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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
53/91

2学期開始〜2年目〜



2学期開始とありますが、式の内容はオールカットでお送りします

まぁタイトルの意味はあんまりありませんね(^^;


ちなみに、作中に出てくる『Melon(めろん)』とはカードの事です

あの改札もすいすい〜なペンギンのカード同じだと思って下さい




「ねぇ、ヒビキ」


「……あ、まさか変な夢見ちゃった?」


「違うんだ……。違うんだよヒビキ……」


「……?」


「夢が地味に悲しいんだよ、君の夢は……」


「よ、よくわかんないよ」


「『自販に硬貨が食われる夢』『ガシャポンで同じMSが3対も被る夢。そして三機とも穴の少ないスターゲイザー』『空だったMelonを無くす夢』『救援物資の中身が神ってる夢』……」


「……そ、それは確かに地味に嫌だな。夢に限って救援物資の中身が神ってるのも確かに悲しい」


「ちょっとでもエッチな夢を期待してたオレが馬鹿だったよ。あんなにフリをやってあげたのに」


「ディザーリィ……。ディザーリィって実はエッチな娘なんだね……」


「あ、いや……だ、だって毎日毎日男を誘惑するような事をしてるからっ!」


「してないよ!!」


「そんなウソは彼氏の夢を覗けば一発。彼氏さん、たぶん毎日ヒビキの夢を見てるよ。それも妄想ではなくその日ヒビキがやったであろう誘惑行為を回想のように延々とね」


「ええええーっ!? 心外だ! 俺はそんな事しないよっ!」


「……ふぅ、ヒビキちゃんは天然なんだね。いや、単に無防備なだけか。元男ってのは厄介だね。……おっといけない、もう目覚めかい? ってこの音は……電車の中じゃないか! 電車の中とはいえ彼氏の横で寝るなんて無防備すぎる! ああもうっだから君は! ……ってうわぁ!? まだ起きるなぁぁぁ!」







―波頼高校

―2年E組

視点 明治響




「おはよう諸君。夏休みは楽しかったか? まぁめんどくさい話は抜きにして最初に報告しておく事がある。えー……新学期早々転校生がいるぞ」


「「(な、なんだって!?)」」


「「(ナ、ナンダッテー)」」


長かったような短かったような延長されたような夏休みも終り、ついに2学期が始まった


みんなはあからさまに驚いているが俺と唯斗は違った


だって誰が転校してくるか分かってるんだもん


「早速だが来てもらった。さぁ、入っていいぞ」


先生が教室のドアを開けるとそこには美少女が……という藤矢さん2号が現れる訳もなく、なんのこっちゃないアキタが入って来た


「失礼しまーす」


当然のように教室はざわめくが俺と唯斗は例外

高橋と藤崎はアキタの事は知ってるものの多少驚いているようだ


「自己紹介をしてくれ」


竹中先生に言われて軽く礼をするとアキタは話し始めた


「北海道の函館から来ました。陸手亜稀(ろってあき)と申すのです。よろしくねっ」


陸手亜稀と名乗るアキタらしき何かは変なポーズを取りながらそう言った

というか変な名字だな

それに『ねっ』てなんだよ『ねっ』て


そして教室はどよめくことなく静まり返った

なにやってんの!


「……えー、まぁ滑るのは承知でやったがこれは酷い。爆発四散なんてレベルじゃねぇよこれ……。ま、まぁこれからもぼちぼち頼むということで」


「……転校初日でいきなり爆ぜてもらった訳だが、まぁ悪い奴じゃないし仲良くしてやってくれ。それじゃあ陸手の席だが、藤矢の隣に座ってくれ。あの白くてちっこい奴の後ろの後ろの右だ」


「了解で〜す」


白くてちっこい奴?

……あ、もしかして俺!?

ぐぬぬ……


「唯斗、俺は漁に使われる海に浮いてるアレと同じシンボル役ですかい……?」


「シンボルなのは間違いないな」


「うぐぅ」


「なんというかさ、そろそろ諦めろ」


「うぬぅ」


頭撫でるな

気持ちいいけど


周りにドーモドーモと挨拶していたアキタは気がつくと俺達の方へ来ていた


「やぁ、2人とも」


「アキタ……じゃないんだよな。ここでは陸手?」


唯斗がそんな事を言うと、アキタは少し考えるような素振りを見せて答えた


「うーん、そうだな。向こうと現実くらい見極めないとな」


聞こえていたのか、何故か高橋の肩がぴくんと動いた気がした


竹中先生はアキタが藤矢さんの後ろの席に着いた事を確認すると再び話しだした


「北海道の学校とこっちの学校は勝手が違うかもしれないし、もし陸手が何かで迷っていたら助けてやるように」





ー波頼高校4階(階段)

12時ちょい




今日も二人きりの時間を楽しむ為に俺と唯斗は屋上へ向かっていた


三島さんにお昼を誘われるよりも早く、廊下ですれ違って追いかけてくる藤崎よりも速く走り、一旦トイレへ逃げ込み待機

流石に女子便まで着いてくるバカは唯斗くらいなのか、無事藤崎をまいた後、唯斗の待つ屋上行きの階段付近の多目的スペースへ

唯斗と合流したら階段を登る。今ここ


「唯斗」


「なんだ?」


「今日は唯斗に100点つけてもらうからな」


そう、今日は俺の得意料理の厚焼き玉子があるんだ


「ほう、そいつは楽しみだ」


屋上の扉を開けたら二人きりの世界が……


「(屋上の扉を開けたらお互いの弁当を彼女にあーんしてあげたりしてもらうイチャラブの世界が……)」


「「……あ、れ?」」


「……あ、どうもお邪魔しています響ちゃん。あと森長さん」


「うぃーす名カップル!お熱いねぇ!」


そこには藤矢さんとアキタがいた

……なんで?


「……あ、もしかして私……居てはいけませんでしたか?」


「あ、いや、大丈夫だよ!藤矢さんなら大歓迎だよ!」


「……よかった」


「じゃあ俺もオッケー……かな?」


「アキタ、お前は少しは空気を読め」


唯斗ナイス!

アキタなど邪道だ!


俺は女半分男半分

ここで藤矢さんと唯斗が居れば男女比率はちょうどよくなる

しかしアキタが加わる事によって……


とにかくアキタは邪魔だ!是非はない!

ただでさえ藤矢さんが居るから屋上に来る必要性が無くなってるってのに


これじゃ最初から教室でみんなと食べた方が早いじゃんか


「やはり俺は超絶に邪魔な存在らしいな。だが俺も転校初日なんだ。今日くらい頼むよ」


「響、どうする?」


転校初日か……

確か藤矢さんも転校初日で1人でゆっくりする為に屋上へ来ていたっけ

今では単にここが気に入ってるみたいだけど


「うーん、可哀想だし仕方ないよね」


「偉大なる俺の彼女に感謝しやがれよ愚民め」


唯斗が余計な事を言うと、アキタ……陸手は俺の膝下まで来ると土下座した


な、なにやってんの?


「ありがたき幸せ!」


「そ、そんな額を地面に擦り付けなくたっていいよ。顔上げて?」


「ははぁ! (くろぉぉぉぉぉお!?)」


「人の彼女のパンツ見てんじゃねぇよ!」


「おぐふぁ!」


唯斗は陸手の背中にドシンと座りこんだ


……ってアキタ!?

み、見たの!?


「響のパンツを見ていいのは俺だけだぁぁぁ!」


「ちょ、唯斗!?」


ああもう!

堂々と覗かないでっ!


「うわぁ」


ほら! 藤矢さんも引いてるじゃん!




「……どうかな?」


「うむうむうむ……」


厚焼き玉子、形は若干残念だけど味はピカイチな母さんの厚焼き玉子に憧れて何度も何度も練習していたらいつの間にか得意料理になった俺のお気に入りだ


母さんの厚焼き玉子の味と食感に限りなく近い上に形もなかなかという上位互換仕様

これで勝つる!


「170点」


「170? なんで?」


謎すぎる


「黒いおぱんちゅ見れたから100点追加だ」


「うわぁ」


ほら! また藤矢さんが引いてるよ!

って、厚焼き玉子自体は70点なんだ……


「勘違いするなよ。響が下手なんじゃない」


「……?」


「俺が厚焼き玉子で70点を出すというのは異例なんだ。本来厚焼き玉子で70点なんて出ない」


「じゃあ何だったら100点が出るの?」


「そうだなぁ。凄く個人的な話になっちゃうんだが、俺は煮魚が大好きだ」


「……つまり森長さんの好きな料理なら100点が出るかもしれないって事ですか?」


おおお! そうだったのか!

流石は藤矢さん!


「そういう事になるな。だが響にはまだハードルが高いんじゃないかな」


うぬぅ、確かにハードル高いかも……

元が元だから料理を始めたのも半年くらい前からだし、レパートリーも貧弱。更に技術や料理の勘も貧弱


「そんな、彼氏なら響ちゃんを信じてあげて下さい」


「そうだぜユイトス。響ちゃんも1人の女の子だ。料理をする為に産まれたと言っても過言ではない性別なんだし」


ありがとう藤矢さん

陸手は言い方が少し女性に喧嘩を売っているように聞こえるけど、言おうとしている事は分かった


そして俺はもっとも重要な事に気付いた


「ねぇ、煮魚って弁当に入れたらマズイんじゃないかな?」


「「あっ……」」


察したような顔をしないでくれ……


「いや待てよ響ちゃん。0点級のゲテモノ作ってパンツ見せれば100点じゃね?やっべ、超天才」


天才というよりは奇才か鬼才だよ陸手……


「響が自らパンツを見せてくれるのか。それ自体は非常に素晴らしい案だが、ダークマターとか地球破壊爆弾とか紫のハートハンバーグなんて出されたら堪らないな。まぁそれはそれで彼氏冥利につけていいかも知れないが……ぶつぶつ」


「うわぁ」


ほらぁ、またまた藤矢さんが引いてるよぉ!

それに地球破壊爆弾はネズミっぽい紙用だよ


「しかし上手くなったな」


「え?」


「響の料理、上手くなったな(厚焼き玉子だけだが…)」


「そ、そうか?」


えへへ、頑張った甲斐があったな♪


「今度は他のメニューにも力を入れてみたらどうだ?」


他のメニュー……か


「よし、わかった! 俺、唯斗の為に頑張るよ」


「よしよし、良い子だ」


「……えへへ」


藤矢さんとアキタの前で撫でられるなんて恥ずかしいじゃないか……♪


「あーあ、俺達ほったらかしでイチャイチャと……。ねぇ藤矢さん?」


「日本ではあまりスキンシップを好む人はいないと聞いていたのですが、あの2人は違うみたいですね。ああ……森長さん、羨ましいです。私も響ちゃんによしよしってしたいです」


「(あ、あれ? すっげぇ清楚な感じの人だと思ってたんだけどなぁ。意外とアブナイ?)」




・・・・・・・・・・・・




あれからもア、陸手は屋上で弁当を広げ続けてここの常連となり、もうみんな呼んじゃおうかという話になって三島さんと藤崎と高橋も仲間となった


結果として藤矢さんと陸手の2人は俺と唯斗以外のEクラスの人と知り合い以上の深い関わりを持つようになり、程なくしてクラスに溶け込んだ


俺はみんなと屋上で弁当を広げるのにあまり問題を感じなかったのだが唯斗は違うようで、数日間で新しい場所を見つけてきた


みんなで食べるのも悪くないんじゃないか? と言ってみたが唯斗の真剣な表情を見て俺はNOと言えなかった

し、仕方ないよねっ?


ただ、これじゃあみんなから避けてるみたいになってしまうので火曜と木曜は屋上、それ以外は新しい場所という条件をつけた


唯斗も快く飲んでくれて、無事に俺達は2人の居場所を手に入れた



こうして日は経ち、俺の高校ではいよいよ体育祭の準備が始まった







台詞だけのコーナー



三島「ねぇ響ちゃん、私達と弁当を食べてない時は何処で食べてるの?」


響 「ごめん、三島さんでもそれは教えられない……」


高橋「ふむ、それは気になるな」


唯斗「ヒントをやろう。それは俺が響に最初に告白した場所だ」


響 「!? わーわー!」


藤崎「つまり昼休みの時に響ちゃんと唯斗氏を見付けたらそこが……」


響 「わーわーわー!」


唯斗「来んなよ? 絶対来んなよ? 俺達だけの束の間の楽園なんだから」


藤矢「……って、響ちゃんと森長さんって付き合ってるんですか!?」


三島「え? 気付かなかったの?」


陸手「(天然ちゃんなのは評価するが、藤矢さんはどうもレズ説が立っているからなぁ……)」

高橋「(明治に次ぐ天然か……)」

藤崎「(可愛い……。だが俺には響ちゃんが! って言ったら唯斗氏に殺される……)」


唯斗「ちなみに〜そこではよくチューするん」

響 「わー!わー!わー!」




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