈夫、気にしてないよ」
ホテルの関係者が俺を見ていた?
……うーん、心当たりもないしあまり気にしない方がいいのかな?
「よし、じゃあご飯の時間になるまでみんなで大富豪でもする?」
「おお! 準備良いあかりちゃん!」
「……負けないように頑張ります!」
あかりちゃんがトランプを取り出しそう言うと、三島さんと藤矢さんはあかりちゃんにのそのそと近づいていった。
今更たけど女の子って女の子だけになると良い意味でのダラケモードに入るんだよね。
なんだか見ていて目が幸せになる。そんな可愛いダラケが見れる。
普段しっかりした女の子が少人数のお友達と同じ空間にいる際に見せる可愛い姿。これを見れる男は世界中探しても俺1人のハズ。
「ヒビキー、配り終わったよー」
「あ、はーい」
……あ、そういえばこの状況って美味しいのと同時に男1人に対し女の子3人というトンドモ空間なんじゃ……?
「あ、あわわわ……」
「ヒビキ?」
「響ちゃん?」
「明治さん?」
「……はっ。ご、ごめんごめん。手札整理するからちょっと待ってて」
さて、俺の手札の強さの程は……え、なにこれ……
3ひとつ4ふたつ5ひとつ7ふたつ8みっつ9ふたつ11ひとつジョーカーひとつ
うわぁ、糞弱いってレベルじゃねえ。この手札でジョーカーが入ってるのが輪を掛けて腹立たしい。8で革命しろって? もったいなさすぎるわ!
「良い手札には会えたかねヒビキくん?」
ディザーリィめ、分かってて言ってるな? ってディザーリィって読心術でも持ってるの!?
い、いや! そんなことない! 堂々としていれば表情を読まれてすくわれることなんてないんだ!
「ふふ、ヒビキくんはたいそう自信があるようだ。ではここで1つ賭けでもしてみないかい?」
「賭け?」
っていうかあかりちゃん、なんか喋り方変わってない? ちょっと棒読みのような気がするし。
「そうだ、オレが負けたらくすぐられる権利をあげよう」
「うっ」
こんな可愛い子をくすぐっていいって? うっ……惑わされちゃダメだ。それにこんな手札じゃ勝てるわけないし。
「おお、面白そう。じゃあ私も負けたらくすぐられる権利をあげるわ」
うっ……
「あ、じゃあ私も負けたらくすぐられる権利をあげますよ」
あああ! ダメだダメだダメだ! 欲望に忠実になる馬鹿はもう捨て去ったんだ! クール響はくすぐりくらいじゃ動じないんだっ!
「ミチビカレシモノヨ。イマコソタタカウトキダ」
導かれし者? つまり勇者か。
…………。
よし決めた! 俺、この賭けに乗るぜ!
俺明治響、女の子が賭けに出てるところを引くなんてだらしないマネは出来ねぇ! 手札が弱いのがなんだ! 逆境を好機に変えてこそ俺ってもんだろ!
「乗るよあかりちゃん」
「それでこそ」
「で、俺は何を賭ければいいんだ?」
「そうだねぇ、それじゃあ『要求したところを好きにできる権利』にしてもらおうかな」
え? なんか俺だけレート高くない?
……い、いや、逆境を好機に変えてこそだったな。よし!
「い、いいだろう。そのレートでいこう」
「「はぁ~♪」」
「…………♪」
あれからどうなったのかと言うと……
まぁ……負けた。
どう考えても無理でしょ! なんで乗ったんだ俺!
あかりちゃん曰わく勝負は三回連続で最富豪が最貧民から権利を貰うルールとのことで、運悪く俺は三回全部最貧民となり、他の皆さんは綺麗に一回ずつ最富豪になった。
『要求したところを好きにできる権利』は1人1つずつ行き渡り、俺は横にさせられて頭を三島さんの膝の上に乗せられ、無い胸にあかりちゃんの顔がうずめられ、股を藤矢さんの枕にされた。
……いま、とてもしあわせです。
これ、本当に罰ゲーム? 三島さんの膝枕を体験出来る神のような罰ゲームなんて聞いたことがないよ。
「響ちゃんの髪って不思議ねぇ。ふわふわなのにサラサラでさわり心地がとても良いわ」
「はぃ~♪」
「なんだか気持ち良さそうね。髪を触られるのか気持ち良いなんて可愛い」
手櫛で優しく髪を流されるこの感覚好き。
「ヒビキのにおい良いにおい~」
「わっ!? あかりちゃん、服の中まで入ってこないでよ!」
あかりちゃんは俺のYシャツのボタンを全部外すと下の服の中へ潜ってきた。
「……あぁ~ほんのり暖かい~良い心地~」
「ひゃっ!? ふ、服の中で喋んないてよぉ~!」
あかりちゃんの冷ための息はなにかと敏感な俺の肌には刺激が強かった。
「ふふふ~、それじゃあオレはしばらくこの良い香り漂う空間でゆったりとさせてもらうね」
「……うう~」
女の子に超密着されているのに胸の辺りでもぞもぞされているせいで気になって……
「(明治さん、確かにとても良いにおいです……。明治さんの下半身枕がこんなに心地良いなんてぇ……)」
……はっ!
そういえば今何時何分だ!?
俺はベットの近くに置いてあるデジタル時計を見て驚いた。
「み、みんな! 大変だ! もうすぐ7時だよ!」
「……ん~、7時だからどうしたの~?」
「ふぁ~……。ちょっとあかりちゃん! 服の中で喋んないでって!」
「そういえば7時は食堂で夕飯でしたね(うーん、もうちょっとこうしていたかったのに……)」
「確か全員揃ってから食事だったっけ。ずっとこうしていたいけどみんなに迷惑掛ける訳にはいかないわね……」
★ ★ ★
「……はぁ」
夕飯の内容はとても豪華だった。
おそらく北海道で出来たであろうチーズが使われてる海鮮ドリアは絶品だった。
ハンバーグもあったし厚切りタイプのポテトもあった。
デザートはゼリータイプのプリンではなくとろける方のプリンだった。
まるで俺を虜にでもしようとでもしているかのようなラインナップ。
まるで俺を喜ばせる為だけに選ばれたかのようなこの料理のラインナップ。
素敵ですこの旅館!
特にポテト! メニューの中にポテト! ほんとこれ大事!
よく分かってらっしゃるよホテルの人! 素敵です!
そんな俺の知ってる修学旅行の夕飯じゃない! を終え、俺達は部屋に戻ってきた。
「ごはんも食べたしそろそろお風呂にでも行こうかな。みんなはどっちに行く」
三島さんはそんな事を言った。
どっち、というのは俺達には大浴場と部屋の風呂の2つを選べるからだ。
もちろん俺は部屋の方にする。
当たり前だ。女の子達の集う大浴場なんかに行ける訳がない。
最初は行こうと思ったんだ。そりゃあ元男だもん。
でも、感じたんだ。嫌な予感を。何故かは分からないけど。
そして俺は予感を信じてクラスメイトの女体の神秘について調べる事は諦めておとなしく部屋の風呂を使う事に決めたんだ。
この選択は間違っていないはず。
「私は……部屋のを使います」
え? 藤矢さん?
「オレも部屋のを使うよ」
え? あかりちゃんまで?
「2人とも同じなのね。響ちゃんは?」
「えっ? あ、えっと……」
なんてこった……
みんな大浴場派だと思ってたのにまさかの部屋派だったなんて……
「へ、部屋ので……」
大丈夫……大浴場に比べれば湧き出る罪悪感は少ないはずだ……。
「よし、じゃあ私も部屋のお風呂を使うわ」
……ん? まてよ? 別々に入れば万事OKじゃない?
やばい! 俺天s
「じゃ、みんなで入っちゃいましょうか」
「わぁ、良いですね♪ ね、明治さん」
「……あー、あかりちゃんはどう思う?」
俺の事情を知ってるあかりちゃんなら助けてくれるはず……
「え? そうだねぇ。ちょっと恥ずかしいけどせっかくだしみんなで入るのも良いかもね」
えええええええ!?
「じゃ、行きましょうか」
話は順調? に進んでいき、何も出来ぬままみんなでお風呂というとんでもない展開になってしまった。
~少しして~
「おお~……」
「あ、あかりちゃん……そんなにまじまじと見られると恥ずかしいわ……」
「だ、だってオレの胸こんなんだし、珍しくて……」
浴室は結構広かった。それはもう4人なんて余裕で入れるくらいに。
……やっちゃった。女の子と入っちゃった、お風呂に……。
見ちゃいけない。見ちゃいけないのに見ちゃう。これが男のサガなんだね……。
ああ、みんな本当に綺麗だなぁ……。
「ヒビキ」
「わ、分かってるよ。みんなに背を向ければ良いんでしょ?」
あかりちゃんはディザーリィ。俺が男だって事を知っている数少ない存在。
そして俺はこの空間で目を開けている事を一番許せないであろう存在だ。
「違うよ。そこら辺はヒビキの好きにすればいい。なんならオレ見る?」
「え?」
そんな事を言われるとは思っていなかった。
背を向けながらもチラッと後ろを見ると、あかりちゃんは胸と大事なところを手で隠しながらもじもじしていた。
俺の心拍数は急激に上昇した。
「……お、俺の心を弄んだって……い、良いことなんてないぞっ?」
そんな俺の言葉を気にしないかのようにあかりちゃんは俺の隣へ来た。
「ちょ、あかりちゃん!?」
「ヒビキ、オレはこうやって人に近づきたかっただけなんだ。でもオレが真に親しく出来るのはヒビキだけ。……ね? お願い、こうさせていて」
「あかりちゃん……」
あかりちゃんの横顔は嬉しそうな寂しそうな、そんな表情をしていた。
楽観的にしているように見えていたけど、実は外に出れて本当に嬉しかったんだろう。
「いいよ。あかりちゃんさえ良ければ俺はいくらでも寄り代になってあげる」
「ありがとう、ヒビキ」
こちらを見てきたあかりちゃんの表情はとても可愛らしく愛らしく喜びに満ちたものだった。
こんな至近距離でそんな優しい笑みを見せられ恥ずかしくなった俺は下を向いた。
「……のわっ!?」
真下に広がるは2人の幼女の守られて然るべき幻の秘境。
自分のはともかくあかりちゃんのまで見えてしまい、俺は左を向いた。
「……あわわわっ!?」
左に広がるは三島さんと藤矢さんの泡にまみれた天の恵み。
年齢相応に豊かな乳房は俺の心を存分に弄んだ。
咄嗟に右を向くとあかりちゃんが笑みを返してきた。
「お、俺はどこを向けば……」
「目に毒なら真上を見るか目を瞑っちゃえば?」
「なるほど!」
あかりちゃんのアドバイス通り目を瞑り、俺はこの危機を乗り切るコトにした。
~数分後~
「…………」
「ヒビキ?」
「…………すぅ」
「あらら」
「響ちゃん、あかりちゃん、私達は洗い終わったから2人も洗っていいわよ」
「……ああー、それがヒビキったら寝ちゃって」
「……な、なんだか犯罪的です」
「確かに。ちょっとみんなで響ちゃんを眺めてましょうか」
「さんせ~」
「反対の余地がありません♪」
「「(おさわりし放題♪)」」
~更に数分後~
「…………きゅう」
「こ、これはやりすぎた」
「のぼせちゃったのでしょうか?」
「そのようね。なんというか、ごめんなさい響ちゃん……」
「……コウナッテハ仕方ナイ。責任ヲ持ッテ洗ッテアゲナイト」
「あ、あかりちゃん?」
「ソウデスネ、責任ハ大事デス」
「亜理彩ちゃんまで……」
「「サァ、三島サンモ責任ヲ」」
「………………響ちゃん……」
「…………きゅう~」
「ソウネ、責任ハ大事ヨネ!」
「「「フフフ、フフフフフ」」」




