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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
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体育祭(中編?)

もう季節は体育祭ではありませんね。作者の近所で行われる市民体育祭も随分前に終わりました

どうしましょう、この後藤矢さんイベや唯斗とイチャラブイベや修学旅行クリスマス大晦日初詣文化祭などまだまだイベントが山ほどあるのに……


大好きな冬を去年みたいにマックスピードで終わらせるのだけは避けたいものです……




時間は更に進み、そろそろ午前の部もあと2つで終わろうとしていた


そしてその残りの2つの内の1つは俺の出る競技である『2学年200m走』だ


この競技はトラックの真っ直ぐな所2つの合計10レーンを使って行う


各クラスから男女5人ずつ代表がいて、それぞれのクラスで第5走者まで決まっている


ちなみに俺は第5走者。いわゆる見せ場的な役割だ

そして唯斗も第5走者。一応男女別なので唯斗と間近で競い会うことは出来ないが、タイムは計られているらしいからそれで競うことが出来る。

まぁ要は女子が相手でも手を抜いちゃダメって事。全力で走らないとね


出走待機中女子トークの嵐の中に立たされる俺だったが、相槌をうつ事で上手く回避

回避とカッコつけているけどまだまだ女の子っぽいウフフオホホなトーク出来る程成長していないだけなんだよね……

スウィーツなお店は唯斗がマスドを買ってくるから行かないし、服は母さんが買ってきちゃうからランジェリーだかユミクロだかそういう店は全く行かない


まぁつまりね……そういう事なんですよ……

仮にも元男の癖に1人の彼女やってるわりには全く女の子してない訳でして

更にそれを改善しようと努力すらしない訳でして

訳でして……訳でして……


『第5走者の生徒は指定の位置について下さい』


おおっと、変な事考えてたらもうそんな時間か


「響ちゃ〜ん! 頑張れ〜!」


「……が、がんばるよー」


藤崎のやろう……。あんな大声出さなくたって……。棒読みで応えちゃったしギャラリーの皆様も笑ってらっしゃるよ、もう


「響ちゃん! 頑張ってー!」


ありがとう三島さん。俺、頑張るよ


「響ぃ〜! 頑張るのよぉ〜!」

「にぃ、姉さん頑張ってー!」

「お姉ちゃ〜ん! 頑張ってー!」


ちょ、ちょっと! 小学校や民間の運動会じゃないんだから!

ああほら、目立っちゃってるよぉ……。俺の家族が晒し者だよぉ……


「「森長くーん! 頑張ってぇぇぇぇ!」」


さ、流石は唯斗。今年も凄いな……。他のクラスの女子まで応援してるよ……


「「(森長好きの女子共負けてるぞ! 我らの愛こそ一番だと思い知らせてやれ!)」」


「「ひ、び、き、ちゃああああああああ!」」


……ま、まじか。俺もですか……


『……えー、午前の部終盤らしく大変盛り上がってきました。なんだか一部の人に応援が集中している気がしなくもありませんがこれは勝負。第5走者の皆さんにはフルパワーのフルパワー、フルスロットルで走り抜けてもらいましょう!』


ふぅ、いよいよスタートか。最近あまり調子が良いとはいえないけどそれを理由に情けない成績(タイム)なんで出せない。唯斗に負けるなんて論外だ


うーん、ギャラリーの喧騒と走者の沈黙。体育祭らしい緊張感だね。実に良い


「準備は大丈夫?」


近くにいた先生は俺達にそう聞いた

先生は俺達の確認を取ると小さく頷いて小さな旗を振った


『位置について……、よーい……』


ぱん!


あの鉄炮みたいなヤツの発砲音と共に俺達は一斉に駆け出した


あちらこちらから頑張れ頑張れと声援が飛んできた

うんうん、やっぱり応援されるのって良いなぁ


「俺、次のやつで1位とる。そんで響ちゃんと熱いキスをかわ」

「てめぇ!」

「おおやるか? おお? 」

「おい! キスしてもらうのは俺だぜ?」

「てめぇもまとめて潰してやんよ。かかってこいや」


「あ、あの、響ちゃんって彼氏持ちなんじゃ」

「おお!? てめぇも潰されてえか!? おお!?」

「だ、だってもう中古かもしれな」

「響ちゃんの前に中古も新品もねぇ! 中古でも愛される車だってあんだから。というか響ちゃんは新品だ大馬鹿者ッ!」


……新品? 中古? なんなんだ?

っと、もっと全力で走らないと唯斗に勝てない


「ぬおおおおお!!」


な、なんだこの聞き覚えのあるあのクールでイケメンな奴の声は?


『おおっと森長選手が残り50mをきったところで全力失踪だぁー! いつもの爽やかクールは何処へやら、ただの熱の塊の様だぁー! 一体何がクールだった彼をここまで変えるのかぁー?』


な、なぬぅ!? アイツもうゴール寸前なのか!?

俺は今半分行ったところなのに!

いや、こっちも超全力で走ればまだ勝機はある!


「うおおおおッ!」


『おおっと女子の方でも1人突き放している生徒がいるぞぉー! 男子側の森長、女子側の明治。両者ともギャラリーの応援に応えるかのような速さだぁー!』

ぱぱん!


『おお! 両者ともほぼ同時にゴール! 見事に盛り上げてくれました!』


「……はぁ、はぁ。ど、どんなもんだい……はぁ、はぁ」




「しゅん……」


「唯斗氏? 響ちゃん、なんであんなになっちゃってんだ? 1位取ったら喜ぶもんじゃないの?」


……ぐぬぬ

そうさ、負けたのさ。……コンマ1秒でな! ぐすん


「変化というのは時には優劣、雄雌を変えるのだよ陸手リア君」


「わけわかんね。あとリア付けんな」


「文字どおりの意味さ。変化は恐いよぉ陸手リア君。破壊力が百億万倍増しだ」


「……? つかリア付けんな。店が変わっちゃうだろ」


「お菓子屋かバーガー屋かの違いじゃないか。どちらも食品系だ」


「じゃあ唯斗氏は……青山だ!」


「関係性ゼロ! 認可できん!」


「えぇぇ〜」


下らない下らない、全く下らない! 俺がしょげてる理由も下らない!



「響ちゃん」

「明治さん」


「……んぅ?」


隅っこで縮こまっている俺に声を掛けてくれる人が2人いた


「次は3年生の先輩達が走るわよ♪」

「さ、いきましょう明治さん♪」


し、しまった! 忘れてたぁぁぁ!!


「あ、ああああのあのっ、やっぱりやめよう……よ」

「響ちゃんはみんなのエナジーなのよ! もう第1走者も走っちゃうし急ぎましょう!」


「あぅ、ううぅ……」


あああ、チアなんてイヤだ……。見る分には全く問題ないけど自分でやるのはイヤだぁ……


「三島さん、明治さんがぶつぶつ言っている内に運んでいきましょう!」


「賛成♪」


「……? 唯斗氏、響ちゃんが運ばれていくよ?」


「こでワンポイント。響を迎えに行くとき俺はなるべく薄手の服を着ていくんだ。何故だと思う? それは響をおんぶした時に響の温もりや小さなお山を堪能する為(ry」


「はは、聞いちゃいねーや(しかしちっぱいを背中で堪能出来るとは羨ましい……)」





な、なんてこった……

気が付くと更衣室にいた。いつの間にか2人に運ばれて今ここ(更衣室の中)にいるのかもしれない


…………。


どうやら俺の推理は当たっていたようだった


体育祭の最中にスカートを履く生徒はある団体のみだ。そして俺は今何故かスカートを履いている


俺は一応この状況について目の前の2人に聞く事にした


「あの……」


「わかっているわ響ちゃん。応援、頑張ろっ」


「明治さんが頑張って応援している姿を見たら3年生の方達はきっと喜びますよ♪」


あんまり面識の無い3年生の方達に喜ばれてもなぁ

……と、そんな事じゃなくて


「ささ、行こう響ちゃん」「行きましょう!」


あ、あわわ、2人共抱えないでっ! ま、まだ心の準備がっ! ほ、ほらっ俺応援なんて出来ないしっ? 踊れないしっ? それにチアってパンツ屋じゃん? やだよ唯斗以外の男にパンツ見せるなんて! ……いや、まだ見せてないけど……。とにかく止めてストップヒアプリーズ! あああ扉が迫って……ノオォーゥッ!



『……さて、第三走者に入ったところで3年生の皆さんには毎年恒例のスペシャルエールが贈られます! 中には第三走者以降のメンバーになれなくて嘆いた方もいる事でしょう! チアの皆さーん。援の準備は良いですかー?』


「「はーい!」」

「……はーい」


なんだかんだ言って男子の目線をガッツリ集めるチアガール

そんな彼女らのすぐ傍にいれる俺は果てしなく幸せ者なんだろう。置かれた立場がそんな彼女らと同じって事とこの如何にもパンツ見せ用のスカートさえ履いていなければな


うぅ……髪の色と身長も相まって余計に目立っている気がする


「響ちゃん、足上げて!」


「は、はい!」


焦って思いっきり足を上げちゃったけどなんとか上がってくれた

これ、でかい分度器で計れば70度はあるんじゃないかな?

流石は女の子の体だね


「「うおおおおお!」」


チアと選手と応援団。これらが全力で取り組む事により歓声は生まれる

一応俺も盛り上げ役として役にたってるかな?


「ひ、響ちゃん! 一旦足下ろして!」


「……?」


「そ、その……見えてるよ。勝負下着……」


「え? ーーー!?」


ああああ! つるつるつるつるッ!!

と、取り合えずジャンプしまくって回避だッ!


「「(み、見えそう……。ああっ、あと少し! 上昇気流さえあればっ……!)」」


「わわわっ! 響ちゃん! ジャンプしてたら黒い太陽が見え……見え……(さっきまで見えたのに見えなくなっちゃった……。上昇気流さえあればっ……!)」


ふぅ、回避成功……


「……? 三島さん? それにみんなもどうしたの?」


「……あ、あいや何でもないわっ。みんな! ボーッとしてないで!」


「……?」





昼になり、母さん達の居る所へ唯斗と一緒に行くと、すでに弁当は広げられていた


「あらあら響と唯斗君〜♪ お疲れさまぁ〜♪」


「お姉ちゃんお疲れ様っ」


「に……姉さんに唯斗さん、お疲れ」


「おう、兄ちゃ……姉ちゃんの帰還だぞ〜♪」


「お世話になります美代さん」


母さん達とは家以外ではあんまり会わないからいつもみたいに言っちゃった。反省反省

でもさ? 俺にとっては一応大事な事じゃん? それに見た目は兄でも姉でもないけど、博樹達の前でさえ女の子しちゃったらもう俺が居なくなっちゃう気がして怖いんだ……


「響、家に帰ったら母さん達にいくらでも甘えていいからねぇ♪」


「え?」


な、なんか周りからクスクスと微笑ましいものを見たときのような笑い声がするんだけど……。これって恥ずかしい雰囲気?


「(周囲の目からは響が見た目相応に家族に甘えようとしているように見えたのか。美代さんが響の心を察したのには気付いてないみたいだから良いけど。というか事情が事情なだけに気付く人っていったら俺か先生達くらいじゃん)」


まぁまぁそんな周囲なんぞ気にせずにゆっくりササッと食べちゃおう。力をつけないと勝てないからね


「勝利の女神が作ったスペシャル弁当よぉ♪ ガンガン食べてボンボン勝ってねぇ♪」


「女神の祝福ボーナスがつく食べる系アイテムか……。こりゃあすこぶるハラショーだぜ」


勝利の女神って……。周りの人が見てるよ……

それに唯斗もゲームのし過ぎじゃないか? 俺が言えた義理じゃないけど。それにすこぶるハラショーってなんだよ……

まぁそれは置いといて


「「いただきます」」


「うむうむうむ……(どれも最高に旨いな。……? この厚焼き卵は…。あっ……)」


……? どうしたんだろう唯斗、厚焼き卵なんか見つめちゃっ……あっ……


「(これ、響作じゃなかったのかよ!? しかも娘に形だけは負けてる!?)」


気付いてしまったか……


「……? あらぁ流石唯斗君、目の付け所が違うわねぇ♪ その厚焼き卵、私の十八番なのよぉ♪」


「そ、そうなんですか、道理でずば抜けて美味しい訳だぁ!(十八番だったの!?)」


十八番だったの!? いやまぁ味は市販なんかよりずっと美味しいけどっ


「(響ぃ〜……。なんであの時自分のだって言い張ったんだ……)」


すまん、唯斗……。形はともかく味は最高のあの厚焼き卵を食べさせてびっくりさせたかったんだ……。なんとなく見栄を張りたかったんだ……


「(本当は凄くゆっくり味わって食べたいくらいだが、変なボロが出ない内にカカッと食べちまおう……)」


お、唯斗は卵の処理に当たった。それじゃあ俺は話題を反らそう


こうして俺と唯斗はよく分からない危機を乗り越えたのだった






「ゆいとっ! ゆいとっ!」


そこにいる可愛い生き物は俺の名を二度呼んだ


「ん、どうした?」


「だっこ!」


俺がいつになく優しげに応答すると、その生き物はやばい事を言い出した


「いいの!? じゃあ抱っこするねっ」


「うん……ありが、きゃっ!?」


言うが速いか俺はその可愛い生き物をぎゅっと抱き締めた

嗚呼、なんて心地良いのだろう……。とてもいいにほいだ……


「ちゅーしよっか」


「……ゆ、ゆいとがしたいならしてもい、んっ……」


遠慮なく口を重ねた。嗚呼、凄くいい……


「…………」


知識が無いせいかやっぱり響からは何もしてこなかった。まぁ俺も実践経験は浅いから出来る事は少ないが……


「……? 〜〜〜〜……」


取り合えず舌を侵入させてみた。響も抵抗してないし思う存分響の口の中で暴れさせた


「……ぷはぁ。…………」


一旦離して響を見た

いつもの少しボケーっとした可愛らしい表情ではなく、頬も紅く染まり瞳もとろ〜んとしたエロい表情になっていた


「ゆいと……ゆいと……」


いつもならキスだけで終わるヘタレ情事も今なら立派な情事へいけそうだ


さぁ、どんな事をしてあげようか


「唯斗……唯斗……」




「……んん?」


「……あ、起きちゃった?」


目を開けるとそこには天使がいた


「……今、何時……?」


「今はね〜、う〜ん……6時くらい?」


「俺は寝てたのか?」


「う、うん……まぁ、ね」


何処かの鳥が鳴いている音。6時。頬を赤らめる嫁。これはもしや……朝チュン!?


「俺達って昨日の夜何してたっけ?」


「……もう、忘れたの?」


これは確定ですわ

我がクラスのロクデナシトリオ達よ! 私は、私は勝ったのだ! 爆発する権利を手にしたのだ! ふはは、どうだ参ったか!

これで俺も魔法使いの権利と童帝という名の不名誉を棄てて勝ちぐ


「64やってて唯斗が寝落ちしたんだよ」


「64やってて寝落ち……え?」


「それで母さんと七海が客間に布団を敷いて俺と博樹で客間に運んだわけ。ちょっと大変だったんだからな?」


な、なんという事だ……

あれは全部夢だったのか……!?

ダサすぎる、彼女持ちなのに夢で本番とかダサすぎるぞ……


「あれ? じゃあなんで響はここに? 今日は休みだし6時に起こしにくる訳ないし」


「……そ、それはっ……ごにょごにょ……」


「……?」


「(……こっそり添い寝しに来て一緒に寝てたなんて言えないじゃないか……)」

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