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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
60/91

come back あの人


クリスマス間近なのでとばしますよ~!


書いてて思ったのですが、唯斗氏サイドだと自然と地の文が増えてるきがします

素直なせいかおバカなせいかあまり考えない響さんと違って唯斗氏の方が主人公としては扱いやすいのかもしれませんね



―明治家




学校も終わり、家に帰るといつも通り母さんがリビングにいた


「ただいまー」


「あら、おかえりなさぁい♪」


母さんは何やら忙しそうにしながらも上機嫌で返事を返してきた

俺はソファーに座って話を続けた


「なんだか機嫌良いね」


「そおかしらぁ?」


「それに凄く良いにおい……。今日って特別な日だっけ?」


「さぁねぇ? あ、そうだ響。ママの頼み事、聞いてくれるぅ?」


上機嫌な母さんの頼み事……。嫌な予感はしないし大丈夫だろう。取り合えず聞いてから決めよう


「内容による」


「ふふ、大丈夫よぉ。取り合えず博樹と七海を呼んで来てくれないかしらぁ」


「お安いご用だぜ」



俺は2人を連れてリビングに戻ってきた。すると母さんは俺の頭を撫でてきた

……恥ずかしいよ


「今から私はちょっと出掛けてくるわ。その間、あなたたちにはリビング(ここ)にいて欲しいのよ。いい?」


母さんの頼みに対し俺達3人の中で博樹は誰よりも先に質問で返した


「べつにいいけど、何処行ってくるの?」


博樹の質問はごもっとも

何かを買いに行くにしても料理はもう十分出来てるし、時刻は6時30分手前だ。わざわざ外に行く必要性なんてない

まぁ母さんの事情なんて知らないからあまりゴチャゴチャ言えないが……


「ふふ、気にしなぁい気にしなぁい。後でわかる事なんだものぉ♪ それじゃあ頼んだわよぉ~♪」


母さんはそのまま家を出ていってしまった


「「…………」」


……うむ! ここは最年長最身短の俺が仕切らなければなるまい!


「……取り合えずここでトランプかなにかしよっか」


「うん」

「はーい♪」


よし、元兄貴らしくしっかり兄貴しないとね


「ねぇ、お姉ちゃんだけ負けたら衣類を一枚ずつ脱いでいくっていうのはどうかな?」


……な、脱衣ゲーム!? つまり負けたら脱ぐっていうアレ!?

ふふふ……仕返しを込めて七海を脱がすためにお兄様久々に頑張っちゃおうかな~♪

……ん? なんか重大な事を咄嗟に忘れたような気がするけど……まぁいいか


「よしよしやろう! なぁ博樹!」


「え!? ……う、うん(まさか兄さんからOKが出るなんて……。……ラッキー♪)」




ぐぬぬ、なんてこった……。まさか咄嗟に忘れた事が恐ろしく超重要な事だったとは……

しかし年上が一度決めた事を曲げるなんて格好がつかない……

それにまだマフラーとブレザーと帽子とリボンと手袋と靴下を脱いだだけだ。余裕余裕!


「お姉ちゃん、次負けたらスカートね」


「え!? だってまだYシャツが……」


「だーめ。脱ぐ優先順位はYシャツよりスカートの方が上だって相場が決まってるの! その方が博樹お兄ちゃんも良いでしょ?」


「ん、うーん……。確かに良いかも……?」


「ぬぅぅ……」


疑問系にするならせめてフォロー入れてくれよぉ


「(というか兄さん。家族の前とはいえ胡座をかくのはまずいよ。……見えてるし。まぁもったいないから指摘しないけど……)」


「……うーん。じゃあ次からは私も博樹お兄ちゃんも負けたら脱ぐって事にするから~」


なんだと!?

よっしゃ乗った!!


「し、仕方ないなぁ。そこまで言うなら俺も腹を割るよ」


「(流石はお姉ちゃん。対等になると簡単に乗ってくれた♪ だけど勝つのは私よ。そしてお姉ちゃんのYシャツワンピを拝むの! ふふふ♪)」


「(なんというか……。僕も見てみたいし今回は七海と手を結ばせてもらおう……。ごめんなさい兄さん!)」


よしよし……なんだかツキが回ってきたような気がするぞ! 七海も博樹もひっぺがしてやろう! ははははははは!



「やったぁ♪」


「な、なぜだ……」


大富豪初戦にて俺はあっさり負けてしまった

くそう、引きは良かったのに3枚以上揃っている奴と階段コンボが無くて全然出せなかった……


「ごめん、兄さん……。大富豪を制すのは頭じゃなくて結局はチーム戦法なんだ……」


ま、まさか2人はグルだったのか!? ……くそーーーっ!!


「さぁお姉ちゃん。お披露目の時間ですよ♪」


ぐぬぬ……


「ごめんね兄さん……」


博樹よーい……。七海よーい……。堪忍してくれよーい……


「お姉ちゃん♪」


…………。


くそう、腹を割ると言ったのは俺だ。物凄く恥ずかしいが仕方無い……


俺はしぶしぶスカートの腰の部分を掴んだ


「(流石はお姉ちゃん。焦らすの上手いなぁ……。あと少し、あと少し……!)」


「たっだいまぁ♪」


……!?

まさか母さん!?


「あーあ、残念。お母さん帰って来ちゃったね」


助かった……のか?


「(兄さんが助かったのは良い事なんだろうけど、なんだろう? この惜しい気持ちは……)」


助かったみたいだ……

ああ、母さんをこんなに素敵な人だと思ったのは久々かもしれない……

それにしてもなんだ?

足音が多い。母さん以外に誰か来ている


そんな事を考えている内に母さんとそのもう1人の人はリビングに入ってきた

俺はその人が誰だかすぐに分かった


「ただいま」


「「あっ……」」


その人の後ろにいる母さんはいつも以上ににこやかでイタズラっぽい表情を浮かべていた

俺は色んな意味でどういう反応をしたらいいか解らなくてその場で立ち尽くしてしまった


そんな中で最初に口を開いたのは博樹だった


「お、お父さん……?」


「ああ、大きくなったな。博樹」


そして博樹に続くように七海も口を開いた


「パパ……?」


「七海も大きくなったな。もうそろそろ中学生だったかな?」


2人は我慢出来なくなったのかその人の元へ駆け寄り、抱き付いた


「「お父さん(パパ)!」」


3人の中で一番その人と関わりがあるのは俺。誰よりも2人のようにしたいのも俺

だけど俺は動けずにいた

しまいには下を向き声を出さずに情けなくも涙だけを流していた


「響?」


母さんの不思議そうな声が聞こえた

俺はどうしようか迷いに迷った

そして袖で涙を拭い、若干ぐずりながらも他人のフリをするべく挨拶した


「こんにちは。私、七海ちゃんの友達のアリスって言います」


「ああ、どうもこんにちは」


その人……お父さんは笑顔で挨拶を返してくれた。俺は泣き出しそうだった

どうして逃げたのか、どうして逃げたのか……。そんなもの決まっている。こんな姿になって『あなたのベイビー3兄妹の長男ですよ』なんて言えない


「な、なんか私、お邪魔っぽいので退散しますね。さ、さようならっ」


そして俺は家を飛び出した




視点 森長唯斗

―森長家



7時を若干過ぎた時間

適当に何かを作って食べようかと思っていた矢先にインターホンが鳴った

玄関のドアを開けてみると、そこには斜め下を向いて決して目を合わせようとしない響がいた

何かしちゃったのかな、でもそんな響もいいもんだな……なんて思ったが、既に泣いているところを見る限り俺のせいではないだろう。たぶん

……ふふふ、泣いているのを隠そうとしてこっちを見ない響。……やべぇ


何かを話そうとしながらも結局喉元あたりで止める響に優しく『入れよ』といって家に上げ、リビングまで連れてきた

ちなみに優しく手を引っ張ってきた

こういう然り気無……くもないがスキンシップで安心感を与えるのも彼氏の役目だ


「取り合えずココア飲むか?」


響は黙ってコクりと頷いた


ぬふー! 無口系白銀っ娘とは響も解ってるなぁ~♪ もうマイサンがバーニゲストファイアーしそうな感じだじぇ~!

っとと、彼女が困ってるってのに馬鹿な事を考えてちゃいかんだろ

いや、馬鹿どころか糞真面目な事だけどさ


若干猫舌の響の為のそこそこの熱さのココアを作り、それを響に渡した


「まだ熱いかもしれないから気を付けろよ?」


「……うん」


響がココアを飲む為に顔を上げる瞬間を俺は見逃さなかった

頬に涙の線の跡らしきもの、若干赤い顔、微妙に赤い目……。今はともかく確実に泣いていたなこれは


俺は取り合えず響を宥めながら事情を聞き出すことにした



あの家で響が泣く事と言ったら美代さん達のイタズラが余程だったって事か博樹がまたグレたって事か七海ちゃんに彼氏が出来たって事くらいだろう。適当に気持ちを吐き出せば元気になるだろう。そう考えていた。しかし俺はその考えがあまりにも失礼で甘い事だと解った


響の父親が帰ってきた。それも長年ロシアかどっかに滞在していたっていう父親がだ

ここに来て響は姿が性別ごとまるまる変わった事に重い気持ちを抱くハメになったのだ

話を聞く途中、宥めるどころか本格的に泣き出されてしまった時には焦った


親父さんは悪くない。響も悪くない。だけど意味も訳も解らずに女の子にされて傷付くだなんて、響が可哀想じゃないか……


「取り合えず今日は泊まってけ」


「……え?」


俺がそう言うと響は少し驚いたような顔をした。そんでもって俺のその言葉を待っていたような嬉しそうな笑みをその驚きの表情の中に浮かべていた

可愛いやつめ


「これから美味しいもん作ってやるから期待して待っててくれよ。今日は予定変更で森長スペシャルだ!」


そう言うと響は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま優しい笑顔を浮かべた

その笑顔からは、いつもの可愛さではなくとても強い美しさを感じた


正直もう腹ペコでカップ麺でもカップヤキソバでも菓子でもなんでも食べたい気分だったが、ここは愛する響の為にグッと我慢

美味しい食べ物は幸せを運ぶ。響にはたっぷり幸せを味合わせてやらないとな!




夕飯を食べ終えた頃には響はだいぶ元気を取り戻していた

調子に乗って風呂に誘うとあっさり承諾され焦ったが、一緒に入って見れば案外大丈夫だった。何が大丈夫かって? 理性だよ理性

流石に洗いっこなんてことはしなかったが同じ湯船に入って頭を撫でるくらいはした

もうね、可愛かったよ


風呂を出てからは一緒にテレビを見たりスピード(トランプ)をしたりマリパしたりマリカしたりFPSゲーで2画面に挑戦したりと色々やって過ごした

響が寝落ちしたのを確認すると俺は響を抱き抱えて部屋に運び、ベッドに寝かせて俺は床で寝る事にした


……こりゃ風邪引くかな

でも良いことして風邪引くなら全然OKだな。いわゆる誇り風邪ってやつ

それに響が寝相が悪かったら俺のところに落ちてきて……うむ! 床で寝んのも悪くないぞ! むしろ最高だ!


馬鹿な事考えてないで寝よう。おやすみ、響……





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