真夏の日常(後編)
なんやかんやでこの物語も一周年とちょいになりました!
ここまでで25万アクセス
新米としてはちょっとだけ凄いんじゃないかな?などと自画自賛してみたり…
まぁそんな事はおいといて、(前回もですが)今回は全て三人称です
視点は一切変わりません
「ふんふふんふふーん♪ん独りぼっちだわっしょいわっしょい♪ん独りぼっちだわっしょいわっしょい。……はは」
夏休み中は基本唯斗が遊びに来るか遊びに誘われるかで、寝る時と風呂に入る時以外は常に誰かと一緒にいた響
唯斗は今日、なんらかの用事で外出中
そんな日に限って皆様お出かけ
唯斗が今日は居ない事を伝えていなかった為、母はいつも通り気を利かせて買い物に無理矢理連行してこなかった
「…はぁ」
独りの時ほど周りの人がいかに偉大だったと思わせる時はない
お一人様1個の為でもなんでもいいから買い物に着いて行けばよかったと今更後悔していた
人見知りの癖に寂しがりな響はちょっと暗くなった
「…こんな時こそ寝るのが一番なんだけど、もう全然眠くないよぉ。…ん、んんん〜……はぁ」
響は先程の睡眠を後悔しながら屈伸した
そして何かを考えだした
「…う〜ん、せっかく1人なんだから1人でしか出来ない事ってないかなぁ…」
そんな事を言いながらソファーの上でゴロゴロし始めた
バタ
「あだっ」
墜落したようだ
「(そりゃソファーの上でゴロゴロしたらこうなるよなぁ…はぁ)」
再度ソファーに身を預け、ゴロゴロしてまた落ちた
「(…なにやってんだろ)」
出掛けようかな…と考えてすぐ止めた
1人で外出などありえない
非力なものだから力にものを言わされて誰に何されるかも解らないのに危険で危ない外へか弱いこの身1つでお出かけなんて『どうぞ好きにして下さい(はぁと)』と言ってるようなものだと思ったらしい
「(唯斗もそう思ってくれてデートの時に待ち合わせ式じゃなくお迎え式にしたのかな?)」
そんな事を考えてると顔が赤くなっていった
「(…用事なんだし仕方ないよね…。でも、会いたいなぁ…)」
これが夫の帰りを待つ奥さんの気持ちなのかな?などと考え照れ笑いを浮かべていると
ピンポーン
誰か来たようだ
「(なんだよ、人がせっかく恥ずかしいシュミレートをしてるって時に)」
そして響は溜め息をつきながら玄関へ向かった
ピンポーン
「…はーい、いまいきまーす」
響は再度鳴るインターホンに少々顔をしかめなが玄関のドアを開けた
「…?」
目の前には知らない男
黒服でカッコいいサングラスでなんだか走ると速そうな人だった
もちろん見た目が見た目なだけに響は頭が混乱した
「(なにこの人凄くやばそうじゃないか!?え?俺なんか悪い事した!?…み、身に覚えがない…。どうしようどうしよう…)」
「申し訳ありません。貴女は明治様で合っていますか?」
「は、はい…(ひぇぇぇ)」
響は思わず即答した
黒服の男は何かを考えているのか少しの間を置いて再び話してきた
「…現在貴女のお姉様の明治響さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「は、はい、いらっしゃいますぅ」
なんだか黒服が目の前にいる少女を明治家の末っ子だと勘違いしているような気がするが、響は気付くほど余裕もないようだった
ただ「はい」と答えるだけである
「申し訳ありませんがその貴女のお姉様の響様を呼んで来てもらえませんか?」
「はいぃ…。…え?」
流石に響も違和感に気付いたようだ
「…か、かたじけないのですが、もう一度仰って下さいませんか?」
緊張のし過ぎで話し方が少々おかしくなっているようだ
「…貴女のお姉様の響様を呼んで下さいませんか?」
響は『えっ?』とでも言いたげな顔になった
「す、すみません。わ、私に姉など居ないのですが…」
流石に黒服の男の話に違和感を感じたのか響はそう答えた
ちなみになるべく敬語をつとめて一人称を『俺』から『私』に変えてみたようだ
「…?…(…もしかしてこの子が響という子なのか?だとしたら失礼な発言をしてしまったな。だが念のため確認はしておこう)」
黒服の男は察しが良いようだった
「…では貴女が響様…ですか?」
「…は、はい」
しかしなんで俺の名前を知ってるんだろう?などと思っていたがすぐに考えるのをやめた
聞けばいいだけの話なのだろうが余計な事を言って余計な事になるのはゴメンだからだ
聞かぬ黒服に祟りなし
突然拳銃を出されてドン!だけは勘弁、とのことだ
「では少々お待ちを…」
「は、はい…」
それだけ言って黒服の男は去っていった
「…え?」
唖然としてしまうのは仕方のないことだった
そしてリビングへ戻り、ソファーに寝転がって色々考えたのちに響は急に震えだした
「あ、あわわわわ…(し、下調べだったのか…?万全な準備をしてからドン!なのか…?)」
恐怖で響自身よく分からない考えを抱き始めた
そしてソファーの上で転がってまた落ちた
「…ぬぅぅ」
そして現実逃避するために歌いだした
「男なんだろう〜?(ちがうよ☆)ぐぅずぐずするなよ〜☆でんぼん♪」
なんだか既におかしい
「俺のエンジンにぃ〜、ひぃをつぅけろ〜☆やめろ!あ、あ、なんだ。そそれならよし☆」
これはひどい
懐かしいにおいとオ○サイト臭がプンプン
「俺は誰だぜひと足おさき。光の速さでひと足おさき。名もない花を踏みつけられない明日へ〜…」
…………。
「ダッシュすかぁぁぁ!」
ダッシュすかぁぁぁぁ!?
ピンポーン
「……ホントにイイ!ところだったのに」
しかしお客はサビをお望みではないようだった
若さ、若さってなんだ♪
「…はーい、いまいきまーす…」
ガチャ
「…?」
玄関を開けるとそこには黒服の男と…藤矢亜理彩が立っていた
「こんにちは、明治さん」
藤矢は素敵で可愛らしい笑顔で挨拶してきた
「…え…あ…はい、どうも…(まって!?こ、こんな美し可愛い人が知り合いにいたっけ!?)」
響は目の前のキラキラした感じの人が藤矢だとは気づいていないようだった
それもそのハズ
学校での藤矢は茶と金を混ぜたような、なめらかというかまろやかというか、そんな感じの優しい髪の色なのだが…
今は金というか銀というか、そんな感じの綺麗な色だったのだ
「…お嬢様、やはり迷惑だったのでは…?(ボソッ)」
「…そ、そんなぁ…。いや、多分大丈夫ですっ」
普通に聴こえるレベルの声量で話をする2人に、響は自分の中で一番だと思う行動をとった
「あ、あの〜…。よかったら上がってって下さい…」
「…えっ?ほ、ほらっ、やっぱり迷惑じゃないようですよっ?」
「は、はぁ…そのようですね。…大丈夫ですか?」
上機嫌な藤矢を差し置いて黒服の男は響の方へ顔を向け、大丈夫かと聞いてきた
「はい、大丈夫ですよ」
黒服の男を悪い人ではないと認識した響は少し明るめに答えた
「ありがとうございます。…では、私は待機してますのでお嬢様はごゆっくり」
「はい、では明治さん、上がらせていただきますね」
そう言うと藤矢は明治家へ入っていった
―明治家(客間)
「はい、どうぞ」
お客が来たらなんか飲み物を提供するのが常識と教えられている響は藤矢にビンからグラスへ移したコーヒー牛乳を提供した
ちなみにこのコーヒー牛乳、響が大事にとっておいた物であったりする
「ありがとうございます」
藤矢も素敵な笑顔で応じてくれて響は安心した
これで『こんなもん飲めるかぁぁ!ドンガラガッシャン!』されていたら泣いていただろう
「?どうぞ響ちゃんも座って下さい♪」
ずっと立ってそわそわしていたせいか座るように指示されてしまった
響はお言葉に甘えて座り、疑問に思った事を聞いてみた
「あ、あの…なんでお、私の名前を?」
まだ敬悟…というよりは業務語?が続いているようだ
「え?…ああ、もしかして気付いてないのですね?」
「え?」
「私ですよ、藤矢ですよ」
「藤矢さん?」
言われてみれば声が似ている事に気づいたのだが、まだ信じられない様子だ
そこで藤矢はどこからか取り出したカツラを被ってみせた
「…!あ、ほんとだ!」
そこには波頼高校2年E組の藤矢亜理彩の姿があった
「気付いてもらえたようですね」
「藤矢さんって確かお嬢様なんだよね。なるほどなるほど…。あ、さっきの人は上がんないの?」
「はい、彼は車の中でお留守番です」
「え?それは少し可哀想なんじゃ…」
響はあの黒服の男が無表情で高級車の中に何時間も主を待っている光景を想像してそんな事を言った
「大丈夫ですよ、一応私の従者なのでそれくらいしないと私共々親に叱られてしまいます」
「へぇ、やっぱり従者持ちなんだ。凄いなぁ」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ。もっと株で儲けて口座の桁が10を超えないと一人前にはなれないのですから」
「…………」
響は日本円の10桁を計算し、考えるのをやめた
100人のサラリーマンが一生涯働いたってそんなに貯まらない金額だったのだ
稼げても貯まらない、そんな途方もない金額
普通より若干裕福と言えなくもないギリギリ微妙に微かに裕福な明治家などでは話にならない
そんな世界で生きている藤矢を前に響は何も言えなかった
「(…俺、バイトやめて藤矢さんの従者になろうかなぁ)」
そんな事まで脳裏に浮かんだ
「(メイド服とか着せたら凄いだろうなぁ…)」
頼んだら本当に従者にしてくるかもしれない…
その後学校の話やらなにやらで盛り上がっていたのだが、藤矢が突然、響的に一番キツい話を持ちかけてきた
「わ、私、いわゆる『がーるずとーく』というものをした事がなくて…。出来れば教えてくれませんか?」
「 」
ショックを受けるのは無理もない話だった
「…?」
「(『がーるずとーく』?…俺が知りたいよそんなもん…。あれだろ?誰かの悪口だけでも言ってれば『がーるずとーく』ってのは成立するんだろ?…なんて言えないしなぁ…)」
女子行きつけの店なんて知っている訳がない
ラグジュアリー?ランジェリー?なにそれ?
下着なんてし○むらでOKっしょ。今は母さんが買ってくるからわからんetc
響は見た目とは裏腹に平均的な女子力が無かった
仕草の女子力は最初よりは上がったが、それはがに股かそうでないか、あぐらをかくかかかないかとか女の子としては原始的なもの
よく見せる覚醒せし女子力は自然というか天然によって引き出されるもので、無意識なものだから本人が気づいている訳がなく、その事を話す事はまず無い
つまり響は『がーるずとーく』など出来ないのだ
「…?」
「…ごめん藤矢さん。俺、『がーるずとーく』なんて出来ないんだ」
「そうなんですか?」
適当にそれっぽい事を言って間違った知識を与えては女性の味方である紳士の名に傷がつくと考えたようだ
まぁ、元紳士なのだが
「…ごめんね藤矢さん」
「大丈夫ですよ♪」
その後2人はまた学校の話やらたまに恋の話やらであっという間に時間が過ぎていった
もしかしたら普通にガールズトークをしていたのかもしれない
時刻はもう4時過ぎとなっていた
「あ、もうこんな時間なんですね…」
「…?もしかして帰っちゃうの?」
もうすぐ美代は帰ってくるだろうが、今藤矢が帰れば美代の帰宅を待つ数分間はまた独りぼっちだ
藤矢は響の顔を見てたじろいだ
「うぅ、私もまだ…いえ、ずっと居たいのですが、今日はこの後予定がありまして…(抱き締めたいです…とても抱き締めたいです…)」
それなら仕方がないと響も諦めた
紳士が女性の通路を塞ぐ事は許されないのだ
そして藤矢が去った後、20分くらいしたら美代が帰ってきた
「ただいま響ぃぃぃ!会いたかったわぁぁぁ!!」
「わっ!」
美代は帰ってきていきなり飛び付いてきた
そして頭を撫でたり頬擦りしたりした
「か、母さん。…恥ずかしいよぉ」
口ではこう言っているが案外まんざらでもないようだ
寂しかったんだもんね
仕方ないね
―明治家(風呂場)
帰り際に藤矢に渡された物があった
「はぁ〜♪藤矢さんがくれただけあって凄いなぁ〜」
風呂に入れる薬品である
例え入ってなくても入れたと言えば不思議と風呂が一味違ったものになるアレである
「普通の透明とは違うよね透明とは」
ちなみにこの薬品で風呂のお湯の色は白くなった
もはやカルピス風呂だ
色で既にあやしいのに藤矢曰く美肌効果があると言われては逃れようがない
しかも匂いは飲みたくなるような甘い香りという恐ろしい仕様だ
この薬を作った業者は狙ってやっているのだろうか
「(甘酒風呂って感じで凄く贅沢な気分だなぁ♪)」
純粋な子はこう考えるのが一般的なのだろう
しかしそれでも高校生なんですか貴女?
少し性教育が足りないんじゃないんですか?
「そろそろ洗おうかな…」
ザバァ
温められた体はほのかに赤くなっていて既に色気が凄まじいのだが、リラックスして緩んだ瞳と白く濁った水滴はその色気を何倍にもするトンデモ装備だった
今の響は無差別に周囲の人間をロリコンにし、ついでに男性の性的な理性を破壊する生きた兵器そのものだった
朝食の時の2人が宣言通り風呂場に乱入して今の響を見たらどうなることやら…
「…(こ、これは…!?)」
響が鏡を見ればそこにはいつも美少女がいた
しかし今回はレベルが違ったようだ
「(な、なんだろう…。押さえきれない何かが沸き上がってくる…。今すぐこの子に飛び掛かれって脳が言ってくる…)」
しかし響は目の前にいる女の子に飛び掛かれない事くらい知っている
どんなに望んで飛び掛かってもそこにあるのは鏡なのだから
そこで響は思考を転換させた
「(…今の俺を唯斗が見たらどうなるのかな…?飛び掛かってくるのかな…?沢山キスしてくるのかな…?)」
少なくとも俺が男だったらするなと考え、唯斗にされる光景を想像する
「(…うぅ、何恥ずかしい事を考えてんだ…。待つだけの脳じゃダメだ!いつかは俺からしないと…)」
響が唯斗の家に行けば必ずチューされる
しかし響からした事は無いのだ
「あはは…風呂でなんて恥ずかしい事考えてんだ…。さ、洗おう…」
―明治家(脱衣所)
「…うぬぬ」
今この脱衣所では響にとっておぞましい事態が発生していた
「(…どういうつもりなんだ?)」
響はそれを摘むように持ち上げた
「…………」
今の今まで『まだ心の準備が…』と言い逃げ続けてきた響だったが、ついにやられてしまった
「(これをどうしろと?着けろと?冗談じゃないぞ…)」
響は周りを見渡した
なんとパジャマすらなかった
「…ぐぬぬ」
パンツは慣れた
ブリーフのスーパー高級版だと思って穿けばいい
だがこれは違う
以前のスポブラなら家の中を歩き回れる
しかしこれでは家の中を歩き回るなんて無理だ
「…………」
パンツとソレ以外何も無いのは着けた事を確認する為だろう
響はそう考え、頭を抱えた
「…解せぬ」
それから少しの間、響は普段使わない頭を使ってどうすべきかを考えて何かを思いついた
「(そうだ!タオルを巻いて脱出しよう!)」
俺ってば天才♪とばかりにパンツを穿いてタオルを上手く胸を隠すように巻くと、ある事が浮かんだ
「(…もしタオルが外れたらどうしよう…。…もしタオルを取られたらどうしよう…)」
美代と七海に裸を晒す=おわり
この方程式が常に発動中なので迂闊にこのまま動けない
「(…うう、俺の部屋まで上がれば大丈夫…。そこにはパジャマどころかスポブラだってあるんだから…。大丈夫…だよね…)」
響は覚悟を決めた
「(部屋までダッシュ。部屋までダッシュ。部屋までダッシュ。……よし!)」
ガチャ!
そして勢いよく脱衣所を出た
「(ダッシュだ!力の限り走らなきゃ…やられる!)」
良いスタートを切れたが響の今日の運気はそこまで良いものではなかった
「あだっ!」
階段のある廊下で思いっきり転んでしまった
「や、やばい!」
わりと大きな音だったから間違いなく美代達はやって来るだろう
風呂を出たらまずリビングに行くのが当たり前の響がリビングに来ない時点で美代達は動くだろうが、転んだと気づけば慌てて飛んでくることは間違いない
「…はやく行かなきゃ…(あ、あれ?体に力が入らない…)」
どういうわけか響は立ち上がれずにいた
「うぅ〜!(やばいやばい!急がないと!)」
ダダダダダダ
努力も虚しく美代達がやってきた
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「響ぃ?どうしたのぉ?」
「…うぅ〜(…お、終わった…)」
「「!?」」
2人は見てしまった
転んだ拍子に取れてあられもない姿となっている響の姿を
風呂から出たばかりなだけあって白かった肌もほどよく赤く色気も抜群な響の姿を
軽く絶望の表情を見せる響の姿を
これはやるしかない
「「おふろいこっか♪」」
「……はい」
救いなどない
いつの間にか包囲されてて逃げられない
まず起き上がれない
これは詰んだ
「…?お姉ちゃん立てないの?」
「…あはは、ちょっと疲れちゃったみたい…はぁ…」
「ならママが起こしてあげるわぁ♪」
「あぅ…」
美代は響を起こした
胸を揉みながら
「ねぇお母さん」
「わかってるわぁ♪」
「「これなら思う存分洗ってあげられる(ね)(わぁ)♪」」
「…ううう(どうしてこうなるかなぁ…)」
響をいじくり回しながら風呂へ連れていく2人の声はリビングにまで聞こえていたらしいのだが、博樹は助けには行かなかった
明治家における男女比は一応3対1
博樹に権力はあまりないのである
博樹は申し訳ない気持ちで合掌しながら兄もとい姉の幸運を祈ったとか
『ある日のイチャラブ』
―唯斗の家(唯斗の部屋)
「響」
「…な、なんだ?」
「今日は響からチューして」
「…!!?」
「大丈夫、誰も邪魔しないよ。ゆっくりでいいから」
「……うぅ(せっかく唯斗からチャンスを貰ったんだ。今活用しないと!…で、でもでも…やっぱり恥ずかしいよ…)」
「(ああ、その目をそらしながらまごまごしてる姿、最高に癒されるなぁ…)」
「…ゆ、唯斗」
「どうした?」
「…め、目を瞑るから…。やっぱり俺からじゃ無理だよ…」
「…そうか、なら仕方ないな♪思う存分チューしてやろう♪(ああもう堪んないっ!)」
「んむっ!?(い、いきなりしてくるなんて…!まだ瞑ってないのにぃ〜)」
「ちゅぅぅぅぅ〜」
「んんん〜(…!?舌が吸われて…。ああ、やばい…なんだか…とろけそうだ…)」
それはお互いの口を合わせる優しいキス…ではなく軽くアダルティックなキスだった
「……………。………ふぅ、ごちそーさん♪」
「…んはぁ、…………うぅ。(あ、あんなに近くに…唯斗の顔が…あ、あわわわ…)」
「…あ、…いや…悪い。ちょっと強引だったかな?」
「……えへへ、大丈夫。すっごくよかったよ…」
「響ぃぃぃぃ!!」
唯斗は堪らず響を抱き締めた
「ゆ、唯斗…苦しい…!」
「ああ可愛いぞ響!可愛いぞ響!凄まじく可愛いぞ響ぃぃぃぃ!」
「…く、苦しい〜っ!」
響は先ほどの台詞が男にとってどれだけの攻撃力を持っているかもわからずに使い、苦しむ羽目になった




