表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
57/91

体育祭(後編)


最近上やら下やらに現れる広告がどう見てもアレ(Rー18)な漫画のひとコマなんですが……

この物語は一応Rー15なんですがねぇ、おかしいですねぇ(棒)




午後の競技も半分切ったところ、気が付けば俺は自分の競技がくるギリギリまでチアを一緒にやらさ……やらせてもらっていた


……それにしても、チアって……応援って大変なんだな……。散々脚とか腕とかブンブン振り回すから疲れちゃったよ

案外、男性より女性の方が体力とか気力とか根性とか凄いのかもね


「はぁ……はぁ……。次の競技は……あっ!」


「響ちゃん、そろそろ行かないとヤバくない?」


い、言われなくてもわかってるよ三島さんっ

それより……


「どうしよう! 着替えてたら間に合わないよ!」


「確かに……」


「そのまま出ちゃえばいいのではないでしょうか?」


な、何を言ってるの藤矢さん。このまま出て良い訳が……


「それよ! 流石は亜理彩ちゃん。さぁ響ちゃん、ダッシュよ!」


ううう、着替えてたら間に合わないんだ。もうそれしかない!


「ありがとうっ!」


応援の後で正直疲れてるけど弱音なんて吐いてられない


「響ちゃん! 見えてる見えてる!(おお神よ……)」

「目福眼福です……」


俺は全力で入場門まで走っていった



門まで行くと係の人がかなり慌てた様子で俺の方へやってきた


「明治さん! かなりロスしてますよ!」


おかんむりみたい……

でもまぁ頑張って走ってよかった


「ささ、早くあなたの列に入って下さい」



今回の競技は女子100mハードル

40cmほどの高さのあるハードルをポンポン跳んでいくだけの競技だ

たかが40、されど40。というか今の俺に40はなかなかの驚異だ。たかがされどのレベルじゃない

男子は50cmな訳だが、元の俺だったらそこまで苦じゃなかった

しかしなんだこれは! 今の俺じゃギリギリなんてもんじゃないぞ!


『さぁていよいよまだまだ可憐な乙女達がくんずほぐなんたらで40cmのハードルをぴょんぴょん跳び跳ねる女子ハードル2学年の部が始まりますよ! 実態はまるで世紀末のような女子達が1位を求めて全力で跳ぶ様、私か弱い女の子をしてハードルをバンバン倒して走る様、見たくはありませんか!?』


実況(高橋)の的を射たようなアナウンスに四方八方から女子から『まだまだって何よ!』『世紀末って何よ!』等のブーイングが飛び交った


『……えー、一部のまったく可憐ではない世紀末少女は放っておいてちゃちゃっと始めちゃいましょう。係さーん、OKですかー? ……OKみたいですね。それでは。よーい……ドン!』


実況というかもはや仕切り役の高橋の掛け声と鉄炮? 係の人の合図で競技の第1レースは始まった

ついでに俺は第2レース。つまりこの次だ


「響ちゃん」


「ん?」


後ろにいた同じクラスの子が話し掛けてきた


「あのね、とっても言いにくい事なんだけど、一応言っておくね」


「……? うん」


「この競技だとパンツ、見えちゃうよ?」


へ〜、それは素晴らしい話じゃないか。……誰の?


「…………あっ!」


しまったぁ〜……っ!

俺はあのハードルを跳ぶために1つ1つのハードルを大きく跳ばなきゃいけない。でもそんな事したらただでさえ短いこのチア用スカートが……


「ど、どうしよう……」


「……やっぱり倒してくとか?」


う〜ん、やっぱりそうなちゃうよね……

でも母さん達が来てる以上みっともないマネは出来ない。まぁパンツ晒しもある意味みっともないマネだけど……


『さぁて次は第2走者の皆さんに場を盛り上げてもらいましょう! 準備は良いですかー?』


うん、もう覚悟を決めよう! さだめとあらば心を決める! これ大事!


「響ちゃん……」


「大丈夫、俺はやるよ」


「頑張ってね……。私も応援するから(同情半分歓喜半分。仕方ないよね。誰だって見たいよね。歓喜しちゃうよね)」


女の子にそんな事言われちゃったらもう諦めるなんて言えないな


俺は立ち上がって指定の位置についた


『準備も整ったところで始めちゃいましょう! それじゃ、位置について……よーい……ドン!』


ぱん


ぬおおおおお!!


「「うおおおおおお!?」」


み、見られてる?

いや、今は恥じらいなど捨て去れ!

勝つことだけを考えるんだ

よしよし、順位も注目度もぶっちぎりの1位

正直後者は要らないけど見るな注目するなと言う方が無理だよね

頑張れ俺っ! 嬉しくないパンチラにする為に恥じらいなど全て捨てるんだ!


無理。恥ずかしい……


「……ん……ぁ! し………ちゃ……す……!」

「「おおおおお!!」」


ああ、何言ってるか聞き取れないけど何言ってるかは解るよ……

だってバシャバシャとシャッター音がするんだもん……


だがそれも終わり! もうすぐゴールだ!


『普通は一番跳びにくそうな明治さん! 恥じらいながらもそれに負けない気合いで他の女子を圧倒! まもなくゴールです!』


輝いてる! 俺、久々に輝いてるぅ〜♪


ぱんっ!


『ゴールです! 1位は2年E組の明治さん! 見事は走りっぷり跳びっぷり見せっぷりでした!』




退場門を抜けると、そこには高橋を除いたみんながいた


「おつかれー!」

「さっすが響ちゃんだな!」

「お疲れ様、響ちゃん」

「恥じらいながらもやり遂げようとする明治さんの意思、凄かったです」

「お疲れ、響。1位おめでとう」

「「あいらぶゅーーーっ!!」」


「み、みんな……」


違うクラスの奴もいるけど気にしない。だって嬉しいんだもん


「じゃ、私達は応援があるから急ぐね。これからは響ちゃんがいない分厳しくなるかもしれないけど、響ちゃんは元々ゲスト的存在だったしね。ゆっくり休んでね」


「うん、ちょっと休憩するよ。わざわざありがとう」


「あああ、あのっ……行ってきますね」


「うん、行ってらっしゃい」


三島さんと藤矢さんは手を振りながら応援団の方へ走っていった


「響」


「ん? どうしたの唯……ってうわっ」


声のする方へ向いたら唯斗はずかずかと俺の目の前までやってきた

いつもは屈んだりしゃがんだりしてくれてるのに慣れているせいか凄い迫力を感じる


「ど、どうしたの唯斗?」


「どうしたもこうしたもあるかっ!」


「ふぇっ?」


お、怒った!?

あの唯斗が怒った!?


ただならぬ唯斗の雰囲気に俺も藤崎もアキタも他の人達もそわそわしだした


「…………。……最高だ」


「え?」


「本来チアで黒パンなんて拝めない。何故ならどの女子も白い見せパンを履いてくるからだ。しかし響は違った。ビッチでも見せたがりでもナルシストでもない。普通かつ自然、見えてる事に気付かないのかありのまま。そんな天然チラリズムが俺の心に最高に響いた」


「「(う、うわぁ……。気持ちはわかるがなげえしキメェ……)」」


「よくわかんないけど、唯斗がそれで良いのなら……」


えへへ、ホントによくわかんないけど誉められちゃった♪


「「(ええええええ!? もう響ちゃんの天然はただの天然のレベルとは違うというのか!?)」」


「よしよし、良い子だ」


「……〜♪ はっ! お、俺を子供みたいに扱うなっ!」


「「(可愛い……。というか森長(唯斗氏)てめえ!)」」


「おおっと、こんな所でイチャイチャしてたら可哀想なチェリー共のきったねぇ嫉妬で響が汚れちまうな。清き天使を愛すのはこの体育祭が終わってからにしよう、うん」


「何を言うかユイトス! おまいだってチェリーだろが! この甲斐性無しのヘタレ○○○!」


「「ソーダソーダ!」」


「うぐっ……。陸手の野郎、痛いところを突いてきやがる……」


「唯斗?」


「だ、大丈夫だ響……。お前のお大事さんはいつか必ず俺が愛でてやるから……」


「ヘタレ!」


「ぐほぁ!」


なんだかよく解らないけど、唯斗はアキタと藤崎とそれに続くアホ共に精神的な攻撃を受けてるみたいだ。取り合えず助けないと


「ゆ、唯斗」


「響……」


「無理しなくたって、良いんだよ?」


「…………!!!」


バタン


「え?」


唯斗はそのまま崩れ落ちてしまった

な、なんで!?


「「(…………。響ちゃんの天然は時には鋭く尖って傷つけるのか……。なんつーか、すまんかった)」」




体育祭最後の競技も終わり、当然の流れのように閉会式が行われた

校長は最後の方に話すとして、来賓やら何やらの微妙に長い話も終わり、やっと結果発表が始まる


『さて、今年の体育祭も例年通りエリート校として恥のない素晴らしいものとなった。誰もが本気で挑み誰もが力の限り仲間を応援していた』


うんうん、中学までのどこかだらだらした感じも良いけどやっぱりやるなら本気が一番だよね。実際凄かった


『前置きはここまで。それじゃあドーンと発表したいと思う』


午後からはポイント表が見えなくなるからどの組が優勢か解らない

点数に関しては全部先生側がやるからどの組が優勝したかも外部に漏れない

つまりみんなここで初めて結果を知らさせる訳だ


『それでは第1位……C組!』


「「うおおおお!」」

「「キャアアアア!」」

「「ヤッタアアアア!」」


D組を挟んだ向こう側で拍手喝采歓喜の嵐が吹き荒れた

ぬぬ、シャーペンは逃したがまだZuoカードがある!


『では第2位……B組!』


今度はD組C組を挟んだ向こう側で拍手喝采歓喜の嵐


ふふふ、私はノートなんぞ要らないのだよ。取り合えずB組の諸君にはZuoカードを提供してくれて感謝してるよ


『後はE組、A組、D組の順だ。この体育祭では優勝出来なかったかもしれないが文化祭でもなにかしらの競い合いはさせるつもりだからその時頑張ってくれ。それと景品は帰りのHRに渡すからこのまま帰ったりしないように』





―2年E組教室



「今回は残念だったな。だが武田先生が言った通り文化祭でもなにかしらの競い合いがあるからあんまし落ち込まなくてもいいぞ。その時には俺達が優勝してるかもしれないからな」


ありゃ、微妙に喜んでるのって俺だけ? みんなは落ち込んでるのかな?


「さぁて、今日はみんな疲れてるだろうしさっさと切り上げようか。くれぐれもそんな疲れた体で打ち上げなんてすんなよ? 土日があるんだから打ち上げなら明日か明後日にな。以上!」


「ぎりーづ、ぢゃぐぜーぎ」

「「さよーな……え?」」


「おいおい高橋、どうしたんだ?」


「ずみまぜん先生。喉やられぢゃっで」


「ずっと実況してたもんな、それに疲れてるみたいだな。それじゃあ解散。帰っていいぞ〜」


ありゃ〜、まぁあんだけ熱く実況してればね。それにしてもなんだか今日は久々に高橋が盛り上げ役として活躍してた気がするよ


「響、帰ろうか」


「うん」


お大事に、高橋




ー居住区

ー午後5時頃




「今日は残念だったな」


「え? なんで?」


「なんでってそりゃあ3位だったからさ」


「ああ、そういうことね。別にいいんだ」


「なぜに?」


俺は懐からZuoカードを取り出した


「それZuoカじゃん」


「そう! しかも1000円分!」


「響んとこ時給クソ良いんだから別に1000円なんてはした金じゃん」


まぁ確かに時給1500円という馬鹿価格でたまに店長の気紛れでボーナスが入ってるという週1シフトでも必ず3万近く貰えるという神ジョブだけどさ?


ちがうんだよ。なんかちがうんだよ。景品として貰えるものが1000円のZuoカードってのが良いんだよ

それに3つの景品の中でも一番欲しかったしね。なんにせよ欲しいものが手に入るって嬉しいじゃん?


「それはそうと、この後俺の家に来ない?」


「ああ、家族で打ち上げ的なのを開くんだろ? 響ん家のみんながOKしてくれるなら喜んで行くぜ?」


「その点なら大丈夫」


「よっしゃ! じゃあ今日は響ん家でお泊まりだな!」


「お、お泊まり!?」


ゆ、唯斗が俺ん家におおおお泊まり?

一緒にご飯食べてゲームしておおおお風呂入って一緒にねねね寝て……。あぅ……


「ははは、冗談冗談(……あ! しまったぁぁぁ!)」


「そ、そうなんだ……」



ホッとしたような残念なような不思議な感覚をおぼえながら俺達は帰り道を歩いていった





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ