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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
58/91

たまにはこんな休日

雨の日には決して油断してはいけません

作者のように愛用の書き込み(ガラケー)が俳句を詠む羽目に合ってしまいます…

そんな訳で久々のログイン&PC投稿です




明治家(リビング)

―午前9時50分過ぎ

―視点 明治響




休日の過ごし方は人それぞれ色々多種多様

ゲームしたりバイトしたり外出したり友達と遊んだり。気になる誰かさんとデ、デートしたり……

あいにく唯斗はバイトで今日は色々と都合が合わないわけだが、そのかわりに俺は素晴らしくとんでもないイベントを建ててしまった


実は藤矢さんの家にお呼ばれしちゃったのだ!


元男の俺が女の子の家にお呼ばれされて緊張しないのかと言ったらしなくもない。いや、やっぱり凄く緊張している

約束した今週の火曜日から4日4晩、女の子の家での立ち振舞いとかネタ話とかを考えたり、俺なりのガールズトークをあまり無い脳みそからひり出したりした


幼稚園や小学校低学年の時は同級生の女の子の家に行く事になんかこう変なモヤモヤは感じなかったが今は違う。感じまくりだ。まぁ仕方ないよね


とにかく女の子の家に行くそれなりの準備はしてあるつもり……なんだけど、ちょっと不安だなぁ


ピンポーン


つ、ついにお迎えのお車様がお来きになさりございましたぞ…… 


「は~いただいまぁ~」


速やかに迅速に、お迎えさんを待たせてはいけない! 財閥の使者を怒らせたら有無を言わさず極刑を喰らっちゃう! ……たぶん


ガチャ


玄関のドアを開けるとそこには大人なスーツをシャキッと着ているなんかヤバそうなお兄さんがいた


「え、えっと……どちら様で?」


「失礼します。明治響様で御座いますね? 私は藤矢様の専属の使用人です」


「あ、もしかしてこの前の……」


俺がそう言うとスーツの人は申し訳なさそうな表情をしてくれた


「先日のご無礼は誠に申し訳御座いませんでした……」


「わわっ、いいんですよっ。発育不足なのは自覚してますから、初対面じゃあ勘違いしてもおかしくありませんよっ?」


あちゃ~、ちょっと変なフォローだったかなぁ


「そう言って頂けると助かります。本題に移りますが、ご準備は整っていますか? まだでしたら私はあちらの車両にて明治様をお待ちしますので」


「あっ、すぐ行きます」


「でしたらここで待っています」



それから荷物を持って玄関に戻り、スーツの人の後を着いて行くとお迎えの車(黒リムジン)に乗せられ内心震えながら縮こまっているといつの間にか寝てしまっていた





―コピビル

―午前10時20分頃



まだ夢うつつな俺の目を醒まさせるには十分なものが目の前に存在した。それはコピビルである

コピビルは20階はある中規模なビルなのだが、周りはマンションや小ビルしかない為この辺りでは結構目立つ建物だ

そしてスーツの人によるとこのコピビルは藤矢さんの……藤矢財閥の所有物件らしい。そういえば藤矢と言ったらコピちゃんっていうマスコットキャラクターがいたっけ。なるほど


ちなみにこの辺りは俺の住んでるマイハウス地帯とは異なりマンション地帯で人口密度が高く商業もそれなりに盛んだ


「少々お待ちを」


スーツの人はビルの入口のなんかこう、番号を押すセキュリティ的な機械に番号を打っていた


「では、どうぞ」



開いた入口から入り、スーツの人の後を着いてエレベーターで結構上まで上がり、ちょっと歩いているとついにスーツの人が止まった


「お疲れ様でした。こちらの部屋になります」


「あ、ありがとうございます」


「いえいえ。女性の間に入る事は出来ないので私はこれで失礼します。どうぞごゆっくり」


スーツの人はピシッとお辞儀をしたらそのまま何処かへ行ってしまった


「…………」


とりあえずインターホンかな……



数分後、インターホンが見つからずにドアの前でモタモタしていた俺の前にさっきのスーツの人が慌てたように走ってやってきた

なんでも藤矢さんの部屋は特殊で指定のリモコンでないとインターホンの機能は使えないらしい


「こちらのリモコンをお渡しします。それでは……」


スーツの人は申し訳なさそうにお辞儀すると、来たときと同じように走っていった


忙しい身なのかな?

とりあえずこのボタンが1つしかないリモコンを使ってみよう。カチっとな


……よし、ドアが開く前にとりあえず身だしなみを整えよう


そして俺が身だしなみを整え始めて少しもしない内にドアは開いた


そこには学校での優しい美しさと可愛らしさを合わせた藤矢さんではなく、なんだがキラキラした素敵で可愛いお嬢様がいた


「いらっしゃい、明治さん」


「…………」


「……? どうかしました? あっ、挨拶がまだでしたね。こんにちは、明治さん♪」


「…………」


「……え、えと、本日はわざわざ出向いて下さりありがとうございます♪」


「…………」


「……明治さん?」


「…………」


「おーい、明治さーん」


「……はっ、お、俺は一体……?」


頭の回転が元に戻ってくると同時に記憶も返ってきた


藤矢さんに一方的に挨拶させるなんて……お、俺はなんて事を……




「明治さん、今日はわざわざ来てくれてありがとう」


俺は今、素敵な眺めの藤矢さんの部屋のソファに挙動不審になって腰掛けてる

向かいのソファには藤矢さんが座っていて、この部屋の雰囲気がもっと事務的なものだったらまるで面接の会場だ


「……あ、えと……ご、ごめんなさい……」


「どうしたんですか?」


うぅ、学校での雰囲気とはうって変わって本物のお嬢様だよ……。いや、立ち振舞いとかは学校とあまり変わってないけど、あそこと違って今は凄くサマになってて……。ど、どう接すればいいんだろう……? そういえば学校ではどう接していたんだろう……?


と、とりあえず藤矢さんが用意してくれたミルクティーで気を落ち着けよう


「ず、ずずずずず」


「(カップを両手を使って持つなんて、やっぱり明治さんは可愛いなぁ)」


あわわ、緑茶と同じ飲み方になっちゃってるよ……

というかミルクティーってどうやって飲むの?

やっぱり同じティーだから啜っても大丈夫……なのかな?

くそう、俺よ! フランス人になれ!

それはそうと、結構美味しいねミルクティー


「どうですか? それ、私が淹れたんですよ」


なるほど、美味しい訳だ


「ずず、……んく、とっても美味しいね。俺、実はミルクティーなんて初めて飲んだけど、藤矢さんのお陰でこれからは飲めそうだよ」


「本当ですかっ? 嬉しいです♪ (これはアレですね。私は明治さんにミルクティーを初めて飲ませたという偉業を成し遂げた人物として未来永劫語り継がれるのですね。素敵です……)」


ああ、なんだろう? お茶出されて具合聞かれて良いですよって答えるこれ。ガールズトークって言うよりお嬢様トークじゃね?

まずい、藤矢さんのお嬢様ムードに流されてる。今度は俺が押さないと! 何か話題を……そうだ!


「そういえば藤矢さんってなんで学校ではカツラなの?」


「カツラ……。ああ、アレですね。私の髪の色、こんなじゃないですか。こちら(日本)の方々にはこういう色の髪は色々と良くないと思ったものでして……。あっ、もう少し暗めのカツラにすれば良かったですか?」


「ううん、藤矢さんは今まで通りで良いと思うよ」


へぇ、目に悪い髪の色かぁ。…………。俺にはあなた程気配りの出来る人間じゃあなかったよ……


「なんだか藤矢さん、前より日本語上手くなったよね」


怒涛の押し。ガールズトークとは話題から話題へ、途切れる事のないおしゃべりを指すものなのだ! と母さんの長電話を見てきた俺はそう悟っていた


「ホントですか? 上手く話せてるか不安だったんですよ~(あれ? そういえば明治さんも帰国子女だったような……。でも明治さんと他の人の会話は変な突っ掛かりは無かったし、その明治さんが上手くなったって言っているなら上手くなってるのかな?)」


凄いよね、ずっと外国語を話してたのにここ数ヵ月でだいぶ上手くなってるって。いや、帰国子女を名乗っていながら日本語をベラベラ話す俺がおかしいのか




こうしておしゃべりしたり女性の使用人さんを呼んでカードゲームやボードゲーム、時にはビリヤードなんてお洒落なゲームをしたりして時間は過ぎていき、あっという間に夕方になった。ちなみに昼食は藤矢さんの専属のシェフのなんか長い名前の料理をご馳走になった。舌が肥えそうだ




「……あっ、もうこんな時間ですね」


12月に入ったせいか5時頃にはもう空はだいぶ暗くなってしまっていた

もうちょっと居たいけどそろそろ撤収しないと迷惑だよね


「じゃあそろそろ……」


「待って下さいっ!」


「……?」


「あ、あのっ、今日はここに……と、泊まっていきませんか?」


えっ!? お、おとおとおとととと、お泊まり!? 藤矢さんの、女の子の家に!?


「む、無理だよ。迷惑掛けちゃうもん」


「そんな事言わないでっ! 大丈夫です! だから」


「で、でも藤矢さんの親に……」


「ここにお父さんとお母さんはいません。だから大丈夫です!」


え? 藤矢さんって両親とは別居なの?


「……うーん」


でもやっぱり無理だよ。俺には年頃の女の子の家に泊まる勇気が無いよ……

だけどこれは女の子として女の子に接する力を付けるまたとないチャンス。うぬぬぅ……


「おねがいです、明治さん……」


うぐぐぐぐ……。ぬぅぅぅぅ……。むぅぅぅぅ……


「と、とりあえず母さんに連絡させて……」


「本当ですか!? ……えへへ、グレイトです♪」


ここまで頼まれて断るのは流石にアレだ。とりあえず母さんに連絡してみよう。これなら後腐れない


俺は携帯を取りだし、母さんへ電話を掛けた


「…………」


『……あらぁ響ぃ? わざわざ電話だなんてどうしたのぉ? まさか唯斗君とどっかのホテルで泊まっちゃうかんじぃ? ふふふ♪』


「う~ん、まぁそんな感じ」


『えっ!? そ、そんなまさか!? あのヘタレの唯斗君が!? だ、ダメよ響! あなた達にはまだ早いわっ!』


やっぱりダメなパターンかなこれって


「違う違う、お友達の家に泊まるんだ」


『……な、なんだぁ、もう、ビックリしたじゃない。それでそのお友達は? 男の子? 女の子?』


「……お、女の子」


『やるじゃない響ぃ♪ あ、でもイケナイコトしちゃダメよぉ? 響には唯斗君がいるんだからぁ♪』


あれ? よくわかんないけど脱線してる?


「そ、それでさ、泊まってきていい……かな?」


『おっけーよぉ♪ 折角の女友達なんだから怒らせちゃあダメよぉ? それと、ちゃんと明日の夕方までには帰ってくること。じゃないとママ寂しくて響のデザート食べちゃうからぁ。それじゃあねぇ』


「あ、ちょっと待って! 勝手にマスド食べない……」


『ツー、ツー、ツー』


「……ぐぬぬぬぬ」


「ど、どうでした? (なんか、可愛い……。新しい明治さんを知れた気がします。はぅぅぅ)」


「だ、大丈夫だって」


「そ、それじゃあ泊まっていけるんですね?」


「うん」


「わぁ~♪ ありがとうございます♪」


藤矢さんが嬉しそうに俺を見つめてきた。俺は少し照れながら片手を頭の後ろへやった



藤矢さんの家に泊まる事が決まった時、心配と焦りがごちゃ混ぜになりながらもその奥ら辺に喜びを感じた。きっと俺はまだ心まで女の子になった訳ではないのだろう。だって一人称はちゃんと『俺』だし、女の子の家に泊まる事に喜びを感じているんだもの


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