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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
51/91

H.Tの工口屋敷(後編)




かなり遅れましたね…

すみません


ちょっと新しい物語が出来そうだったので…



―一原市中層地区

―AM10時30分頃




唯斗は目的の場所までこの一原中層地区を歩いて、響はそれに着いていっていた



一原市中層地区はその名の通りそこそこ裕福な者達が主に住まう地域である


この地域の家は豪邸とまではいかないものの、1階部分で60畳分の広さとまぁまぁ広い明治家でも敵わない程大きめな家ばかりで、どれも三階建てだ


更にどの家もオシャレというかデザインチックというかな家で、唯斗は思わず


「こ、ここはエロゲの世界か…?」


と言葉を漏らした


(※ギャルゲやエロゲ、ラノベの世界では主人公の家がやたらとオシャレなのでオシャレな家=エロゲの家という扱いみたいです)

「…?なんの家?」


「いや、ここらはオシャレな家だらけだなぁって」


「確かに…。冬なら分かるけど夏に電飾が付いてるし、どこも庭付きだ…」


響は珍しいものを見た田舎者のように辺りを見回しそう言った


「アメリカのどっかにもこんな立派なマイホーム地帯があるらしいな」


「立派な別荘地帯なら分かるけど立派なマイホーム地帯とはまぁ…。これが格差社会か」


「俺はそんな現実的な格差よりもっと夢のある格差の方が好きだな(胸とか胸とか胸とか)」


「夢のある格差?」


2人がそんな事を話している内に目的の場所はかなり近くなってきた


「ん〜、この辺りの筈なんだが…。お?誰かいるぞ?」


唯斗の目線の先にはどこかで見覚えのあるような存在がいた


黙ってればモテる

しかし黙ることが出来ない。そんな男、藤崎である


「藤崎じゃないか?アレ」


「ああ、あれは藤崎氏だな」


2人が近づいていくと藤崎は2人に気づいた


「響ちゃんじゃないか!今日は運が良いなぁ。…あ、唯斗氏もいたのね。デートかい?」


「(や、やっぱりデートしてるように見えるに見えるんだね…。照れちゃうなぁ)」


「ん、今日は違うぞ。今日はタカハ氏に用があってな。藤崎氏はタカハ氏の住所知ってるか?」


「(で、デートじゃないの!?…ちょっとがっかり)」


「ああ、高橋の家ならここだぞ(響ちゃん…そんな危な可愛い装備までして…。デートだと勘違いしてたんだね…。すっげぇ可愛い!)」


藤崎が指差した先にあったもの、それはわりと大きくてオシャレな家だった


「「こ、ここが高橋(タカハ氏)の家…!?」」


「(エロゲの家だぁぁぁぁぁ!)」


「(おおおお…)」


驚きを隠せない2人をよそに全く動じていない藤崎は2人の背中を押し、高橋家のインターホンを押した


高橋家のチャイムが鳴った数秒後、インターホンを押す所から高橋の声が聞こえてきた


『藤崎か?』


「ああ」


『俺は部屋にいるから勝手に入ってくれ』


「了解」


高橋との話が終わると藤崎は玄関のドアを開けて響達の方を見た


「さ、高橋が待ってる。行こう」


「(今日の藤崎はなんだか頼りになるオーラが出てるな)」




―高橋家



藤崎は家に上がるなり3階へと上がっていった

どうやら高橋の部屋は3階にあるらしい


「…うぬぅ、階段はやっぱり辛いなぁ」


「なんだ?去年もこの前のスポーツ祭もあんなに走りまくっても全然疲れてなかったじゃないか」


「俺は昔から段差に弱いんだよ。それにこんなになってから段差が余計に…」


「響」


あ、藤崎が居るんだった


というか今更だけどなんで隠す必要があるんだろう

先生達はみんな知ってるらしいし、クラスのみんなに隠す必要って…

ま、難しいことは考えないでおこう


「高橋、お邪魔するぞ〜」


ようやく高橋の部屋らしきドアの前に来ると、藤崎は高橋にドア越しに話しかけた


「待て、なんか足音が多いぞ。誰が居るんだ?」


「会ってみてからのお楽しみだ」


「わかった。ちょっと待っててくれ…。…よし、いいぞ」


藤崎はドアを開けた


「お邪魔するぞ〜」

「お邪魔するじぇい」

「お邪魔しまーす」


綺麗で広くてオシャレな部屋には高橋が居た


「ああ、よく来たな。藤崎に…唯斗氏か?それと…!?あ、アリス!?」


高橋は立ち上がり俺の所までやってくると急に抱き締めてきた


「ちょ!?高橋!?」

「タカハ氏!?(人の彼女になにをするだァー!)」


「…ついに、ついに時間をどっぷり掛けた甲斐があった!レアイベ『マイハウス訪問』!ああ、やった…やったよアリス…。ついにイベ&CGコンプだ…」


「「(…なるほど、また二次元と三次元の見境がつかなくなったんだな…。病に犯されていなければ…。哀れ高橋…)」」


ちょっとそこの2人!

うんうん頷いてないでなんとかしてよぉ〜


「あ、あの…高橋?」


「…!?」


高橋はようやく気がついたのか顔を真っ赤にしながら俺から離れた


「…わ、悪い!」


「だ、大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだから」


ふぅ、どうやら丸く治まったようだ

…と思ったらどっこい問屋が卸さねぇとばかりにバカ(唯斗)とアホ(藤崎)がやってきて余計な事を垂れやがった


「おぅおぅアンちゃん、人のコレに抱きついておいて『わ、悪い(小声)』はねぇんじゃねぇかい?んん?」


「ソーダソーダ!唯斗サンにあやまえ!このどぐされラーメン野郎がヨゥ!」


何を言ってるんだこの大馬鹿者共が

そりゃまぁ唯斗以外に抱きつかれるのは正直嫌だけどさ?一応心は男のままなんだし


でも高橋だって悪気があってやった訳じゃないんだ。CGコンプだかレアイベだか全くもって訳分からん事を言っていたけどさ


あんたら男だろ?

男ってのはさ、雄大で寛大で誰でも包み込むような大きな心を持っている方がカッコいいと思うよ

見た目は男じゃないけど、被害者でありながら許してる俺を少しは見習って欲しいものだね


なーんて、ネタで高橋を煽ってる彼氏とバカに心の中で本気コメしてる場合じゃないよね


「本当にすまない…」


「大丈夫だって。全然気にしてないから」


「響、そいつは聞き捨てならないな」


「まーた唯斗氏はややこしい方向へ持ってく」


「(さっきまでノってきてくれたのに…)」


そうだぞ唯斗!

ほら、高橋も一層しゅんとしちゃったじゃないか


って唯斗まで…

ああもうっ!


「ね、ねぇ、そんな事よりさ…」

「僕と一緒にお話しようよ」


「藤崎は黙って!」


「しゅ〜ん…」


あ〜あ、男3人みんな揃ってショボーンですか…

も、もしかして…俺のせいだったりして…?


「ううぅ〜!」


俺は何を思ったのか床をゴロゴロと転がった

床は床の筈なのに硬くなかった。…金持ちめ


「「ありがとう。お陰で大復活したよ」」


3人ともどうやら復活したようだな

ん?なんだこの赤い…


うおっ、危ねっ!


「あああああ!お前ら鼻血垂らすな!」


「タカハ氏、残念ながらその鼻血はあんたのだぜ」

「そうそう、俺と唯斗氏は今鼻血を食い止めてるからな。垂らしたのはあんただぜ」




十数分後




(視点を三人称に移します)



「「AッHAHAHAHA☆」」


「HAHA…あれ?藤崎、だいじょぶ?」


「あ、あいじょぶ…。たあはあしづらいよ…」


(訳 だ、だいじょぶ…。ただ話し辛い…)


「鼻血が固まって凄い事になってたもんなぁ」


「ヒャヒャヒャヒャ!馬鹿でぇ〜!」


「唯斗、笑いすぎだよ」


「はっははは、いやぁ、鼻血が固まって悶える奴なんて初めて見たからさぁ。すまないすまない。というか響も笑ってたろ?」


「うぐ…」


「とりあえず洗面所いって洗ってこい」


「ああ、すあない…」


藤崎は高橋の言葉を聞いて立ち上がり、部屋を出ていった


「あ、唯斗氏。今日来たって事はアレ、返してくれるんだな?」


「ああ、これ?」


唯斗は鞄から何かを取り出した


「あ、それって」


唯斗が取り出した物、それは『すぴんすぴんすぴ〜ん』だった


「それそれ…って唯斗氏、ソレを女の子の…彼女の前で出す神経を疑うよ」


「まぁこういう仲だしな」


唯斗は響の肩を自分に寄せて、頬擦りした


「んぬぅ〜。こういう仲って?」


「こういう仲だ」


「訳がわかんないよ」


「はぁ…」


高橋は人様の家でも構わずイチャイチャする2人に羨ましがりながら呆れていた


「高橋、そのゲームって高橋のなのか?」


「ん?ああ、そうだが?」


高橋の返答で響は期待に満ちた表情をしたがすぐに残念そうな表情になった


「どうしたんだ?」


「ああ、響はそのゲームをやりたがってたんだよ」


「なにぃ!?これ、エロゲだぞ!?」


「高橋、俺はな、響にはもっと女の子らしい反応をしてもらいたいんだ」


「…………で?」


高橋は心底訳がわからないといった表情で言った


「エロゲで性教育だ」


「…………。(こんな奴が波頼の超優等生だなんて…。信じられない…)」


高橋は頭を抱えた

超エリート高校とはなんだったのかと考えながら


「唯斗」


「な〜に響♪」


「(きめぇ…)エロゲって…なんだ?」


「「まじかよ…」」


「?」


高橋は響のあまりにも年相応ではない言動を聞いて、これはもうエロゲをやらせてエロゲとはなんたるかを教えなきゃダメだな、と思った


「唯斗氏、この処女にエロゲってものを教えてやろうじゃないか」


「まるで俺がヘタレみたいな言い方は引っ掛かるが…やってやろうではないか。紳士神ユイトスの名に恥じないよう、彼女にはゲームでしっかり教育させないと。な、タカトスよ」


「とは言っても藤崎を合わせて4人も居る中でエロゲってのはアレだな…。やっぱり貸し与えて家でやってもらうのが一番、というか普通じゃないか?」


「それが…」


響がまた期待に満ちた顔から残念そうな顔に変わった


「違うのだよタカトス。奴のハードはまさにマザーのしかないんだ」


「…なるほど。確かに母親のPCでエロゲはまずいな。バレたら家族会議ものだろう。というか恥ずかしいだろう。このゲームの内容的に」


唯斗の説明で察した高橋はなにかを考え始めた


「そうだ。ちょうど使ってないまだまだ現役のハードがあるんだが使うか?」


「ハード?」


「PCの事だよ」


「タカトス、それは流石に…」


「大丈夫、既に俺はデータ用、作業用、作業用2、非常用の4つがあるからな。折角のPCに埃を被せるなんて勿体無い」


「いいの高橋?」


「もちろんだよアリ…明治。すまん、上目遣いは毒だ…」


高橋はズズズッと響から離れた

まだ変な病気は続いているようだった


「それで、スペックは?」


「CPUはAI5、クロックは忘れた」


「ほうほう」


「GPUはJTX790。メモリは4GB。HDDは500GB辺り。ミニタワーだ」


「現役バリバリじゃないか!店舗によっちゃ17万なんてバカ価格でも情弱を釣れるレベルだぞ!?」


「そんな凄いのをくれるの?」


「うん、そうだよアリ…ってだから上目遣いはやめ」


「えへへ、出来てた?」





・・・・・・・・・・・・




(視点を響さんに映します)



―響達の住宅街

―PM6時くらい




PCは宅配便かなにかで唯斗の家に運ぶ事になり、俺達はほぼ手ぶらで帰宅出来た

そのお陰でおんぶしてもらえた。やた♪


「(勢いでユイトスと名乗ってあんな流れになってよかったのだろうか…)」


「マイPCかぁ、実は夢だったんだよね♪今日は唯斗のお陰で凄い物を貰っちゃったよ。ありがとねっ」


「ああ、どいたま(はぁ〜ん♪この笑顔が見れるならどーでも良いぃぃん♪)」


唯斗?なんか震えてるぞ?


「寒いのか?下旬とはいえまだ夏だぞ?」


「あ、ああ…。タカトスの家のエアコンに当たりまくってたらちょっと風邪を引いちまってな」


そうか、じゃあ温めてやらないとな


「!?(なん…だと!?)」


ピッタリ密着すれば大丈夫だよね?


「ひ、響?」


「どう?楽になった?」


唯斗にはお世話になりっぱなしだからね

今度は俺がお世話しないと


「(こ、ここは天国か…)」


おんぶされて後ろから見ても唯斗の顔は赤くなっているのが分かった


うん、俺の家に着くまではずっとこのままでいよう


唯斗には悪いけど、もっともっとゆっくり歩いてくれないかなぁ…








「響、あのゲームはどうだった?」


「あ、えと…うん。内容が内容だけに…ね。主人公が俺と同じ境遇だとさ…。なんとも言えないよね…」


「誰からいった?」


「金聖」


「おお、いきなり金聖か!…というかなんで男の金聖ルートに?」


「な、なんで最終性別まで知ってるの!?」


「あ、いや…え?女金聖ではなく男金聖ルート?」


「ううう、男の悪友って誰かさんと被ってたから…」


「ああ、可愛いなぁ。そんなに俺の事を…」


「ううぅ〜!うるさいよぉ〜!」


「あはぁ〜ん♪可愛すぎゆぅ〜♪」


「バカバカバカぁ〜」


「おっほっほぉ〜♪」





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